車田漫画でよく話題になる顔の黒塗り。
車田漫画特有の表現じゃないことは分かっているのだが、
なぜか「素顔を晒したあとのガッカリ」とペアで記憶されることが多い。
代表例は夜叉姫か。
いや、でも、
華悪崇皇帝、黒獅子は、
僕はがっかりした。
黒塗りの方が良かったなあって思ったことがある。
不知火がこれだけネタにされやすいのは、
黒塗りのまま死んだからで、
あれが最初からアニメ版のような顔だったら、
ここまで伝説化することもないだろうなあ。
実写の黒塗り(シャドウでずっと隠れている)だと、
僕はドラマ「スケバン刑事」の暗闇司令を思い出す。
クレジットもずっと「暗闇司令 ?」だったな。
東映に詳しい人ならば、
東映作品にゆかりがある人と察知して、
なおかつ声を聞けば、長門裕之とわかったんだろうか。
僕は中学生だったので知らない人だった。
そうそう、実写だと、
漫画にはないクレジットがあるんだよね。
「誰が演じてるのか」は、
漫画に比べてノイズになるわけだ。
良くも悪くも、
テレビとは顔出し前提のショウビジネスの側面がある。
少なくとも歌舞伎の伝統まで遡れるくらいにはね。
(能まで戻れれば顔出しなしはありえる?)
このことを鑑みて、
風魔の実写版では、
「不知火 ?」「夜叉姫 ?」をやめて、
最初から顔出しで勝負することにした。
夜叉姫は最初から頭領然としたほうが、
古き良きショッカー基地みたいになると思ったので、
端から顔出しにしてある。
不知火はネタ的に最後まで顔出さない、
ということも考えたが、
「舞台版もあるので」と説得されて、
顔出し役者を選ぶことになった。
死鏡剣を三話で見せるためのやられ役も欲しかったので。
じゃあとはアクションできるやつ、
ということで板橋を面白く料理することになったけどね。
実写版で聖剣戦争をやるとき、
皇帝はシャドウになるかなあ。
ならずに勝負する気がする。
黒塗りの謎感はすごく好きだけど、
実写の黒塗りは漫画のミステリー感とは異なる気がするんだよね。
「LAコンフィデンシャル」のカイザーソゼのように、
次元の違う考え方になってしまいそうだ。
黒塗りではなく、御簾の向こう側とか、
そういう使い方ならありそう。
和風でなくするならなんだろう。
半透明のベール的なカーテン的なものだろうか。
僕は原作の黒獅子の素顔にがっかりした記憶がある。
あれだけ武蔵に突っかかってたくせに、
こんなヘボいキャラで終わりかよと思った。
車田漫画、ひょっとしてハッタリがうまいだけでは?
とこの頃に気づいてしまった感はある。
それが皇帝のガッカリ感で確信に変わり、
反乱編でどうにもならなかった感
(聖剣戦争の帰還者が風魔を乗っ取ると見せかけて、
実は風魔の内乱、というための黒塗りだったはず)で、
僕は原作をとても惜しい作品だと思ってるわけだ。
実写をやるなら、
聖剣戦争と、忍者大戦(○○一族が入り乱れる)
的なこととを混ぜるべきだと考えているが、
その時に「素顔すらわからぬ謎の一族」として、
華悪崇の人々をシャドウにする可能性はある。
まあ別に黒塗りにしなくても、
銀色の光で顔が見えない、というていでもよい。
そうそう、
漫画における黒塗りって、
実写でいうとモザイクと機能が近いんだよね。
昔のAVではモノが光るという隠し方もあったので、
まったく伝統的につながってるんだな。
だが実写で顔モザイクはギャグにしかならんなあ。
実写だと「なんらかの事情で隠している」、
漫画だと「まだ明かされていない」に、
意味が変わる珍しい例だね。
こうした漫画と実写の文法の違いについてよく考えないと、
実写化ってなかなか成功しないと思うんだよね。
コナンが実写化したら、犯人は黒塗りになるのか?
を想像すればわかる。
なんないだろうし、モザイクやボカシかもしれない。
2022年06月09日
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