2022年08月10日

事件、登場人物、事情、展開、結末

ストーリーの構成要素はとても分解しにくい。
今回は物理要素を5個に分類してみた。


事件、展開、結末が、
ストーリーの主軸要素だ。


事件のないストーリーはストーリーではない。
何かしら日常とは異なる、
事件が起きなければならない。

宇宙人が侵略してくる大事件でもいいし、
給食費を盗まれた小事件でもいい。


展開のないストーリーはストーリーではない。
事件が起きた、警察を呼んで犯人逮捕、とか、
困った→こんなときはこの商品で解決!とか、
事件と解決が直結したものは、
ストーリーではなくCMかレポートにすぎない。

ストーリーとは、
事件と解決の間の、紆余曲折がメインディッシュだと思ってよい。
事件は食前酒、解決はデザートくらいに考えておきなさい。

長編漫画でいえば、
事件は第一話、解決は最終話、
または、事件は第一巻、解決は最終巻、
くらいの分量バランスをイメージしておくこと。
つまり、色々、色々な何かが沢山ある。
ここを考えられないやつは、ストーリーテラーではない。


解決のないストーリーは、ストーリーではない。
「俺たちの戦いはこれからだ」で終わったら、
ストーリーではなく、打ち切りと呼ばれる。

嘘だと思ったら、
フィンチャーの「ゾディアック」を見ると良い。
ネタバレすると、「解決しないのかよ!」で終わる、
珍しい映画だ。
「いやー良かったわー」と思う人が、
世界の何%いるか想像してみよ。
酷い目にあった。

事件は振りで、解決は落ちだ。
落ちのない話は話ではない。
落ちは笑いである必要はない。
「終わった」感のことと広く考えよう。


これらの時間軸の要素に対して、
空間の要素は、
登場人物と事情だ。

登場人物が宇宙の構成要素、原子とか恒星をイメージするとよい。
その進む方向が事情である。

登場人物は、
それぞれ年齢や性格や職業や特徴があり、
人間関係や過去を持っている。
それの全てを使う。
逆に使わない要素は設定しない。

逆に、使う要素だけしか、その登場人物には設定されていない。
「塩辛いものが好き」ならば、
必ず味に関する話か、高血圧の伏線になるわけだ。
それら以外では、おそらくその設定は不必要だ。
(もっとも、バレバレの伏線になっては意味がないから、
バレないようにうまく設定と使用を組むべきだ)

また、
登場人物は動いて初めてストーリーになる。
わざわざ動くには事情がないと、
なかなか人はリスクを冒さないだろう。
借金を抱えている、追われているなどの、
後ろからの事情と、
好きになった、夢がある、
などの前からの事情がある。

とにかく、動きたい何かがなければ人は動かない。
事件に関与して展開に関わり、
結末に関係してくるのは、
彼らに動機や事情があるからだ。


登場人物の数だけ事情がある。

事情や行動のない人物もいるが、
それは背景扱いなので、
事情を持ち行動する人物をメイン登場人物と呼ぶ。
ストーリーには最低2、出来れば3、
映画は5〜6は必要だろう。

つまり、事情の数もそれ以上ある。
「以上」と書いたのは、
一人が複数の事情を抱えることもあるからだ。
たとえば恋と仕事を抱えたり、三角関係になるのは、
代表的な複数の事情だ。
日本を良くしたい政治家が、闇と取引するなどもあるよね。


さて、
あなたは、この物理要素を決めなければならない。

n人の登場人物、n以上の事情、
事件、展開(たくさん)、結末。

この全要素を確定したとき、
ストーリーが決まったと言えるだろう。

ここでは、
セリフや伏線や感情移入やテーマや、
ガワの魅力などの要素は入っていない。
ただ物理要素である。

ただ、プロットはこれらで構成可能だ。
まあ書いてるうちにもっと書き込みたくなるけど。

逆に、瑣末なセリフやガワにとらわれていて、
この物理要素が足りていないならば、
一生プロットは組めない。


その、最低限の要素を書き出してみた。
自分のストーリーに足りていないのはなにか、
参考にされたい。
posted by おおおかとしひこ at 00:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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