2022年08月08日

【薙刀式】トリル測定から得られた、右手アルペジオの真実

従来の打鍵理論は、
なんとなく主観的に、経験的に、
こうだろうと思われる一般論で語られていた。

もちろん以下の議論が、僕一人の例外の可能性はある。
ビッグデータを取らないとほんとのところは分からない。

だが、以下のデータでは、
右手アルペジオに関して、
一般的打鍵論に反する部分がたくさんある。


まず測定結果を再掲。
右手中段始動、中、上、下段へのアルペジオを測定。
(下段始動、上段始動について、
また左手アルペジオや左右交互については近日)
tril_test.jpg


一般的に言われていること:

・ホーム段の組み合わせは優良なアルペジオをなす
・同指連続はよくない(遅い、疲れる)
・同指縦連はよくない(遅い)
・同指連続は遅い
・外から内に指が流れると、良好なアルペジオ
・下段は打ちにくく、上段のほうが打ちやすい
・Hがらみで有効なアルペジオなんてあるわけが…

これらは全て否定される。
ていうか、
ある部分は正しいが、
例外もたくさんある、
という方が現実をよく表している。
つまり、上の一般論は、
一般論にするには例外が多すぎて、
一般論たり得ない、という結果が出た。

注意すべきは、これは僕の結果なこと。
僕だけ一般論が通じない特異者の可能性は0ではない。
だから正確にいうと、
一般論は僕にあまり通じなかった、かも知れない。


まず最速10と最遅10を見ていこう。
薙刀式のカナを併記する。

最速10:
J始動とH始動しかないため、コラムを分けてみる。

ある JI
あい JK
あう JL
くい   HK
くる   HI
くう   HL
あす JO
あー J;
くす   HO
あへ JP

最速アルペジオはJKかJIか?
というのに答えが出た。同時というオチだった。
逆のKJは二段ほど落ちる速度で、
これも意外。
指の運動としては等価だが、目は画面を見ているため、
無意識に薙刀式であまり打たない「いあ」
の組み合わせに違和感があったのかもしれない。
あるいは、普段その連接を打ってないから、
指の神経ができていないかだ。
中段始動のため、JIの逆にIJについては未計測。
いずれ全計測してこのへんの考察をしたい。

J始動が強いんだろうなと思っていたが、
H始動がランクインしてるのにびっくりする。
ホームポジションからの移動分はトリルだと加算されないから、
実質ちょっと伸びた人差し指にすぎないのかもだ。
KILOに繋がる時が速い。
また、;PもJからなら十分速いわけだね。
Hからだと;Pは遠すぎるのか、一段落ちる感じだ。

これは僕の指の特性なのかもしれないが、
人差し指から外の指へ行く時がとにかく速く、
しかも同段、上段が同等くらいに速い、
という感じになった。
中指薬指は人差し指より長いため、
そのようになったのだろう。

なおPは薬指で取っているが、
Oより一段劣る。まあ直観通りだね。

しかしJPがこんなに速いのなら、
別のカナを入れる価値があるかも?


最遅10:
これも;がらみとL絡みできれいに分かれた。

ーん ;,
うん   L,
ーす ;O
ーれ ;/
ーへ ;P
ーる ;I
ーら ;.
ーた ;N
いー K;
うれ   L/

;からの連接がやたら遅い。
どのキーと絡んでも大体遅く、
そのうち端の方が遅くてランクイン。

Lからの下段、L,とL/が、同指縦連のL.よりも遅い。
手の形も作りづらいし、
これをやるくらいなら同指縦連のほうがまし、
という例かも知れない。


全体的にいうと、

・人差し指から小指にかけて遅くなる
・Hは、中指相当〜薬指相当
・中段同士なら、内→外のほうが速い

の傾向が見て取れる。
このうち最後のものは、
これまでの常識とは異なる結果だ。
全般的に内側指のほうが速いため、
内→外にしたほうが速いという理屈だろう。
上下段に振られるとまた事情は変わると考えられる。
このへんは中段始動のみの調査なので、
全部出揃ってから再び考察するべきかな。

