絵や彫刻は、ワンコンセプトが面白ければ成立する。
(逆に2つ以上のコンセプトが混在すると、
つまらなくなるだろう)
時間軸を持つ物語は、三つ必要だと僕は考えている。
それは、
「おもしろそう」
「おもしろい」
「おもしろかった」
だ。
おもしろそうというのは、期待感やツカミ感だ。
おもしろいというのは、中身の実際のおもしろさだ。
おもしろかったというのは、
それが世界をきちんと閉じて、
テーマとともに完結したかだ。
「おもしろそう」が欠けると、
誰も入ってこない。
怖い顔をしてる人には近づかないし、
ホームレスみたいに臭かったらみんな逃げる。
平凡な人なら見向きもされないし、
話がややこしそうだったら敬遠だろう。
ある日日常に、花を一つ持ってくるようなものだ。
「おっ」とか、「なに?」であるべきだ。
逆立ちをしてもいい。
事故が起きてもいい。
おや、と思い、立ち止まり、
この先が気になれば、
それは「おもしろそう」に成功したということだ。
これは、冒頭だけではない。
途中の新しい展開は、すべてこうあるべきである。
何か始まろうとしたら、常に「おもしろそう」があるべき。
そうでなければ、だれるだろう。
「おもしろそう」にはいくつものレベルがあって、
毎回大爆発や隕石が来る必要はない。
書類が一個だけホッチキスが逆、
というくらいでもいい。
実はこれは社内不倫してる人達の符牒で、
それが間違って自分に配られてしまった、
というような導入でもいいわけだ。
それは、これから起こることの呼び水であればいいんだよね。
「おもしろそう」だけで、
「おもしろい」が欠けると、
詐欺になる。
ホッチキスの導入が「おっ」となったとしても、
その社内不倫の話が面白くなければ、
出オチということである。
登場シーンがピークなら、
その後を書く意味がない。
僕は常にダースモールを例に出す。
あんなにかっこよかったのに、
何のストーリーもなかった。
出た、バトル、死んだしかなくて、
ただの使い捨てだった。
そう、ストーリーとはつまり、
それらを使い捨てにしない、なんらかのおもしろいことなんだよね。
ストーリーのおもしろさとは、
面白い冗談とか、カッコいい表情のことではない。
勿論これらはウリになるから、
ばんばんちりばめていい。
だけどストーリーにしかできないおもしろさとは、
「次どうなる?」のおもしろさだ。
これがこうなった、次どうなる?
さらにこうなったかー、次こうなるんじゃない?どう?
こう来るかー、
の連続こそが、ストーリーのおもしろさである。
どうやったらおもしろくなるかは、才能であって、
技術の介入度は低いと思う。
起伏と逆に気をつけろ、
サブプロットは利用できる、
くらいしかアドバイスできないかもしれないなあ。
「おもしろかった」が欠けると?
尻切れトンボになるわけだ。
うまく完結できずに途中で放り投げられたり、
せっかく期待したのに全然ダメな終わりだったりすると、
それは駄作認定だろうね。
ラストだけ盛り上がるストーリーもある。
でもそれを見ると、
途中のつまらなさいらなくね?ってなるよね。
また、単におもしろいクライマックスだけでは、
「おもしろい」であり、
「おもしろかった」にはならない。
「おもしろかった」につながるのは、
「意味があった」かどうかだ。
ただ面白い冗談をいいました、
ただ事件が解決しました、
では「おもしろかった」という「満足」には至らない。
フルコースの料理を食べただけでは、
「おもしろかった」にはならない。
これきっかけで話すようになったとか、
これではじめて食べたものが、
その後の知識を大きく変えるものになったとか、
それを摂取した人の、
なんらかの血肉になって、
はじめて意義がある。
それは、人生に対するテーマに、
ひとつの小さな結論を出すことで得られる。
人生に関することで、
○○は○○だろうか?と問い、
○○は○○だったのだ、
と直接言わずしてもわかるようになっていて、
だからうーむと唸り、納得して、
「この話を見てよかった」
=「おもしろかった」になるわけだ。
これがないと、ただ終わっただけの、
大量消費で終わってしまうよね。
つまり、
おもしろさの三種類とは、
ツカミ(日常を壊すこと)、
展開(次はどうなる?のジェットコースター)、
満足(結論が出ること)
と言い換えることができる。
自分のストーリーのこれはなにか、
答えられるだろうか?
出来上がったもののこれを答えるのではなく、
「これから書こうとする話」の、
これが見えてるか?
という話だ。
まずこの三つを書き出して、
書き終えた時にそれが出来ていたかをチェックしよう。
最初に書き出したものに答えていない、
あるいは超えていないなら、
答えるまで、超えるまで、執筆はしなければならない。
2022年08月26日
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