2022年08月02日

【薙刀式】月の人と親指の人の雰囲気の違い

配列と使い手の関係はあるんだろうか。
tkenさんの証言が興味深い。
https://twitter.com/fsktakahasi/status/1554059048831840256?s=20&t=dL10V3_Qtw-6zDhv9FwZnQ

以下僕の仮説。


親指シフトは、
「それしかない!」と思い込んでる人が多く、
月は、
「まあ違ったら改造すればいいし」
と思ってる人が多いように思う。

最初のバージョン月配列2-263が、
完成度が高いが妙な欠点があるという、
微妙な版だったことが大きいのではないか?

だから、
「My月配列」が基本になってしまい、
月配列のアイデンティティが曖昧になり、
親指シフトほどの執着が生まれなかったのでは説。


月配列のアイデンティティは、
・新JISベース
・DK前置シフト(同手逆手関係なし)
・濁点、半濁点後置
・IMEのローマ字定義で実装
あたりだろうけど、

・SLも使う
・同手と逆手を分ける
・DKをEIにしてみる
・シフトキーを増やしたり、左右非対称にしてみる
・拗音規則配置面を入れたりする
・配字をGAなどで新しくしてしまう
・外来語対応
・IMEだけで実装できないやつ
 (同時打鍵など)

なんかが入り乱れて、
どこからどこまでを月と呼ぶべきかの境界線が、
かなり曖昧になってしまった気がする。

だから、
「これでなくてはならぬ」感があまりなくて、
「自分が月配列といえば月配列ですよ」
みたいなゆるさが生まれたのではないか。

一方親指シフト派閥は原理主義者が多い印象。
誰もその配列をいじろうと思っていない感じ。
小梅や飛鳥への発展はどういう風に見られていたのかは分からないが、
至高なのだから一つもいじるべきでない、
みたいなタブー扱いされていたのかしら。

僕はぱっと見で句読点は変だと思ったし、
「う」「い」「ん」の位置がおかしいと思い、
シフト側の「あ」「な」あたりも変だと思い、
「け」「と」がホームキーなのも変だと思った。
半濁音や小書きの覚えにくさも、
改良の余地があると思った。

これが月の人ならば、
すぐにバージョン違いを作ってしまうんじゃないかな。


実装の簡単さが、
その温度差なのかもだ。

IMEのローマ字定義さえ分かれば、
いくらでも試せる月と、
エミュレータ内のファイルをいじる面倒さの差が、
両者の温度差のような気がする。

月配列はなんだかんだいって、
二打鍵と一打鍵の混合配列で、
ローマ字よりも多少打鍵数を得する、
くらいの感覚だから、
応用可能なライフハック的なライトな立ち位置で、
親指シフトは、
同時打鍵やら1アクションで濁音が出るやら、
ワープロコンテスト日本一やらで、
「世界を変える素晴らしい発明」
くらいに気負いがあったのではないだろうか。

qwertyとリズム感が共通する月と、
まるで違うスタッカートが親指シフトだから、
清水の舞台から飛び降りるつもりでないと、
親指シフトはマスターできないため、
コンコルド効果がより出やすいのではないかな。

(コストがかかりすぎて明らかに失敗だとわかっているのに、
損切りできずにズルズル経営を続けたコンコルドから。
最初にかけたコストを無駄だと思いたくない心理)


親指シフトはだから、カルト宗教に似ている。
月配列は、孤立した人々のゆるい繋がりに見える。

親指シフトは、変えちゃいけない秘伝のタレで、
月配列は、それぞれの家庭で違う味の味噌みたいな。
タレ保存会と、味噌持ち寄り会みたいな差かな。

ものすごく熱を持って盛り上がったわけでもないし、
ついに決定版が更新されなかった月配列。
熱はあったが高齢化のため?声が徐々に小さくなってきた親指シフト。
どっちの勝ちだろう。
いや、勝ち負けではないんだが。


月配列2-263の次の結論は月U9RCでいいのかしら。
ぶな配列とか叢雲配列はたまに聞いたけど、
どの月が優秀なのか、
横断的な議論を見たことがないため、
評価する言葉が生まれなかったのかも。

計算指標での客観評価に頼りすぎて、
数字評価の基準を決めることが、
そもそも難しかったこともあろう。
(客観的な評価基準を定めることが、
もはや恣意的、主観的であるという議論になるし)

この配列だとこのようなフィーリングだ、
あるいはこのようなフィーリングを目指すべきだ、
みたいなふわっとした評価基準がないと、
「無難な計算指標だけを満たした配列」になり、
局所最適の井戸に陥ったのかもしれない。

これは近年の人工知能やビッグデータでもあり得る議論で、
計算評価の指標選定の難しさ(フレーム問題)だね。
フィーリングは計算可能か、みたいな問いになってしまう。


ということで、
計算指標や探索手法の、
初期の議論としては月配列はそのような実験の場であった。
そこで得られたフィードバックを、
使い続けている人はなかなか見られない。
伊藤家の食卓の裏技を使い続けてる人と、
どっちが多いんかみたいな?


実験をして結果にドライな理系の月配列、
実験評価改善の手段がないため、
「信じる」しかない文系の親指シフト、
みたいな違いが、
ざっくりあるような印象だなあ。

理系は結局「日本語だけを最適化してもしれてる」
となって、USキーボードで英日を使うとか、
キーボードをなるべく使わないような、
別の最適化へ進んでしまった感じがするね。

そもそも全角半角やBSエンターカーソルの遠さや、
記号類については触れてなかったわけだし。

今自作キーボードに帰ってきたら、
また別の工夫があり得るかしら。



月配列に関しては、
https://d.hatena.ne.jp/keyword/月配列
がなかなか読み応えがあってまとまっていた。

「探究は続けられている」的な終わり方だったが、
探究は終了したのだろうか。
「使用実態が確認されない」として、
親の新JISと同じ最後になったりして。
posted by おおおかとしひこ at 08:16| Comment(0) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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