あとはこの原則に反するところをピックアップしていくとしよう。

・人差し指二連打は、どのキーでもほぼ同じ

HYUあたりが絡むと遅くなるかと思われたが、
さすが一番の指右人差し指は、
どのキーの組み合わせでも、
同鍵連打でも、ほぼ同タイムを叩き出す。
やはり同段同士が抜けて速く、
段が変わるとその分遅くなる。
特に同鍵連打と変わらないというのが発見かな。
人差し指はええ。

・K;、;Kが理不尽に遅い

だいぶ前にアルペジオ測定をしたとき、
中指小指の、薬指を挟んだ組み合わせが一番遅いことが分かっていて、
それが如実に出た感じだ。
だがこれは中段同士の組み合わせだけの特色で、
段が変わると変わるっぽい。なんでやろ。

そういえば新下駄の「ない」が;Kで、
ここだけ異常に打ちづらかった覚えがある。
これは僕の特徴なのか、人類共通なのか、
とても気になるぞ…

・;Lが理不尽に遅い

;始動は基本遅いのだが、中でも外の→内のアルペジオのはずのこのパターンが、
異常に遅い。;連打、L連打よりも遅い。
逆にL周りは、
L始動のアルペジオはL連打よりも全て遅い、
という悲惨な結果となった。

不器用な人ほど同鍵連打は楽というが、
僕は薬指小指は不器用の範囲に入るっぽいな。

単純に外→内のアルペジオよりも、
内→外のアルペジオの方が速いのは、
手首の外回転(ローリング)のほうが、
やりやすく速いからではないか?

この辺は人によって変わるのか?
今回は格子配列オールコンベックスキーキャップでの測定だから、
多少は変わってくるだろうか?

・L始動では、LIだけが異常に速い

中指>薬指の長さで、
きれいに形が作られるからだろう。
同じ原理ならば、
.Kも速くなるはずだ。追試を待ちたい。

・K始動では、KUが異常に遅い

上の逆の例で、
畳んだ長い中指→伸ばした短い人差し指
を強いられるからだろう。

また、KYがKUより速いという、
興味深い結果になっている。
これは左右分割キーボードでの測定が関係してると思われる。
端っこのキーは思い切って滑らせて打てるからだ。
Yの向こうに何もないと、思い切りがよくなると思う。

・LN、LMは速いのに、L,がワーストクラス

これも指の形の影響だろう。
伸び伸びと伸ばせて滑らせられるものと、
指を不自然に畳まないと打てない窮屈の差だろう。
しかし露骨な差だなあ。

・J,は案外速い

じゃあ,全般が全くダメかというとそうでもなくて、
J,は例外的に速かったりする。
薙刀式では「あん」が当たっていて、
そこそこ使う前提になっている。

昔の薙刀式では「゛ゅ」だったなあ。
指の形を毎度作るのがきつくて廃止したが、
これが打てるなら今でも「ゆ」の最適解だと思っている。

・;M>>>;Nの謎

どっちも変わらないように思うのだが、
数ランク変わってしまった理由は不明。
調子?



などなど、
やはり生きたデータを見るのはとても興味深いね。
さて、これまでの一般常識的打鍵理論は、
覆される要素がたくさんあった。

・ホーム段の組み合わせは優良なアルペジオをなす
→薬指小指がらみはそうでもない

・同指連続はよくない(遅い、疲れる)
→人差し指連続は結構よい
 薬指小指はそうではない

・同指縦連はよくない(遅い)
→中指縦連は、準最速クラスを出している

・同指連続は遅い
→薬指小指同士を絡めるくらいなら、同指連続の方が速い

・外から内に指が流れると、良好なアルペジオ
→ほとんどは内→外のほうが速い

・下段は打ちにくく、上段のほうが打ちやすい
→そうとも言えない

・Hがらみで有効なアルペジオなんてあるわけが…
→Jとほぼ変わらない最速を出す組み合わせがあり、
 この位置を有効活用するべきでは?


などの反論があることがわかった。

大変興味深いので、
また時間をとって追試をしなければ…

もしタイピングソフトで計測できるやり方があったら教えてください。
あとこの方法で、
僕と違う傾向が出るのか、大変気になっている。

あと大変面倒だけど、
異なるキーボードで異なる結果になるのかも。


標準化された客観的に比較可能な、
連接速度の測定によって、
みんなの運指を比較検討できる日は、近いのか?
posted by おおおかとしひこ at 17:03| Comment(0) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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