tkenさんの謎かけ。
> 親指シフト、新JIS、TRON、M式と名のある配列に加え、草の根で開発された入力法がたくさんあるのに、速度に関しては普通のローマ字入力と旧JISカナの二強が動かないと言うのは、悔しくはあるけど実に興味深いんですよね。
何故なのか、考えてみたい。
1. 層の違い。qwerty、JISカナともに母集団が多い。
2. 方式上の問題。順次打鍵は極限では同時打鍵より速い。
3. 新配列の想定速度がそこではない。
4. 新配列に手を出す人は、そもそも速度才能がない。
あたりが論点になりそう。
1. 層の違い。qwerty、JISカナともに母集団が多い。
qwertyは何万人どころか、何千万人も、
ブラインドタッチできる配列である。
母集団が多ければ才能がある人もいるだろう。
JISカナはqwertyに比べれば少ないが、
それでも数万人から10万人規模はいるはず。
親指シフトは第三勢力ではあろうが、
現役で使い続けてる人はもうだいぶいないのでは。
さらにその他の新配列ともなると、
1000人規模で使ってる配列ってあるのかなあ。
薙刀式はまだ100人行くか行かないかくらいじゃないか。
母集団が多いほど、卓越した才能が現れる確率は上がる。
新配列は、その才能を引けるほどガチャ回数がないのだろう。
2. 方式上の問題。順次打鍵は極限では同時打鍵より速い。
これはよく言われることだ。
同時打鍵は100ms程度のずれを許容するような初期値になっているから、
最大200ms幅のずれ許容がある。
ということは、そもそも想定してるのは秒5カナ。
ところが現在のトップは秒10カナを超える。
これに匹敵するには50msずれ以下にしなければならず、
同時打鍵配列はかなりシビアな同時打鍵を、
高速で要求されることになる。
これはキツいと思われる。
順次打鍵方式は、原理上いくらでも間を詰められるから、
qwerty、JISカナは同時打鍵系よりも速く打てる。
押す判定だけ見ていればよく、離す判定はどうでもよい。
だから、離す判定も必要な新配列では、
極限スピードに対して繊細すぎるのではないか。
同じ新配列でも、月配列系、いろは坂配列は、
離し判定不要の順次打鍵系であり、
上位に食い込んでいる印象。
新下駄は健闘しているが、
Zタイパーまで絡んでこないため、
トップ争いまでは行っていない。
同時打鍵の原理的限界とよく言われる。
(挑戦者が少ないからかも知れないが)
順次打鍵系新配列がトップ争いに絡めないのは、
単純に母集団の大きさの差ではないか。
100万人いろは坂使いがいれば、トップ争いに絡みそう、
と僕は勝手に思っている。
多くの新配列では同時打鍵を採用しているが、
それは通常運行速度(秒5カナ前後)で楽になるからだ。
極限速度を上げる目的ではないと思われる。
3. 新配列の想定速度がそこではない。
新配列の想定速度は、競争レベルではなく、
実用速度のはずだ。
新JISは600字(変換後)/10分が目標値、
薙刀式は1000〜1500を想定している。
親指シフトは秒3〜4カナだ。
このあたりが実戦的な速度だが、
タイピング競争は秒10カナと、
現実離れした競争に入ってしまったのだと思われる。
新配列の中でもいろは坂は、
競争に耐えうるように作られ、
実際にZクラスの記録を打ち立てているが、
その速度と実戦(創作文を書く)とは、
かなりのへだたりがある。
タイピング競争(秒10カナ〜)が、
実用(秒5カナくらいまで)を、置き去りにしてしまったのだ。
では、qwertyやJISはその競争を想定していたかというと、
そうではない。
偶然、順次打鍵方式であったから、
たまたまタイピング競争に耐えられたのではないか。
4. 新配列に手を出す人は、そもそも速度才能がない。
速度に関する才能と努力は、特別なものである。
そもそもそれがない人が、
楽をするために新配列をやるのでは?
タイピング競争に必要なものを持ってない人が、
新配列ユーザーだといえる。
そもそも新配列を作る人も、同じ動機だろう。
競争の才能がない人が作り、
競争の才能がない人が使い、
qwertyやJISカナにかかる動線の無駄を省き、
快適に暮らしている。
住む世界が違う人、ものは、交わりにくいと思う。
出発点も行く方向も違うから、
新配列で秒10カナを打つこと自体が、
間違えた使い方だともいえる。
ざっくりいえば、
新配列は実戦で楽をして速くなるためにあり、
極限の速度性能(秒10カナ以上の、非現実的な速度)
の追求のためにあるのではない、
からではないか?
新配列が最高性能を発揮するのは、
秒5〜7カナあたりの領域では?
これならば日常ではタイピングが速いクラスで、
同じ速度のqwertyやJISカナに対して、
圧倒的に楽で、それゆえ沢山書けるはずだ。
新配列が遅いのではない。
一般レベルではべらぼうに速いクラスだ。
だけど、
旧配列のqwertyとJISカナの、
順次打鍵を極めた人が、
狂気すぎたのではないか。
その狂気に、新配列勢も追随しようと頑張ってる人もいるけど、
トップに立てていないのは、
1と2の理由だからではないか。
仮に薙刀式使用者や新下駄使用者が1000万人ずついれば、
そこそこスピード競争に絡む人も出てくると思う。
ただトップを取るのは、
順次打鍵方式を極めた人じゃないかなあ。
タイパーぐらい指が動くならば、
同時打鍵などに気を使わずに順番に押してったほうが、
手っ取り早くて楽な気がする。
順次打鍵系新配列、月配列系やいろは坂は、
トップ争いに絡めるだろうか?
個人レベルしかいないのが問題で、
100万人使い手がいれば、絡む人が出てくるのではないかと予想する。
それくらい、速度競争は才能と努力が必要だと思う。
秒10カナの世界でも動線の合理性は効果があるのだろうか?
そこすらも仮説レベルだと思うんだよね。
まだ証明されてないからね。
動線の合理でチートしないほどの指性能が必要なのが、
秒10カナの世界かもしれないし。
2022年09月05日
この記事へのトラックバック
「これより速く打てる方法があるなら」という動機で親指シフトに挑戦しました。
それがあまりに合わなかったので、薙刀式に辿り着き、
今では楽しく常用させていただいている次第です。
思考のスピードで書く、というならqwertyの時点で達成されていたように思います。
ただ、一日の終わりになると指が痛い。
もう10年続けていたら指を壊していたと思います。
それから、薙刀式はなんと言っても「楽しい」です。
具体的には、アルペジオで加速していく感覚が楽しいです。
薙刀式で速度競争は2の理由で難しいかなと思いますね。
それでも研鑽を積めばいつかは自分のqwertyを超えられるのじゃないかというロマンは引き続き持っています。
なるほどなあ、そういう理由でたどり着く人もいるんですねえ。
qwertyでXD出しても疲れるは疲れるんだろうなあ。
薙刀式の秒7カナとか全然想像できないですが、
それでも実用入力では、
25分で3500字行けることは最新動画で示したので、
短距離競技と長距離の実用は、
リンクしないと考えています。