2022年09月18日

【薙刀式】ことばと動画

百聞は一見にしかずという。
実際、この配列がどんな感じかを示すのは、
動画を撮るのが手っ取り早い。
そのことで馬脚を現すこともあるだろう。

でも動画だけでも足りないなあと思っている。
そもそも、ことばありきだと思う。


親指シフトの「指が喋る」
というのは、言葉による捉え方で、
絶妙なキャッチコピーだと思う。

あるいは、飛鳥配列がよく言われる、
「ヌルヌル繋がる」というのも、
分かりやすくイメージしやすくていいと思う。


ところが。

実際に動画を作った場合、
僕はこれまで見てきた親指シフトのどの動画においても、
「指がしゃべってるようだ!すげえ!」
って思ったことないんだよね。

自分の喋る速度よりも遅いし、
脳から出てくる言葉を書き留めるには、
あまりにも遅い動画だらけで、
逆にびっくりする。

飛鳥においてもそうで、
数個しかない現存する飛鳥の動画では、
「ヌルヌル繋がるぞ!」という感想は第一には出てこない。

tomoemonさんの動画は、
速すぎてやってることに理解が追いつかない。


つまり、
「その現実をどう捉えるか?」
だと思う。

親指シフトの動作をただ収録しても、
もったりした打鍵にすぎない。
それでも、
「ローマ字のリズム感に比べて、
一カナ一打鍵だからリズムが日本語だし、
JISカナに比べて、
30キー範囲だから無茶な指の動き方をしていない!」
という風にことばで先に言っておけば、
「ふむふむ、この動作がそれだな」
と見てくれるものだ。

つまり、
「その動作のどこが見るべきところか、
ことばで捉える」
ことが重要だと思う。

達人はちょっと見ただけで大体わかるけど、
素人ほど漫然と見てしまう。
達人はほとんどは見てなくて、
いざという大事な数秒だけを、
めちゃくちゃ集中力を上げて見ている。

その達人の目がない人向けが、
動画を見せることだとしたら、
やはり「この動画の見どころはここなんですよ」
ということばによる「認識」が、
重要ではないかと思う。

かえであすかの動画では、
今のところ「指がヌルヌル繋がる」
ということばを与えたとしても、
なおそのように動画を見ることはできない。

しかし、
「ほとんど中段キーと親指キーだけで打ってて、
だから指の繋がりがよい」
とことばで捉えなおせば、
なるほどそのように見えて、
飛鳥(かえであすか)の優位点が見えやすくなる。


薙刀式はどうだろう。
「指の動きの小ささに対して、
文章が完成する速度が速いことを確認してね」
という解説を最近している。
素人さんが認識できるのは、
その辺りではないかと考えてのことだ。

「アルペジオ打鍵でよく使うフレーズを打てるから、
楽で速い」という捉え方もある。
そう言われれば、
片手アルペジオのタランと高速で打てているところを注目するだろう。

最新動画では、
「候補選択をほとんどしていない」
という捉え方で動画を見ることもできる。

ああ、たしかに短い文節で確定いれてんな、
これが単位か、
などと考えながら見ることができるだろう。

岡さんの漢直動画にしても、
「ほぼ2打で漢字もひらがなも打てていけるとは、
こういう感じなんですよ」
などとことばによる認識があれば、
「すげえ2打ずつで全部の文字打ってるわ。
qwertyローマ字かつ漢字変換してる俺らは、
一体何なんだろう!」
と思いながらかの動画を見れるはず。


つまりは認識だ。

そもそも「ほほう」と言わせるには、
結構な速度で打てる必要があるが、
その速度では、
指が何をやってるか、
常人の目では認識できない、
というパラドックスがある。

動きが良いから速くなり、速く書けるのだけど、
速くかければ書けるほど、認識してもらえないわけだ。

だから「認識」なんだよな。

「この配列はこういう配列だから、
動画ではここを見るべきなんだよな。
どれどれ…なるほど、こういうことか!」
という風になるのが、
最上ということだ。


ことばだけでは、
誤解が進み、勝手なイメージが先行する。
「指が喋る」なんて嘘じゃん、
って言われておしまいだ。

もし親指シフターで、
ほんとうに指がしゃべってるような速度で自由な文が打てる人がいたら、
是非見せて欲しい。
(コロナ禍につき、出張撮影は現在中止しております)

そうでなくて、
もし動画たちの速度の方が親指シフトの現実に近いのであれば、
それの利点を表すことば(=認識)を、
編み出さない限り、
僕は動画だけ見て「なんだおせーな」しか思わないだろう。


僕らは目だけは肥えている。
miriさんや他の競技タイパーたちの、
文章完成速度を見てしまっている。
タイパーの動画は、
「すげえ手が動くなあ」くらいしか見るべきところがない。
でもタイパーが見れば、
運指の最適化の参考になったり、
力の抜き加減なんてのがわかるに違いない。

つまり、
配列は玄人しかわからないわけだ。
素人目には何してるのかすら分からないんだろうな。


その配列の、どこを見るべきか?

そんなものに特化したような動画を作ってもいいだろうね。

薙刀式はなんだろ。
アルペジオ、BSなどの機能キー、拗音あたりかなあ。
そんなのに特化した動画をつくってもいい気がしてきた。

あと最近やってないけど、ダイジェスト部分も大事だよな。


現実は動作そのもの。
しかし動作だけ見せてもからくりが分からない。
からくりを認識させて、
また動作を見せて。
この動作の時にこのようなからくりが働いているのだ、
がわかると、
全部がわかる。
スポーツなどと同じかもしれない。

「この時ボールをこう握ってたからこそ、
この球が投げられたんですね」
みたいな解説がないと、
僕らは野球を漫然と見てしまうだろうね。
posted by おおおかとしひこ at 18:15| Comment(0) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック