2022年09月10日

【薙刀式】ブラインドタッチに関するTIPSまとめ

キーボードに関する議論のすれ違いは、
ブラインドタッチ前提なのかそうじゃないかが、
言葉の外にあることだ。

だったらみんなブラインドタッチを学ぼう。
そのときに知っておくべき知識をまとめておく。


【すごくだいじなこと】
・ブラインドタッチは、頭で覚えるのではなく、
 反射神経に叩き込むこと
・大体二週間で把握できて、一ヶ月でまともになる
・ブラインドタッチは、複数マスターできる
・そのときに、物理条件(物理キーボード、打つ場所)を変えると良い
・最初の一日でガッツリやって、あとは一日数十分をコツコツやる
・寝ると、神経が整理されて少し速くなる
・一つ一つキーの場所を覚えるのではなく、
 連接で覚えること


【まあまあだいじなこと】
・タイピングゲームをやるのは後半で良い
・標準運指をまず出来るようになること
・3段10キーが出来れば御の字

【上級編】
・タイピングゲームは短期測定でしかなく、
 実際の文章を書くことにはあまり役に立たないこと
・キーボードをいいやつに変えるとガラリと変わること


ひとつひとつ解説してみようか。


【すごくだいじなこと】

・ブラインドタッチは、頭で覚えるのではなく、
 反射神経に叩き込むこと

知らない人が想像する、
「配列が頭の中でイメージできる」「配列図を覚える」
「記憶の中の図から検索する」は誤り。
「ドリブルができるようになる」
「買い物するとき近い店から順番に行けるように、
ルートをイメージする」
の方が近い。

つまり頭だけでやる感覚じゃなくて、
運動を伴った感覚という意味だ。

なぜこうしないといけないかというと、
「記憶から読み出す速度は遅い」からである。
実用的なブラインドタッチは、
秒3打〜秒5打といわれる。
1/3秒〜1/5秒で呼び出せないなら使えないわけだ。
それはもはや「思い出す」よりも速い、
反射でなければ意味がない。

たとえば「鬱」という漢字を書けないとしよう。
そして語呂合わせでもなんでもいいから、
とりあえず仮に覚えたとする。

手書きで、「仕事で鬱になった。」と書こうとしたとき、
「仕事で」はほとんど反射で書けるだろうが、
「鬱」は書けないから、
「木と缶と木とウカンムリと…」と思い出して、
ようやく書けたとしよう。
ブラインドタッチとは、
前半部のことであり、後半部のことではないのだ。
「鬱」を1/3秒で毎回思い出している暇はないのである。

ブラインドタッチを覚えるのは脳じゃなくて、
肩から指に至る神経層であることを、
科学的証拠が示唆している。
(たとえば絵を描くときに、
脳は筆をどれだけ動かすかまで担当してないことが分かっている)

専門的な用語で言うと、
「鬱」をなんとかして覚えるのは宣言記憶、
「仕事で」を反射的に書けるのは手続き記憶という。

タイピングは記憶ではなくスポーツという人もいる。
たとえばクロールが出来ない人が、
クロールを覚えるようなものである。

あなたはこれから、
学習塾に行って丸暗記するのではない。
これから毎日スポーツ教室に通うイメージだ。


・大体二週間で把握できて、一ヶ月でまともになる

どれくらい大変なのだろう?
やったことのない人は不安になるものだ。
それぞれの能力やモチベにもよるけど、
二週間、一ヶ月というのがメジャーな数字。
これらを大幅にオーバーするなら、
覚えるべき配列があなたにとって難しすぎる。
一旦もっと簡単なものにするか、
我慢してでもマスターするかは自己責任で。


・ブラインドタッチは、複数マスターできる

サッカーと野球を同時に部活でやっても、
そんなには混乱しないものだ。
(僕はサッカー中に手で取ったことはあるが)
初期の頃はまざるけど、
慣れてくると使い分けられることが経験的に知られている。

もちろん、器用な人と不器用な人がいる。
前のを忘れる人もいるし、
触れば思い出す人もいる。
ひとつをマスターしたあとなら、
それほど混ざらないことが分かっている。

