2022年08月25日

【薙刀式】「覚える」という感覚とは少し違う

「薙刀式覚えてみようかな」というツイートを見て、
それはまだやったことない人の感覚なんだな、
ってことがわかった。

配列のブラインドタッチはね、「覚える」もんじゃないんだよね。
「出来るようになる」だと思うんだ。
だって頭が覚えてても、体が動かないってことがあるからだ。


もちろん、「体が覚える」
という言葉があるから、
そっちの感覚の話をしたのかもしれない。

だけど、「覚える」という言葉をデフォで使う時は、
「頭で丸暗記する」のほうがふつうだろう。

配列は頭で覚えるものじゃない。
体で覚えるものだ。

なんなら、体で覚えさえすれば、
頭で覚える必要はないのだ。

どういうことかというと、
「駅までの道順」だと思えば良い。
体の感覚として、ルートがイメージできると思う。
しかし地図を書いて知らない人に説明して、
となると急に難しくなる感じ。

あの感覚に近い。
それは「この角を右に曲がって、
次の角を左に曲がり、まっすぐ行って…」
という「頭で覚えること」とは少し違う。

駅まで歩く時、
その覚え方をしていないことに気付こう。

なんとなくこっち、という感覚だけがあり、
あとは無意識に手足が動くだけだろう。

逆に、頭で考えると間違うことあるよね。
工事中で道が変わってて、
あれ、間違えたのかなと別の道をいき、
感覚はあってたわ、ということがよくある。
そういう感覚が、
配列をブラインドタッチで使う感覚なんだよね。


だから、体感覚という感じだと思う。
平衡感覚とか方角の感覚に近い感じ。

だから「覚える」というよりも、
「体を作る」という感覚に近いと思うんだよな。


二つ目の感覚をふくめて「覚える」
と言っている可能性もあるけど、
僕は、二つが未分化な人なんじゃないかと推察した。

逆にいうと、
日本語にはこの二つを区別する言葉がないと思った。
言葉のないところには概念はない感じ。


もともと「習得する」「体得する」が先にあり、
体で覚えることを人類はやってきたのだろう。
農作業や武術はそうだよね。

ところがどこからか、
「頭で覚えるだけでうまくいく」ような、
「知識」というものを人類は発明した。
それに基づいて文明を発展させたから、
知識さえあればOKと考える、
頭でっかちがデフォになった。

字を書くとかブラインドタッチすることは、
それ以前の、身体感覚による技能だということが、
だから隠されて見えなくなってしまってるのかもしれない。


僕は頭で覚えることがほんとに苦手で、
かわりに体で覚えることで、
受験もその後の勉強も乗り切ってきた。
手が勝手に公式を書くまで覚えてきたんだよな。
脳内発声がないから、音では覚えていない。
いつも手の動きで発想をする。

空手を一通りマスターした人に、
「新しく全然違う動きの、合気道をやるぞ」
といえば、
「よし、じゃあその動きを何回かやって感覚を身につけるか」
ってなると思う。
「よし、覚えるぞ」とはならないだろう。

もちろんダンスのような決まった動きでよければそれもありだが、
自由に動き回らなければならないときの対処法の動きは、
ただ覚えただけじゃぱっと無意識でできるようにはならない。

空手でもなんでもいいから、
一通り「体感覚をつくった体験」があると、
ブラインドタッチを頭のことだとは思わないかもしれない。


仮に配列図を「頭で覚える」ことが出来ても、
その配列を使えるようにはまったくならない。

薙刀式でいえば、
脳を介さずに「ある」「ない」が打てたり、
脳を介さずにBS出来たりすることが、
薙刀式を使えるってことだと思う。

頭を経由していては遅い。
配列はだから、指や手や腕の神経に、記憶されているのだろう。
たぶん僕が両腕を切り落としたら、
薙刀式を義手で使うには、
別の学習が必要になると思う。

その訓練を「覚える」とはいわなくて、
たぶん「訓練する」が正しいんだろう。
上位概念は「まなぶ」だろうけど、
この、体で体得する、というのに当たる和語がないような気がするなあ。

出来るようになる、動かせる(ようになる)、
得る、あたりしかない気がする。


ちなみに英語で調べると、
acquireがある。masterでもよい。
もちろん途中だとtrainも使えるだろうね。
この感覚が日本語にないんだよな。
言語の習得は、だからacquireを使ってlearnは使わないそうだ。

さらにちなみに、acquireを英和にすると「ものにする」とあった。
ぎりぎりこの感覚かな。
でも複合語であって、一語にならないっぽいな。
posted by おおおかとしひこ at 12:51| Comment(0) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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