2022年08月28日

プロットの博物学

物語要素事典。
昔ブクマして、すっかり忘れてたやつ。
これはすごいぞ。
https://www.lib.agu.ac.jp/yousojiten/
(作者の教授が退官したため、元サイトから移行したそうです。
あまりにも貴重なまとめ)

古典を中心とした、プロットの博物館だ。
そしてそれがメイン要素ごとにタグづけされて分類してある。


少し読み込むとわかるが、
特に知ってる物語だと、
「え、プロットってこんなに少ないの?」
って思うんだよね。

手塚治虫などの収録もあるから、
あの豊かな物語に対して、
なんという少なさよ、と、
痩せこけたそれを見て思ってしまう。

でも逆なんだよ。

ここからスタートなんだ。

この基礎の上じゃないと面白くならないし、
この基礎の外にどんなに面白いものをつくっても、
それはその物語のためには無駄なのだ。

だから、偉大なる物語は、
これを出発点にして、
いかにして組み上げたかを比べると良い。

勿論、知らない物語に関してはネタバレ集なのだが、
優れた物語はプロットのネタバレごときでは、
びくとも揺るがない価値がある。

でもすべてはプロットの上に乗っている、
という構造を知ることだ。


しかしどの項を読んでも面白い。
これはネットじゃ勿体無くて、書籍で欲しくなるやつ。
ことあるごとにペラペラ見たいやつや。

問題は、あなたがこれに匹敵する/超えるプロットを組んでるか?
ということだ。
大したもんじゃなえな、俺の方がいいぞ、なら大いに結構。
しかし時折「負けた」ってやつがあるから面白い。

円環構造 ★5「天狗裁き」

なんて、円環構造と知ってても「うまい」って言っちゃったもの。
短編ならではだけど、
落語には星新一みたいな人が沢山いたのかもなあ。
落語全然知らないけどたまにすごいのあるよね。

こうした構造の本質を勉強する上で、
格好の教材だね。

俺も知ってる映画ならめちゃくちゃプロット提供できるけど、
古典映画のみに絞ってるから、
初出かどうかのチェックがあったんだろうか?




この事典を使いこなせる人は、
このプロットを見て、
自由に改変して全く別のプロットを組み上げられるレベルの人だ。

まったく新しいプロットが浮かばなくなったら、
パクる誘惑に負けるかもしれないが、
組み直す実力がないならば、
パクっただけの質の悪いものになるだろう。
そしていずれそれはバレて身を滅ぼすことになる。
つまり、
パクったろというレベルの人には使いこなせない事典だ。
posted by おおおかとしひこ at 00:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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