2022年10月02日

自分は特別だ

普通の人生を生きようとしなくて、
創作に人生を捧げようとする人は、
何が動機なんだろう。
色々とあると思う。
でも初期のほうに思っていたことは、
「自分が特別であることの証明」のようなものじゃないかな。


ほとんどの人は一番は取っていない。
でも自分は特別で、それを証明したい。
でも現実ではそれを証明する手段はない。

だから、架空の世界で何かをすることで、
特別な何かをつくることで、
「それをつくった自分」が特別であることを、
証明しようとする。
そんな感じじゃないか。

だけど、
初期のころはまだ何が何か分かっていないから、
ただ逆張りするだけで、
何か特別なことをしたような気になる。
若者が支配的な何かに、反抗するだけで何かしている気になる、
ロックはそういう感じだ。
でも反骨精神だけじゃ、芸術にはならない。
それは単なるテロと同じになってしまう。

特別な何かになるには、
ただ反抗しているだけじゃなくて、
何か別のオリジナルをつくらないといけない。
芸術の別名は、オリジナルである。

あなたが特別であることを証明するには、
単に今までなかったことをやったり、
単に今支配的な何かを攻撃したりするだけでは、
ただの破壊者でしかない。
ジョーカーや山上と同じだ。
破壊することがアイデンティティーになってはいけない。

現実世界では破壊だけでも名が残るかもしれないが、
我々のジャンルは創作である。
壊すことではなく、つくることでアイデンティティーを得るジャンルである。


単に変なことをして目立ちたいだけ。
単に逆をやって目立ちたいだけ。
それだけでは、ストーリーテラーとしては不合格だ。
ロックスターやテロリストならいけるかもしれない。

ストーリーテラーがするべきことは、
つくることである。
これまでにない価値をつくることである。

そういう世界があるとか、
そういう変化があるとか、
そういう結末があるとかで、
これまでの価値観を崩し、
置き換える価値を、「つくる」ことである。


あなたが特別かどうかは、僕らの知ったことではない。
あなたが特別扱いされているかどうかも興味はない。
でもあなたは特別である。
それは、「特別なものを書く」から特別なのだ。

イケメンとか、性格がいいとか、
金を持ってるとか、きちんとしているとかは、
どうでもいい。
性格破綻者とか社会不適合者かとかも、
どうでもいい。

あなた自身が特別かどうかはどうでもいいのだ。
あなたがつくるものが特別かどうかでしか、
我々はあなたを見ないだろう。

あなたがそう思われていたいという予想図と、
観客の要求は、
全然同じではない。
あなたが他の作家に要求することが、
あなたに要求されていることだ。
あなたは他の作家を神扱いしたいとか、聖人扱いしたいのか?
ファンならそうかもしれないが、
あなたは他の作家を「面白ければ神、くだらなければ糞」だと思うよね。
そういうことだ。


自分自身が特別だと思えないから、
創作物によって、そう思われたい、
あるいは、自尊心を取り戻したい。
それ自体は、創作の原動力としてわかる。
だけど、
そのことと出来上がりは、
何の関係もないことを知ることだ。

あなたが特別だと思われるのは、
あなたが特別面白くてオリジナルなものをつくったときだけだ。
ということは、人生で何回かしか、その瞬間はないということだよ。

つまり、他の何かで恵まれれば、
たぶん創作なんてしないだろうね。


不幸なやつのほうが小説はうまいとか、
モテないやつのほうが曲はいいとか、
そういうことはよく言われることだ。
コンプレックスを抱えて、
それをバネにして創作している人はたくさんいる。
それが創作クラスタのポピュラーだといっていいくらいだ。
つまり、「特別じゃないくせに、特別だと思われたい人々の集まり」が、
創作クラスタであるともいえる。

そんな風に見られたい?
そんなアマチュア集団の目立たぬ一人でいいか?

そうでなければ、オリジナルをつくりなさい。

反抗したいとか、
逆張りしたいとか、
特別に見られたいとかは、
すべて「ここじゃないどこか」でしかない。
「そこ」へ連れていくのが創作だから、
なんのゴール地点も見えていない、
と告白しているに過ぎないよね。

これじゃないという人は、
半分は創作は向いてるが、
決定的な半分が足りてない。
創作に必要なのは「これだ」をつくることだ。
posted by おおおかとしひこ at 03:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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