2022年11月14日

【自キ】高級コトコト感への道

最近自分の中でブームの、カスタムキーボードの感触。

このコトコト感はどのようにできていて、
どうやったら自分のキーボードでも実現できるのか、
考えてみる。


まず前提条件として、音は考えない。
僕は音に関していえば、静音ほどよいと考えるので、
音に関することは抜いている。
「ペン先の感触」のような、触覚しか考えていない。

もちろんいい音がすれば歓迎だけど、
主戦場はカフェなので、うるさくないほうがよい。

で、いろいろ調べたり、
体験してみた感じでいうと、
おおむね2種類のことをやればいいみたいだ。

ひとつは質量を増やすこと、
もうひとつはひずみによって、
跳ね返りを柔らかくすること。


金属ボディ、真鍮トッププレートなどは、
第一のことと関係しているっぽい。
質量を大きくすることで、細かい振動が起きなくなる、
という原理だと思う。

デカいものはなかなか動かない、というニュートンの運動法則そのもので、
小さく細かいものは微細な振動をしやすい、ということだと思う。
この小さい振動がなく、
デカいものを叩いているような、
どっしりとした感じ、
余計な(イコール安っぽい)細かい振動を感じない感じが、
コトコト感の正体だと考えている。

金属ボディにしないまでも、
積層系の打鍵感の良さは、このことと関係しているような気がする。
アクリル積層だろうがPCB積層だろうが、
積層することで、キーボード空間の中の質量が詰まり、
ひとつの大きな質量に見えるわけだ。

PCBの下にコンクリを敷いたりエアコンパテを詰めたりすることも、
このことと関係していると考えられる。
ビビりがないほうが高級ということだ。


ちなみに僕のジェリーケースは、
トッププレートごとインテグレートになっているが、
それでも質量は足りないかもしれない。

アクリルプレートに比べれば、
プレートとPCBの間の空間をケースでつぶしているから、
質量面では重くなっているが、まだ足りないようだ。
なので今はPCBボトム間を積層できないかと考えている。
やりやすいのはアクリル積層だろうな。透明だし。


二つ目の論点が、柔らかさだ。

底打ちしたときの衝撃吸収が、
余計な細かい振動をとるための方策だと考えられる。

これはいろんな方法論があり、
基本的には、「柔らかく変形するもの」を使って、
どこかでひずませて、吸収しようとするものだろう。

ガスケットマウント(PCBとケースの間にゴム)、
リーフマウント(同様に金属リーフバネ)、
PCBを薄くしたりスリットを入れる(PCB自体をたわませる)、
トッププレートを柔らかい材料にする(アクリルなど)、
スイッチとPCB、スイッチとトッププレートの間にフォームを挟む、
プレートスペーサーの部分にオーリング(バーガーマウント全般)、
PCBとボトムの間にシリコンなどをかます、
静音スイッチを使う(ステムとボトムハウジングの衝撃を吸収)、
キーキャップにオーリングをかます(底打ちをキーキャップとスイッチの間で吸収)、
プログレッシブバネを使う(底打ちを重くして、加速を吸収)、
デスクマットを使う(机の工夫などもあるだろう)、

などが提案されていると思う。

これらのどれがどれくらい効くかは、
それぞれの組み合わせによると思うが、
それが沼を形成しているような感じかな。


ざっくりいうと、
質量を増やすことで、余計な細かい振動を起こさなくする、
たわみを増やすことで、内部で加速を吸収する、
(直接減速することが直接感じる感覚で、
びびりがなくなることが全体の感覚にかかわってくることだろう)
のふたつの対策があるように思う。

あとはフォームで、
音の成分を吸収して、打鍵音を調整していくことになると思われる。
(フォーム自体も柔らかく変形するから、音遺骸の要素もあると思う)

僕は打鍵音を鳴らすためだけに、
スイッチのボトムハウジング内に別の中敷きを入れてもいいと思っているが、
なんで誰もやんないんだろうね。
たぶん金属とかガラスとか陶器とか入れるだけで、
打鍵音はまったく変わってくると思うんだがなあ。

ちなみに僕のスイッチにはアクリルが入っていて、
打鍵音はどうでもよいが、
打鍵感がとてもよくなる改造を施している。
底打ちが艶っぽくなるんだよね。
アクリルを触っているような感触に近くなる。
強く打っても痛くないから、これは最高にいい改造だと思うのだが、
いかんせんコストが高く(3Dプリントなので、1スイッチあたり180円以上)、
気軽に人に勧められない。


で、
質量と柔らかさだ。

質量はアクリル積層がよさそうで、
柔らかさは、ケースとPCBの間に、
シリコンシート0・5ミリをかましたら、
かなりよくなった。
このシリコンシート作戦はちょっと前に流行ったので、
これの発展形がガスケットマウントなんだろうなあ、
とは思っている。
柔らかさが足りないなら、ボトム積層の間にシリコンシートもありかも。


ということで、アクリルの積層をやるために、
ソケットやパーツをよけた形を採寸しながら図面に起こすしかない……。
これはとても面倒だ。
しかもMiniAxe、左右で図面がちがうんだよね……。

ということで、大体理解したこれらを、
実験していこうと思う。

振動の吸収はサスペンションの世界で、
これは相当に奥の深い沼だね。
でも基本的には質量のファクターが一番効くはずだよな。
物理で殴らないとなあ。



打鍵音に関していうと、
戻りを静音化するために、
いつもの、
スイッチのトップハウジングの静音化をやろうとたくらんでいる。

いろいろやって最終的には、
ステムの両肩が当たる部分に、
シリコン系接着剤を塗布することであった。
集中力が必要で、結構だるいので、
あんまりやりたくないが、
最後に気になるならやるかもしれない。

あと Durockの3ステージバネが手に入ったので、
これも2ステージに切ってみて、
UKのものと比較するつもり。
今のUKの3ステージを2ステージに切ったバネだと、
なんか挙動に雑味を感じるんだよね。
それがメーカーによるのかどうかをチェックしたい。



色々やることが思いつきすぎて、
キー部の影響たるや。


でも基本的には、
「いい万年筆が欲しい」というだけのことなんだよな。
「この手触りのまま、もう少しこうならないか」
を追及していたら、
いつの間にかここまで来ていたというね……
posted by おおおかとしひこ at 13:40| Comment(0) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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