アングルを規定してしまえば、
それは争いの大義名分になるよ、
という話をもう少し続ける。
宇露戦争を考えればわかりやすいか。
プーチンは、
「ウクライナにいるロシア人を解放するため」
この侵攻をはじめた。
ウクライナにはロシア人が取り残されていて、
ウクライナにいじめられているらしい。
だからロシア人が多く住むクリミア半島を奪回して、
ロシア人を解放させようと。
その事実が本当かどうかはおいといて、
ロシアの戦争のアングルはこのようなものだ。
領土侵攻せずに、
ウクライナ在住のロシア人を、
移民として受け入れたらええやんか。
ウクライナへの武力侵攻の理由としては、
かなり弱すぎる。
二週間で決着をつけると豪語したプーチンは、
世界中から非難され、孤立し続けている。
ウクライナは、
「領土侵犯してきたロシアを撃退する」
が大義名分だ。
武力的には大敗と予測されていたが、
なんらかの武器供与があり、
いまだ持ち堪えている。
ウクライナ側は、ロシアをけしかけて、
武器供与を狙っていて、
兵器の実験場になるかわりに、
その後の利益を約束されている可能性は、
なくもない。
いずれにせよウクライナのアングルは、
「領土侵犯を撃退」から変わらず、
正義はここにある。
アングルとはつまり、
正義対正義の構図をつくることでもある。
一方の世界の見え方と、
他方の世界の見え方は違うのだ。
勝った方の世界の見え方に、なるということだ。
世界は同じかも知れないが、
それをどう見るかは、
人によって異なる。
価値観や判断も異なり、性格も好みも違う。
だから人と人の間に喧嘩は絶えないのだ。
喧嘩はどちらか一方だけが正しいということはなく、
世界の見え方が異なっていることが原因である。
だから正論だけが客観的に正しいはずなのだが、
正論で議論するとなぜか嫌われる。
議論が客観ではなく、世界の見え方の調整で運用されている証拠だ。
だって正論で決着したあとですら、
「あの貸しををこっちで返してくれ」なんてネゴシエーションがあるくらいだからね。
それは議論ではなく調整になってるわけだね。
このように、
大義名分を見つけ、
それらがうまく対立すれば、
それはアングルを見つけた、ということだ。
面白く、感情移入しやすいアングルを、
発明できる人が、
物語作家に向いているわけだ。
すぐれた政治家は、
大衆を巻き込むアングルの発明にすぐれている。
「大量殺戮破壊兵器を見つけ、
自由を取り戻す」というブッシュの中東侵攻は、
そういうアングルであったのは、
結末やその後を見ればあきらかだ。
「働きもせず金を転がして儲ける、
汚いユダヤ人を排斥して、
正しいドイツ民族の国家をつくる」
は、ヒトラーの決めたアングルだ。
実際ドイツは破産寸前で、
第一次大戦の賠償金が足りなかったらしい。
悪役をつくれば、大衆は団結しやすい。
そのことをヒトラーは知ってたんだね。
トランプもアングルがうまい。
Twitter活用は、わかりやすいアングル劇場だったのだろう。
バイデン投票の不正の話は非常に面白かったが、
扇動されたQアノンが阿呆すぎたね。
なんだかんだで売り抜けることがトランプの目的だとしたら、
大したビッグマウスの大商人であったことよ。
別に政治や戦争だけではない。
組織をまとめあげなくてもよい。
人が人と争うときには、
大義名分が必要になる。
嘘として利用してもいいし、
本気でやっててもいい。
真意は本人(と観客)しかわからず、
大義名分で戦っていればいいだけだ。
そういえば宗教戦争は、
神の所在についての大義名分というアングルだったわけだね。
「別件逮捕」なんて言い方がある。
本件で逮捕しにくいから、
別の容疑を無理やり捏造して逮捕することは、
まれによくある。
このことも、大義名分が利用されているわけだな。
野球しにバットをトランクに入れていても、
「凶器を持っている」というアングルにされてしまうわけだ。
2022年09月05日
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