2022年11月16日

別れをきちんと描こう

人生において別れはつらいものだ。
でも、別れをきちんと言わずに、
お別れしてしまうのはもっとつらい。


身内が亡くなったときや、
ペットが死んだ時、
あなたはどこにいただろう?
そばにいたか?
違うところで報を聞いたか?

転校してしまうあの子に、
あなたはちゃんと好きだと言えただろうか?

彼女と修羅場になって、
口もきかずに別れただろうか?
それともきちんと前向きに解散したか?

会社で揉め事があって遺恨を残し、
心が傷つき、傷つけただろうか?
それとも穏やかに別れただろうか?

最初は仲が良かった友達だけど、
その後微妙な距離になってしまったやつに、
卒業式で挨拶したか?


どんなお別れでも、
お別れは辛いものだ。

だけど、お別れをしないお別れの方が、
もっとつらい。

だから、
せめてフィクションではちゃんとお別れを描こう。
理想のお別れを描いて、
きちんとできなかったお別れの魂を、
成仏させよう。



物語を完結させることは、
ずっと一緒だったあいつらと、
お別れをすることだ。
あいつらと、二度と同じ船に乗らないことである。

観客も、作者も、
きちんとお別れしような。

さもないと、
中途半端なスピンオフや続編を立ち上げて、
痛い目にあっちまうぜ。
それは成仏しきれなかった、
彷徨える魂にすぎない。

昇華させよう。


きちんとお別れしたら、
「あいつ今頃何やってるかなあ」
なんて時々思い出せる。
それが完結した物語との、いい距離感だと思う。
posted by おおおかとしひこ at 00:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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