ボトムポイントは、そのストーリーの中で最も暗闇の部分である。
そこからリバーサル、つまり大逆転があり、
転じて前向きに進む。
その時がそのストーリーの最も力強い前進力になる。
その時、主人公は何かを「悟る」ことが多い。
逆に、何も分からないままであれば、
暗闇の中に閉じ込められたままだろう。
単に辛い、暗い場面になり、
次の日に明るくなってたら、
アホかと思うだけだ。
つまり、
暗闇の先で、
何かしらの理由があって、
それは光に転じなくてはならない。
暗闇を晴らすには、理由がいるわけだ。
そうじゃないと論理的な話とはいえないわけだね。
で、何かしらの理由というのは、
「わかる」「悟る」が一番やりやすいということ。
しかも単に新しいことPをわかったから、
脱出できるのではなくて、
それがこれまでのことABCD…が関係していると、
なるほど感が出る。
そうか、すべてはこのための伏線だったのか、
これで全てが繋がるぞ、
というポイントだ。
どんでん返しは、ここで多くあることが多い。
なるほどこれまでのこれは、
たった一つのPに辿り着くためにあったのか!
だとしたらこの暗闇は突破できる。
解決はすぐだ、あとは戦うだけだ、
となる流れがベストで、
ここさえうまくいけば、
あとはラストまで突っ走ることが可能になるだろう。
それほど、このリバーサルポイントはデカイポイントになり、
エンターテイメントポイントになるだろうね。
ドラマ「風魔の小次郎」のボトムポイントは、
麗羅の死であろう。
そこから何かを悟った小次郎は、
風林火山をものにする。
その「悟り」は12話冒頭で明かされる。
風のように使うこと、がその答えで、
それが完成して、小次郎は初めて風魔の小次郎になるのだ。
ここで、「何も分からずに立ち直りました」だったら、
麗羅の死はなんだったんだ、になる。
そうではなく、
麗羅がヒントをくれてたんだ、と、
これまでのことがここに繋がる、
があることで、暗闇は出口へとリバーサルするわけだ。
「ハッ!わかったぞ!」とオンで描いてもいいし、
このドラマの例のように、
すでにわかったことを誰かに語る形式でも良い。
この例ではそれで石灯籠を叩き切ることで、
これまでの伏線を全て回収し、
その向こうに死んだ風魔の魂が現れて、
最後の決戦へ向かうターニングポイントになるわけだ。
ボトムからのリバーサル、クライマックスの流れが、
非常にうまく出来ている例だね。
このリバーサルは、
カタルシス(生まれ変わる)と表現されることがある。
何かをわかること、悟ることで、
一から変化してしまうわけだ。
オンで描くとても良く出来た例は、
名匠ビリーワイルダーの、
「サンセット大通り」のボトムポイントに見ることができる。
女優の正体、執事の正体が明かされるあの場面だ。
あまりのおぞましさに震えることだろう。
このどんでん返しにより、
ラストの悲劇へと突っ走るリバーサルポイントになるわけだ。
日本神話においては、
洞窟と宝のたとえが使われている。
洞窟の奥の奥にある宝を得たから、
あとはリバーサルで一目散に脱出するわけだ。
ここでも強力なリバーサル(進む→脱出)になっている。
詳しく読んでないが、
その宝が、「これまでの伏線が意味をなして、
そういうことだったのか」とわかるものが、
最適だと僕は思う。
このように、
ボトムポイントからのリバーサルは、
シナリオにとって最も大事な裏ポイントであるわけだ。
(「最も大事なポイント」は沢山あるのだが)
あなたのボトムポイントは何?
そこからどうやってリバーサルを勝ち取る?
ここで他人に与えてもらうのはメアリースーだね。
主人公が自力で暗闇から戻ってこなくてはならない。
そのことを悟ったからには、
もう前のように泣いてる弱い者ではなく、
戦う覚悟を決めた、
一皮剥けた者になっているであろう。
で、何を悟るのかを考えれば、
それはテーマにつながることのはずなんだよな。
暗闇の中でやってきたことが、
あなたを光の側へ連れて行く。
アンダーアーマーのキャッチコピーだけど、
それがこのことをよく現していると思う。
その暗闇の中、
どうやって光の側へ生還したのか。
何を掴んだのか。
その掴んだものが、テーマであろう。
それは直接言葉で言ってもいいが、
言わずに観客に悟らせるのが最上だろう。
ただ暗闇に落ちて、
ただ帰ってきただけではストーリーではなく、
ただの起伏でしかない。
そのことになんの意味があるのか?
に答えられるのがストーリーだ。
2022年09月20日
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