2022年07月27日

【薙刀式】親指シフトはなぜ絶滅したの?

って単純なツイートを見て、ふと考えてしまった。
この問いくらい簡単に答えられるかな。

僕は、「qwertyローマ字から乗り換えることが困難だったから」
という説をあげておきたい。


富士通によって継続的にハードが用意されなかったのは、
富士通の戦略的問題点だ。
そもそも富士通は親指シフトを存続させたかったのかな?
かつてのワープロユーザーに、
対応させる義務感くらいしかなかったのでは。
そしてそれは先細りしていき、
できれば消滅を願っていたように見える。


民間では「伝説の入力方式」として、
B割れのキーボードを確保し、
エミュレータを使えば可能だから細々と使われてきた。
だが、
OS更新のたびに死ぬ不安を抱えながら、
適したキーボード探しというコストを、
かけつづけるめんどくささが、
徐々にシフターを殺してきたと思う。

最近ならば自作キーボードがあるから、
いかようにもハードをつくり、
いかようにもQMKで組めるからね。
なんでシフターに自作キーボードが流行らないんだろう?
彼らは好奇心の衰えた老人なのだろうか?


でもそうしたハード上の理由とは別に、
論理配列上の理由を見出した方が、
建設的な議論になるのではと思った。


親指シフトがqwertyローマ字より劣っているから、
絶滅したわけではないと思う。
qwertyローマ字比較で言えば、
親指シフトのほうが優秀だ。
僕もどっちかしか使えないなら、親指シフトを選ぶと思う。

理由は別のところにあると僕は考えている。

つまりは、
「一旦qwertyローマ字に慣れた人が、
親指シフトに移行することが著しく困難」
であると考える。



qwertyローマ字を使う人には、色んな人がいる。

1. ブラインドタッチのできない初心者帯(国民の7割以上)。
2. そこそこqwertyをブラインドタッチで速く打てる人。
3. かなり速く打てる人。

このうち、どれもコンバートが難しいと思う。

1.の初心者は、サイトメソッドで配列図を見た時、
qwertyなら1キー1文字だが、
親指シフトは1キー2文字だ。
倍の苦労を想像して手を出さないだろう。

(実際には打鍵数が半分だから、ざっくりトントンのはず。
しかし同じ程度ならば手を出す理由がない。
頻度ごとに文字の大きさが違えば、
マイナーな文字はシフトにあることが分かると思うが、
印字が同じ大きさである以上、
手間だけを想像してしまう。
これは印字というものの限界だ)

また、サイトメソッドレベルの人で、
同時打鍵が得意な人はそんなにいるまい。

キーボードを見ながらの同期はけっこう難しい。
同時打鍵って、ブラインドタッチのほうがやりやすいと思う。


そして親指同時打鍵にむくキーボードを、
最初から持ってるとは思えないため、
そこもコンバートを止める原因だろう。


2.の人は、すでにqwertyでスラスラ書けるから、
「わざわざコンバートする意味を感じない」
という返事をするだろう。
苦労してないのに「キミは苦労してるよな?」
と押し売りされても嫌だなと思ってるはず。


3.の上級者はqwertyで秒10打鍵以上する変態なので、
qwerty以外の指使いなどできまい。
またする理由もないだろう。


あれ?
じゃあ誰もqwertyから親指シフトに行かないの?

たぶんごく僅かな人、
「qwertyで書き過ぎて、腱鞘炎になった人
(あるいはその予備軍)」
だけが、
親指シフトに興味が出るのではないか?

「qwertyでそこそこかけるけど疲れるな、
もっと書きたいんだが」とか、
「qwerty使い過ぎて、もっと手が楽になる方法はないのか」
とかの人だけが、
qwertyと訣別しようと思うはずだ。


で、そんな人は国民の1%もいまい。
だから親指シフトは絶滅したのでは?

導入から練習までの標準ルートがなかったことも、
コンバートする人が迷子になり、不安になる一因だろう。
せっかくきたお客さんを途中で帰すなんて最悪だ。

僕はそれを批判的に見ていたので、
薙刀式は標準導入をDvorakJと定め、
出来る人は他でも導入できるよとして、
さらに練習マニュアルを用意した。

そうした「これだけやっとけ」が、
なかったのは、
コンバートさせる意思があるのか?
と問われてもしょうがないのではないか。


そして、さらに重要なことなのだが、
仮に親指シフトにコンバートしようとしたとしても、
「配字がそこまで合理的じゃない
 (新下駄、飛鳥、薙刀式に比べて、の意味)」
というただ一点だけで、
コンバートする気がしなくなるのでは?

親指シフトって、やたら挫折組がいる気がする。

挫折する二つの理由は、

・全部覚えきれない(半濁音、小書きなどはとくに)
・そこまで効率的だと思えなくて不安になる

ではないかと考える。


一つ目の理由はかなり深刻で、
「よしマスター!」といえるまで、
一年はザラなんだよね。
そんなに根気ある人おらんやろ。

オリジナルの親指シフトは小指シフトで半濁音だったらしいが、
その方がなんぼかましだと思う。

二つ目のもわりと深刻だな。
なにせ、
「ほらほら最高に効率いいだろ?
お前らみんな目を覚ませよ!」
って動画がひとつもないからね。

あ、やっぱすごいんじゃん、
って心の底から納得しないかぎり、
親指シフトに未来はないと思う。

打鍵数比はよく上がるが、
それって効率のいい仮名配列ならみんなそうなわけでね。


qwertyから乗り換えるか、
0ベースで親指シフトスタートにするかしか、
親指シフトに触れる方法はない。

前者は著しく困難で、
後者がいないから、
絶滅したのだといえるだろう。


薙刀式は、qwertyから乗り換えても、
親指シフトから乗り換えても、
その効率性を実感できる配列だ。

新下駄や飛鳥から乗り換えたらどうだろう?
そこまでは分からない。
薙刀式より難易度が高くて高効率の配列からの、
ダウングレード?は、
まだ誰も経験してないかもしれない。


親指シフトは、
初期のスタートダッシュには成功したが、
後期のqwertyの追い上げに対して、
コンバートするほどの魅力がなかった。

それが絶滅の原因だ、
という説を唱えておきたい。


今qwertyが、対フリックで、
同じ立場にいるように思う。
「フリックで十分なのに、
わざわざqwertyを使う理由は?」
と同じだろう。
posted by おおおかとしひこ at 21:15| Comment(0) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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