作者のkouyさんにより、最終確認が完了した模様。
ということで、config1.dbというファイルを書き換えることで、
新下駄配列が、Google日本語入力単独で、
使えるようになったようだ。
つまり「IMEのみで配列を実装する」という、
エミュレータなしでの成功なわけだ。
(追記 やり方を記録したツイートの一連はこちら。
https://twitter.com/y_koutarou/status/1588887012270276608?s=20&t=N_sjVHAOGRVsOv1-K2C2jw
)
独自プログラムであるエミュレータを走らせることで、
配列を実装することには、
いくつかの問題がある。
・素人目にはなんかこわい
(常駐アプリをひとつ増やすだけなのだが。
そしてWindowsで常駐アプリがどれだけ走ってるかを、
実はみんな知らない。隠蔽されてるからね)
・セキュリティの厳しいところでは使えない
・壊れた時の対処がわからない
(再起動すれば大体なおるし、
設定ミスならそれを丹念に追えば良い)
など、「よくわからないことへの対処」を求められることだ。
昔日のパソコンというのは、
それらをわかってる人向けの商品であったから、
分からない人の方が悪い、
という空気であったが、
今のPCは何も知らない人が怖がらずに使えるもの、
でなければならないため、
ノー知識の人がほとんどである。
(僕もその一人である)
僕はDvorakJをインストールするまで、
インストールという行為をしたことがなかった。
ほとんどの人がそうじゃない?
会社のPCは大抵インストール禁止だもの。
個人PCを使い倒さないかぎり、
インストールしたりアンインストールした経験のある人は、
そんなにいないだろうし。
そんな人たちにむけて、
「配列を変えられます、このエミュレータで…」
というのはハードルが高すぎると思うんだよね。
そして実用上の問題として、
「そのOSでしか走らない」という問題もある。
こちらの方が深刻で、
WinでしかDvorakJは走らないし、
MacでしかKarabiner-Elementsは走らない。
それらがOSをまたぐことは原理上ないわけだ。
自作キーボードのQMKならば、
キーコードを吐く段階で配列を搭載できるから、
あとは繋げばどのOSでも使えるが、
それを使いこなせる人は、そもそもPC強者だ。
富士通のJapanistはWin専用だから、
Macでは親指シフトは公式にはできないわけだ。
(もちろん、民間の開発したエミュレータを使えば可能)
こうしたOSを跨ぐ問題は、
どの規格戦争でもあったことだが、
いまやPCとネットで全ての人を繋ぐようになるときに、
このOSの差を吸収できない問題は、
文字入力の障壁になりえる。
それこそバベルの塔のようだ。
で、Google日本語入力だ。
こいつがすごいのは、
どのOSでも同じように使えることだ。
もちろんそのように開発がなされているわけである。
Windowsしか見ていないMSよりも、
広く世界を見ているわけだ。
僕はMS-IMEのMac版をつくるくらいに、
MSは太っ腹でいいと思うのだが、
見識の狭さに苛立つ。
まあ、第一MS-IMEのUIは最悪であるが。
Google日本語入力は、
その使い勝手において、
そしてその汎用性において、
事実上日本語入力のスタンダードIMEになっている、
可能性もある。
僕は使ってない。自分の古いPC上では動作が重いので。
で、このGoogle日本語入力上で、
新下駄が使えるってすごくない?
って思うんだよね。
実のところ、
これまででも、ローマ字テーブルをいじれば、
月配列、Phoenixカナ配列、行段系ローマ字は、
使えたはずだ。
だけどそれを使っているという人の情報は、
僕の観測範囲に入ってこなかったので、
どれくらいの人がそれをやってるかは不明。
今回は文字領域同時押しに対応したこと。
これにより、
新下駄が実装されて、
おそらく下駄も可能であろう。
ただ親指系とのシフト機構は未実装のため、
親指シフト、飛鳥、シン蜂蜜小梅、TRON、
そして薙刀式や新JISなども、
実装は無理っぽい。
とくに薙刀式は3キー同時を伴うため、
実装の困難さは想像に難くない。
(編集モードの実装をするならば、
OSに応じて変更が必要で、
この仕様をどう詰めるかという問題もある)
とはいえ、
これは日本語入力において、
偉大なる進歩の第一歩といえる。
歴史に刻まれた一歩であろう。
あとは親指系との同時打鍵さえうまくいけば、
親指シフト系が参入可能で、
これはとても多いのではないかな。
そうしたら、
日本語入力の歴史は変わると思うよ。
(あとはconfig1.dbを、
どうやったら誰でも書き換えられるかとか、
使い勝手の問題になってくる。
Akira K. さんの闘いはこれからだ!?)
日本は外圧がない限り変わらない国であったな、
そういえば。
黒船が来た。
それは今だ。
2022年11月13日
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