作者にとっては、キャラがまだ完全につかめていなくて、
助走時間が序盤であったりするものだ。
というか、
最初はこんな感じかなあと思って書いていたら、
どんどん生き生きとしてきて、
終盤にはもうそれしかないキャラになった、
みたいなことが多いと思う。
それは無駄だ。
冒頭からそのキャラクターはそのキャラクターであるべきなのだ。
じゃあどうしたらいいかはなかなか難しい。
一般的には、
一回最後まで書いてから最初に戻り、
キャラクターの統一性をリライトしていく、
という手法を使うだろうか。
しかし物語とはキャラクターの変化だから、
最初から最後まで、
まったく同じぶれないキャラクターを描いても、
そのキャラは物語に参加していないと言ってもよい。
物語とは、キャラ変を描くことだといっても、
言い過ぎではあるまい。
だから、キャラクターが変化する前提で、
冒頭、序盤、何かのきっかけ前後、変化のはじまり、
変化の途中、もうこれ以上変わらないラスト、
のように段階的に色分けをして、
それらを生き生きと書き分けるのが、
ベストだと思われる。
それはたいへん難しい。
一人のキャラクターならばまだ可能だが、
複数の人間を、そのように上手に通貫させるのは至難の業だ。
だから、
複数回のリライトが必要なのだと考える。
序盤に登場する人物は一人ではないだろう。
そのキャラクターの第一印象は、
のちのちの軌跡に対して的確か?
もっと強くしたほうが、弱くしたほうが、
もっと変えたほうが、いいのではないか?
そうしたことを逆算で、序盤に仕込むべきだ。
しかるにそんなことは、
第一稿ではほとんど考えられていないことが多い。
序盤はまだ作者がキャラクターやストーリーの雰囲気に慣れる時間帯に、
使っていることが多いと思う。
第一稿はまあしょうがない。
だが二稿以降は、
それらの無駄な時間を切り落として、
キャラクターの序盤を、きっちりうまく描きなおそう。
ストーリーはタイトにセットアップせよ、
という格言は、そのことも言っている。
事件が起き、舞台を設定し、
それらへのリアクションとしてキャラクターを描き、
どういうムードの作品なのかを設定し、
リアリティレベルや常識をなんとなく示し、
しかも伏線を張らないといけなくて、
しかも引き込まれるほど面白くなければならない。
序盤がもっとも技術がいるパートだ。
毎回これを一発で書ければいいのに、
と思うけど、
ここが一番筆が入るね。
やることが多いからだ。
とくにキャラクターのリアクション、
行動、テンションなどは、
まだ全然ぬるいことが多いよね。
それをうまく再調整していこう。
最近のハリウッドでは、
「キャラクターのエモーションに注目する」
なんて言い方をすることがある。
多分同じことを言ってる気がする。
2022年08月07日
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