人生において別れはつらいものだ。
でも、別れをきちんと言わずに、
お別れしてしまうのはもっとつらい。
身内が亡くなったときや、
ペットが死んだ時、
あなたはどこにいただろう?
そばにいたか?
違うところで報を聞いたか?
転校してしまうあの子に、
あなたはちゃんと好きだと言えただろうか?
彼女と修羅場になって、
口もきかずに別れただろうか?
それともきちんと前向きに解散したか?
会社で揉め事があって遺恨を残し、
心が傷つき、傷つけただろうか?
それとも穏やかに別れただろうか?
最初は仲が良かった友達だけど、
その後微妙な距離になってしまったやつに、
卒業式で挨拶したか?
どんなお別れでも、
お別れは辛いものだ。
だけど、お別れをしないお別れの方が、
もっとつらい。
だから、
せめてフィクションではちゃんとお別れを描こう。
理想のお別れを描いて、
きちんとできなかったお別れの魂を、
成仏させよう。
物語を完結させることは、
ずっと一緒だったあいつらと、
お別れをすることだ。
あいつらと、二度と同じ船に乗らないことである。
観客も、作者も、
きちんとお別れしような。
さもないと、
中途半端なスピンオフや続編を立ち上げて、
痛い目にあっちまうぜ。
それは成仏しきれなかった、
彷徨える魂にすぎない。
昇華させよう。
きちんとお別れしたら、
「あいつ今頃何やってるかなあ」
なんて時々思い出せる。
それが完結した物語との、いい距離感だと思う。
2022年11月16日
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