ブレイクシュナイダーのビートシートに似せて、
大岡式のビートシート最新版をつくってみる。
ビートシートというよりは、
ここまでにこれをやっておかないと気持ち良くない、
というリストのように思える。
順番は前後しても良い。
第一幕: 0〜30分
なんかいいツカミがある
事件が起こる、ジャンルがわかる、
主人公の背景がわかる、
主人公がなるべく早く「いいやつじゃん」と思う
(save the catポイント)
事件に主人公が巻き込まれ、
日常は非日常へと片足をつっこむ(遅くとも7〜8分)
主人公は内的問題を抱えている、
しばしば感情移入に値するが、そうでなくともよい
主人公が事件解決に積極的に乗り出す、
センタークエスチョンが明示される(第一ターニングポイント)
第二幕前半: 30〜60分
非日常世界の常識をまなぶ
あとで使われるであろうBストーリーやCストーリーは、
最低ここではじめること
Aストーリーは常に継続して、
本筋から外れない(ピンチポイント1)
感情移入はより深くなる
真ん中の重要なポイントがある
アクション大会でもいいし、
ひとつの小さな事件でもいい、
ここで前半までの文脈と、
後半以降の文脈がガラリと変わる(ミッドポイント)
(ブレイクシュナイダーは、仮初の勝利または敗北、
と定義しているが必ずしもそうではない)
第二幕後半: 60〜90分
敵の脅威が増す
実は…という場面が増える
Aストーリーは常に継続して、
本筋から外れない(ピンチポイント1)
最悪の場面がある(ボトムポイント)
そこからの大逆転がある(リバーサル)
しばしばこれは主人公の内的問題に触れることになる
センタークエスチョンの確認、
あとひとつ最大の難関を越えればゴールだと認識する
(第二ターニングポイント)
第三幕: 90〜120分
何かしらの直接対決
問題解決の瞬間がある
それは主人公の内的問題の解消と重なる
(昇華、テーマ、カタルシス、生まれ変わり)
ラストシーンで、
これまでの意味が確定する
これが十分条件ではない。
つまり、これさえすればストーリーはOK!
なのではなく、
物凄い面白いストーリーの中に、
このようなポイントが配置されているべきだ、
という必要条件である。
つまりこんなことは出来ててあたりまえで、
面白いのになんか物足りねえな、
そもそもダシが入ってないんじゃない?
ってことなんだよね。
あと必要なことは、
各ブロックが4つのシークエンスで構成されてることかな。
シークエンスに属さない単独シーンがあってもよいが、
それは最大連続二回まで、というルールを決めると、
シークエンスが機能し始めると思われる。
実際のところ、
「次何すればいいんだっけ?」
は、ビートシートは教えてくれない。
次何をするべきかは、
ストーリーが決めることだ。
それを紡いで行ったときに、
これらのビートが欠けていると、締まらないぜ、
くらいに考えて、
チェック表のようにつかうといいだろう。
なぜなら、ビートシートは点のことしかいってないからだ。
あなたは線を紡ぐ人である。
どういう線をつくるかを考えるべきで、
次の点だけを考える人ではない。
次の点に困っているのなら、
次の点を書き終えたら、
また次の点に困ってしまうだろう。
それでは、数百シーンある二時間は書けまい。
線、すなわちシークエンスならば、
4×4=16本の線を考えればいいだけなので、
これは両手で扱えそうだ。
一本の線は3分から8分程度と考えれば、
そこで面白い線を考えればいいだけのこと。
ひとつ注意するべきは、
線の最初と最後を比較した時、
「ストーリーが前に進んでいること」が必要だ。
でなければ話が進んでないということだからね。
最悪のつまらない例は「we are little zombies」で見ることができる。
4人のバンドメンバーのバックストーリー紹介が、
4つのシークエンスで語られるが、
それが始まった時と終わった時で、
ストーリーはひとつも前に進んでいない。
つまり現在が停止したまま、4線ぶん、
こっちは待たないといけない。
この最も苦痛な数分(体感30分くらい)は、
勉強のために見ておくといい。
普通はこうしたダメ脚本は、
世に出る前に淘汰されるのだが、
たまたま世に出てしまったうんこなので、
これがうんこってことかあ、と見ておくといいよ。
つまり、
4線法では、
最低限4つの進展が30分に起こる、
ということを意味している。
これなら停滞をふせげるはず。
どういうストーリーのどういう進展かは、
あなたの自由なので、
ストーリーに応じて組んで良い。
僕はこの16線を編むことが、
映画シナリオのストーリー作りじゃないかなと思っている。
三幕構成法やビートシートは、
その中の代表的な点を固定する方法にすぎないと、
最近は考えている。
だから、
三幕構成法やビートシートに沿って、
チャート式にストーリーをつくるのは間違いで、
先にストーリーをつくってから、
三幕構成法やビートシートに当てはめる、
という方式がいいと思うよ。
これらはストーリーの型ではなくて、
チェックポイントくらいに過ぎないので。
2022年06月29日
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