人生でよく言われるが、物語でもおなじだ。
なぜなら物語は人生のシミュレーションだからだ。
物語のはじまりは事件であるが、
ほんとうのはじまりは、
主人公の行動である。
これは開始5分ないし7分以内におこるべきだ。
ある事件に遭遇した主人公。
第三者の事件でもいいし、
当事者になってもいい。
その時に何をするか?
コメントしたり批判したり、
黙っていたりでは、ストーリーにならない。
行動である。
よくある行動は逃避だ。
困ったことになったら、
人はなかったことにしたり、
そこから逃げ出したくなるものだ。
次にある行動は、たたかう、である。
闘う行為には、反発がある。
何一人で空回りしてんのバカじゃねえの、
という冷めた目線であったり、
直接妨害する、反対の利害の者もいる。
逆に、協力してやろうという人も出てくるし、
その協力者との利害衝突もあったりする。
行動は波紋である。
波紋は波紋をよび、
穏やかだった水面は、ぐちゃぐちゃになってゆく。
主人公はどうするだろう。
それでも一人で行動を続けるだろうか。
協力者たちと行動するだろうか。
敵や利害関係者と、折衝するだろうか。
あるいはまた逃げ出すだろうか。
物語とはつまりは、
「最初に行動した責任の、末路」がエンドである。
「行動なんてするもんじゃない、
損するし、馬鹿馬鹿しいだけだから」がバッドエンドで、
「行動には色々なリスクが伴うが、
やってよかった。少し世界は変わったし。
(あるいは劇的に改善した)」
がハッピーエンドで、
「行動は世界を変えたが、
逆にこのような悪い面が表面化して、
プラマイでいうと0だ」がビターエンドである。
現実の人生でもわかるように、
行動して世界を良くすることなんて、
なかなかない。
多くは徒労にすぎず、世界がうまくいくことは滅多にない。
だから、物語の中のハッピーエンドを、
皆が見たがるのだ。
自分は出来なかったけど、
出来た人がいるんだなと。
昔野球部をしていたが引退してしまった人が、
プロ野球を見て、夢の続きを見るようなものだろうか?
あるいは、野球をしてみたかったけど、
出来なかった人が、プロ野球を見たがるようなものだろうか?
そこまで意識的でないにせよ、
人の行動からの成功は、
見ていて清々しいものだ。
物語で唯一最低限のルールを定めなさい、
と言われたら、いくつか回答があり得るだろうが、
僕は、
「行動による成功」と定義すると思う。
「言ってるだけで成功」に人は憧れる。
ひろゆきとかホリエモンとかね。
そもそもひろゆきは2chを開設した、
行動した人で、そのあと適当なことを言ってるだけだ。
ホリエモンだってライブドア社長で、
それを育ててきた行動した人で、
余生でごちゃごちゃ言ってるだけだ。
行動して成功した人だけが発言権があるのかもしれない。
行動もせずにうじうじしてるやつは、
一生日が当たらないのだろう。
だから、行動に憧れるのかもしれないね。
主人公の主な行動は、何回あるべきだろう?
一回じゃ済まないよね。
最初に起こした行動の波紋に対して、
どのような処理をするかだからね。
じゃあ二回?
そんなピシャリと収められる?
二回目の行動に対して、また周りが色々やってきて…
それに三回目の行動で対処して…
と、
ループがはじまるはずだ。
展開とはつまり、
n回目の行動と、それに対する相手の行動のことなのだ。
将棋やゲームに例えるのもよくわかるね。
ただしターン制じゃないけどね。
nはいくつ必要だろう?
5分に一回行動すれば、120分なら24回だね。
10分に一回行動すれば、12回だけど、
これは少ないと思う。
「話が動かねえな」ってなるもんね。
ということは、
12〜24の間の回数、行動を考えればいいわけだ。
そのいくつかは自動的な反応だろうけど、
そのうち何回かは、「たったひとつの冴えたやり方」であると、
話が面白くなってくるだろうね。
そしてその行動は、
世界を変えて、世界を良くするんだろうか?
ハッピーエンドを書くのがどれだけ難しいか、
よくわかるだろう。
行動は世界を変える。
チャレンジは世界を変える。
そう抽象的に言うのは簡単だ。
実際に12〜24回の行動をして、
世界を変える様をつくるのは、どれだけ大変だろうか。
まあ、だから物語はおもしろいのだ。
極論、
物語とは「行動による成功のシミュレーション」である。
人生で実際に成功してる人は、
あんまり物語を見ないかもしれない。
物語を見る人は、成功童貞であり、
その成功ファンタジーとして、物語を摂取してるかもしれない。
じゃあ変な位置におっぱいがあるエアセックスではだめで、
精巧な成功のシミュレーションであるべきだろう。
現実社会を舞台にしたフィクションがつまらないのは、
「そんな成功現実にはないよ」があるからだ。
極端なファンタジー世界ならば、
行動による成功は描きやすい。
ただ、ファンタジーだけだと足が浮いてるので、
その間が、おもしろいストーリーの対象になるだろう。
その世界で、12〜24回の行動によって、
成功して世界が良くなる様を、つくればいいわけだ。
2022年08月21日
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