2022年05月31日

「オフィサーアンドスパイ」の予告がひどい

先日東宝シネマで見たこれ。
ロマンポランスキーの新作ってわかってる人はそれだけで行く、
そうじゃない人用の予告編だとはわかっているものの、
あまりにもリテラシーの低い人向けすぎないか?
https://m.youtube.com/watch?v=HapRoFitQH4

このナレーションを抜き書きすると、
テンプレが見えてきて、逆に興味深い。


ナレーション

 これは、国家権力に挑んだ一人の男の、
 命がけの逆転劇である。

 スパイ容疑で逮捕された陸軍大尉ドレフュス。
 彼の無実を知ってしまった一人の将校。
 あらゆる手で隠ぺいを図る、巨大権力。
 絶体絶命の中、男は一発逆転の賭けに出る。

 オフィサーアンドスパイ。
 これは決して、過去の話ではない。


これをテンプレに戻してみようか。

 これは、(巨大な敵)に挑んだ一人の男の、
 命がけの逆転劇である。

 (逆境)
 (きっかけ)
 (敵の汚いやりかた)
 絶体絶命の中、男は一発逆転の賭けに出る。

 これは決して、(架空)の話ではない。

ものすごいテンプレで、
あとは()内のアイテム違いで、
ほぼなんとでも通用してしまうではないか、
という手抜きであることが、とてもよくわかる。

しかし注目するべきはこのテンプレ型で、

巨大な敵と、たった一人の主人公と、
悲劇的な前提と、真実に気づいた主人公と、
敵の汚い(正義でない)やり方と、
命がけの危険な賭けの逆転劇

があればそれは映画になるということだ。
(しかもそれは架空のものではなく、現代に通じる何かしらのテーマ性がある)

それを思いつけばいいんだよ、ということだ。


あなたのストーリーにこれはあるか?
いや、たいていの面白い映画には、
これが備わっているものだ。
これがないと面白くないとは限らないが、
面白いのにはたいていこれらが含まれる。

つまり、重要なのは、
「たったひとつの冴えたやり方」になるように、
前提から組まれていることだね。
敵は巨大で汚いのがいいね。
だってそれが一発の銃弾による逆転の醍醐味だからね。


だからこの予告編はもっとこの物語に即した手を抜かない予告編にするべきだし、
だからこのナレーションテンプレは、
あなたの物語が面白いか?というチェックシートになるよ、
ということである。

参考にされたい。
posted by おおおかとしひこ at 19:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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