2022年08月04日

文化の差をAIはとりこめるか

相変わらずAIのお絵かきをサーチして楽しんでるのだが、
海外のものは、油絵ベースの、
重ね塗り技法が多く、
つまりは書き込み命の、足しっぱなしにしていく絵が多いように思う。
たとえばこんなの。
https://twitter.com/toikoh9114/status/1554508457294053376?s=20&t=Eq2Xk_ZlDpatOd-fe5reHQ


これは映画美術では、
ディテールマシマシの技術として知られるやつで、
ミレニアムファルコンや、
ギャラクティカに、
プラモの細かいパーツを貼り付けることで、
「細密画にしてく」方法論だ。

これは、デッサン力と根性があれば、
誰でもたどり着ける方法で、
あとは光と影を観察すればいい。

AIの学習はすでに出来上がっている、
完璧な油絵から学べばいいから、
比較的精度が高くこの手法を学ぶのだろう。

とくにホラーは相性が良いね。
かつて「AIが描いた絵」が登場した時、
完全にクトゥルフだったもんね。
クトゥルフは、なにか根源的ななにかに触れてるんだな。


一方僕が衝撃を受けたのは、
この作例。
https://twitter.com/ryoh80/status/1554344824827809792?s=20&t=og1FpGNC5xhyucrd9ahLhg

不気味で怖い神社に、
巨大観音と、
怖いやつの組み合わせがすごい。
そして何より、巨大観音の顔が「空」になってて、
怖いの三乗になってるのが見事だ。

基本的には足しっぱなしのAIのアルゴリズムで、
「空」いくのかよ、
と感心したんだよね。

この引き算こそがもっとも難しい技術であることは、
絵描きや物書きならば、
よく知っていることだろう。

特に日本画など、背景を省略することで、
面白い図-地分離を表現する例がある。
イラストの省略技法にもそれは受け継がれている。

案の定イラスト系はAIはダメで、
おそらく、
その根本的なアルゴリズムが、
Σの足し算で行われているからだろう。
負の足し算を許容するアルゴリズムにすると、
こうした引き算の絵を学習するかもしれない。

あ、でももともとは興奮と抑制という神経機構を模してるから、
抑制を入れたアルゴリズムも研究されてるのかね。
恐怖という抑制があったほうが、
拮抗する別の要素を生むような気がするがなあ。


AIはまだ足し算しか得意じゃないだろう。
引き算を学んだら、
クリエイティブとは何かがわかる日がきたりしてね。
posted by おおおかとしひこ at 12:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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