たとえばqwertyローマ字とカナ配列、
みたいに全然被ってないやつは使い分けられるっぽい。
カナ配列の複数使い分けのような、
似たものの使い分けは難しいと言われている。


・そのときに、物理条件(物理キーボード、打つ場所)を変えると良い

土のグラウンドで野球、
芝の上でサッカー、
などのように決めておくとまず間違わない。
接触する感触や環境を変えると、混乱を避けられる経験則がある。
○○キーボードで○○配列、これは家でしか触らない、
などのように自分で決めると良い。
逆に同じキーボードで複数の配列をやると、
てきめんに混乱するね。


・最初の一日でガッツリやって、あとは一日数十分をコツコツやる

これは神経系統の学習の効率的な方法だそうだ。
まず最初に一日ガッツリとって、
一通りやってみるのがおすすめで、
忘れてもいいからなんとなくふわっと感覚を作った後で、
各論を個別にできるようにすると効率がいいらしい。
「簡単なやつだけ体験して、難しいのはあとでじっくり」よりも、
「簡単なやつから難しいやつまでつまみ食いを一日でやり、
個別を深く後日にやる」
ほうがいいのだそうだ。

・寝ると、神経が整理されて少し速くなる

これも神経系統の法則。
寝ると運動記憶が定着するらしい。
高校の部活の頃、授業中に寝てたのはそのためである。

なので、仕事が忙しくてあまり寝れないときは、
ブラインドタッチをいくら練習しても、
あまり意味がないよ。


・一つ一つキーの場所を覚えるのではなく、
 連接で覚えること

ドリブルを覚えるのに、
「左足を出して」「右足を出して」と順番には覚えない。
最初はそう覚えても、一気にできるようにするものだ。

カナでいうと、「あ」を覚えるのに、
「あ」だけ覚えても使えない。
「ある」「であった」「あんなの」「あれ」「しあい」
「あした」「さあね」「はあくする」「であいがしら」
などのように流れの中で使えるようにしないと意味がない。

日本語にはよく出る連接パターンがあり、
新しい配列はそれらを打ちやすい流れに置いてることが多い。
(薙刀式でいうと、「ある」「ない」「する」が、
それぞれ、JI、MK、OIの右手アルペジオの隣同士に置いてある)




【まあまあだいじなこと】

・タイピングゲームをやるのは後半で良い

「速くなりたい」は人の欲望の根源だが、
速くなることに実は意味がない。
それよりも「間違わずに打てる」ほうが大事。

実は速さは、「全部打てるようになる」と、
そのうち上がってくる。
体が獣道的なショートカットをつくりはじめるからだ。
獣道を間違えてつくっても無駄なので、
まずは正しく打てるようにする基礎固めが大事。

タイプウェルは代表的タイピングゲームだが、
全部打てるようになってから挑戦でよい。
「自分の曖昧なのはどこか」を見るためのチェック、
程度でよい。
タイムアタックをするのは、
ミス0を一回でも出したあとじゃないかなあ。


・標準運指をまず出来るようになること

そもそも標準運指こそが、
キーボードをうまく使うための方法論である。
これが間違ってると、いつまでたっても不合理な指の使い方になる。

僕のおすすめの練習法。

まず構えてFJを捉えられるようになる。
できるようになったら、以下の順で文字列が打てるように。

FJFJFJ…
FJDK FJDK… JFKD JFKD… DKDKDK…
FJDKSL… FJDKLS… FJKDLS… JFKDLS…
FDSJKL… FSLJDK… SDFLKJ… SFLJDK…

などのように、ホームキーから外へ少しずつ広げて、
組み合わせるキー数を増やしていく方式。
これをA;とGHまでやったら、
次は下段をやり、下段全部やったら、
中下段の組み合わせをやるとよい。
次に上段だけをやり(QPは薬指でとっても良い)、
中上段の組み合わせをやり、
上中下段の組み合わせをやる。

文字は組み合わせてなんぼなので、
そのルートを指が動くように訓練するわけだ。
中段の次に先に下段をやるのは、短い指の上段が難しいからだ。


・3段10キーが出来れば御の字

これだけできればブラインドタッチできる、
と言っていいと思うんだよね。
数字段と小指伸ばしは、都度見ていいと思う。
だって文字ほど使わないもの。

ちなみに僕は数字段を使わない。
右の親指Raiseキー+3段の右手にテンキー状に並べてある。
日本語でよく使う記号は薙刀式にあるので、
それですべてブラインドタッチOKだ。


