1. 文字種が多いから
2. 連接があるから
の二つに単純化できる気がする。
1. 文字種が多いから
「アルファベットは26音、
カナは50音」
なんてみんな思ってるけど、
それは詭弁だ。
カナは、
清音46、
促音1、長音1、句読点2、
濁音21(ヴを含む)、
半濁音5、
小書き9(小ゎを含む)
の、85種ある。
なお、2文字で1音を表す、
拗音、外来音(しょ、ファなど)も加えると、
拗音36(ぢゃ行を含む)、
外来音20(薙刀式の採用分)の、
56が増えて、
計141種になる。
これを、30キーに乗せるために、
各種シフト機構が必要になるわけだ。
複雑になり、
シンプライズすることが難しい課題なのは当然だ。
26+句読点2=28キーの、
英語アルファベットとは桁違いの複雑さがある。
141ものカナを別々に置くと、
マスターすることは相当に難しい。
だからカナ配列では、
濁音同置、別置、などのようにして、
同位置に置くか置かないか、などの選択をすることになる。
同位置に置くことで記憶負荷を圧縮できるとする同置派、
自由に別位置に置いたほうが、
それぞれに異なる連接を利用できる、という別置派と、
さまざまな流派がある。
同置系のやり方を整理しておくと。
濁音同置のやり方:
2打系: 濁点後置(JIS、新JIS、月)、濁点前置
1打系: 親指同時(親指シフト)、薬指同時(下駄)、人差し指同時(薙刀式)
半濁音同置のやり方:
2打系: 半濁点後置(JIS、新JIS、月)、前置、小指シフト(親指シフト)
1打系: 人差し指同時(薙刀式)
小書き同置のやり方:
2打系: 小指シフト(JIS)
1打系: Qと同時押し(薙刀式)
拗音同置のやり方:
3打系: イ段カナ+濁点半濁点+小書き
2打系: ない?
1打系: 規則的に決められた拗音マトリックスと拗音キー同時(新下駄など)
右手のイ段カナと、それを規則的に変化させる左手との同時押し
(シン蜂蜜小梅)
使用するカナの同時押し、濁音半濁音は3キー同時(薙刀式)
外来音同置のやり方:
3打系: 大文字+濁点半濁点+小書き
1打系: 使用するカナ+人差し指の3キー同時(薙刀式)
n打系と逐次にするか、
同時押しにするかは、好みが分かれるところかもしれない。
2. 連接があるから
もし文字が全て等しく使われ、
等しい確率で各文字に繋がったら、
配列などいらないだろうし、
それは言語ですらないかもしれない。
ただのランダムタイルだからね。
言語が言語たるのは、
そのランダムノイズから、
確率を偏らせて秩序を作ったことにあるかもしれない。
問題は、
その使用頻度順に、
アルファベットもカナも整理されていないことだ。
もし頻度順に整理されていたら、
ABCはENTに、
あいうはいうんになるだろう。
アルファベット順、50音順は、
実用レベルでの整理ではない。
どこかのいつかの学者の整理に過ぎない。
むしろ、カナ配列を作る行為とは、
頻度順に並べた50音(140音)を作る行為だ。
そして頻度順に並べればおしまいではない。
ある文字の次に来る文字の確率は、
統計的に決まっている。
ある文字の前の文字もだ。
そして2連接だけでは正確ではない。
3連接、4連接…もある。
日本語の平均文節数だけそれを正確に捉えればいいだろうか。
それとももう少し連接を考えればいいだろうか。
その繋がりやすさが、
繋がりやすい指の流れになるのが、
使いやすい配列だと思う。
だけど「文字のつながりやすさ」は科学的に統計データがあるが、
「つながりやすい指(キー)」は、
科学的なデータはない。
僕はそこが不満で、サンプル1でいいから正確にデータとったろ、
とやってみた。(現在解析中。とるさんのデータをどう使うかも考え中)
あるいは、物理キーボードにの差異によって、
繋がりやすさに差が出ることも考えられる。
これらの事情を含んだ上で、
「最適なカナ配列はなにか?」
を問うことは簡単だが、
答えることは大変に難しいわけだ。
それが最適だという評価方法が定まっていないからだ。
主観的な「使いやすいよ」はいえても、
科学的に使いやすさを定義できないからだね。
問題の原因がわかっても、
その解き方まではわからない。
だからカナ配列の設計に、
これだという答えがないのだろう。
で、各自の思う使いやすさ、使いにくさの指標が、
乱立しているのがエルゴノミクスの答えのなさなのかもなあ。
現在集計中の連接評価が、ひとつの科学的根拠になるといいが。
2022年08月22日
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