【上級編】

・タイピングゲームは短期測定でしかなく、
 実際の文章を書くことにはあまり役に立たないこと

秒5〜7打くらいまでがタイピングゲームで鍛えるべき、
実戦速度だと考えられる。

タイピングゲームでは実戦文章で出てくるフレーズや言い回しがなく、
単語単位なので実戦と遠いと思う。
また、仮に実戦文章を写すタイプのやつでも、
タイピングとは「自分の考えを表すこと」なので、
そのために脳と指の連動を作った方が良い。
人の考えを写すことにタイピングを使うことは、
練習以外にないので実戦的ではない。

700文字(変換後)/10分を、
一旦のゴールでいいんじゃないか。
1000あるとなんでもこいになるし、
1500あれば文章で困ることはないと思う。
日記文などを10分くらい書いてみて、
時計で計測しておくとよい。

そしてこれはコピー打鍵ではなんの意味もない。
「自分の言葉を文章化すること」が、
タイピングの100%の目的だ。
(清書業務は除く)

もしあなたが500でしか考えられないのなら、
500でタイピング修行は終わりで良い。
余計な練習してないで、考えることに戻ればいいと思う。


・キーボードをいいやつに変えるとガラリと変わること

とりあえずリアフォかHHKB買っとけ。
2000円のキーボードの世界からガラリとかわる。
キーボードに2〜3万は高すぎるって?
俺は100万くらいはかけて、
まだ満足してないよ?
最終的にそれくらい極めても極めきれないから、
2〜3万で手を打つのは賢い選択だ。

変な書きにくいボールペンで書くより、
スラスラ書けるペンで書いた方が気分いいし、
いい文章が書けるよ。
だって思考にイライラがなくなるもの。
それとキーボードは同じだよな。




デジタルデジタル言っても、
書く我々の脳はアナログだし、
書く我々の手はアナログだし、
読む我々の目も脳もアナログだ。
我々は疲れるし、寝るし、死ぬ。

タイピングは所詮AD変換器である。
アナログでやる作業だぜ。
じゃあ、「手を鍛える」が通用する世界だし、
それ以外ではブラインドタッチはマスターできない。

また、全人類はブラインドタッチをマスターできると、
僕は考えている。

ブラインドタッチは選ばれた人のエリート方法ではない。
コツコツ正しくやるだけで、
初めて自転車に乗れたような爽快感を覚えられるぞ。

なお、qwertyローマ字はブラインドタッチの難易度の高い配列だ。
僕ははじめてのブラインドタッチではおすすめしない。
日本人のブラインドタッチ率が少ないのは、
ブラインドタッチの困難なqwertyローマ字のせいだ。

(英語ではあまり出ないが日本語で最も使うAが左小指、
英語では一番使うEは日本語母音の中で最低頻度、
英語では段落改行にしか使わない右小指エンターが、
日本語では単語や文節程度の確定に毎回使われる、
TYという使いづらいキーを多用する、
ホームキーの使用頻度がほぼ0、
IOの母音終わりの句読点が毎回段越えになる、
漢字変換をするたびにホームポジションを崩してカーソルまで行って来いしないといけない、
などなど、難易度が高い)


行段系ローマ字配列(SKY、きゅうり、けいならべ、カタナ式)、
薙刀式、新JIS、月配列あたりがブラインドタッチの難易度が、
明らかに下なのは、覚えておくと良い。

特に薙刀式は、BSやエンター、IMEオンオフが30キー範囲内にあり、
変換操作に必要なショートカットなどが「編集モード」として、
3キー同時押しで30キー範囲に定義されているよ。



ブラインドタッチ自体は難しくない。
難しいのはキーボードの操作方法の複雑さだ。
それを簡単にするのは、
新配列や、自作キーボードのキーマップ変更などである。

ブラインドタッチを学ぼう。
上のような知識を事前に持っていれば、
誤った学習をすることもなく、
最短距離でカタカタッ…ターンから抜け出せるぞ。
posted by おおおかとしひこ at 15:52| Comment(0) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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