2022年11月23日

【自キ】一段上の打鍵感へ

いろいろ実験してわかったことを記録しておく。
目的は、高級キーボードのような、
コトコト感を得ること。


コトコト感に最も邪魔なもの: 打鍵時の、おそらくPCBの微振動。

打鍵する、戻る、の時に、
PCBが振動する。
この時に、細かい周波数の高い振動、
いわばビビりのようなものが、
安っぽさを生むようだ。

理想は、
変に振動せず、叩いた衝撃が、
スンッて減衰する感じのもの。

原則は二つあるみたい。

1. 質量の大きなものを叩いているようにすること
2. 柔らかいもので振動を吸収すること

スイッチの底面の出っ張り、
ステムポールが着く部分の底を、
指で押さえて打鍵すると高級になる。
指でなく手で押さえるとさらにだ。
金属、たとえば硬貨に接触させながら打鍵すると、
コツコツになる。
もっと大きなもの、
ガラステーブルやスチール机だとさらにだ。
実験してないが、石でも同様になると予想。

目指すべきはこれだと考える。

つまり、重くて微振動のしないものに接触させれば、
高級キーボードのようなコトコトスイッチになるだろうということ。

最近の自作キーボードの流行の一つは金属ケースだけど、
要は「質量をデカくする」ことをやっていると思う。
質量がデカイと、単純に置いた時に滑らないというのもあるけれど、
「叩いた時に細かい振動にならず、
周波数の低い振動になる」ことの効果が大きいのではないか。
一体型もキモで、それは質量が大きくなるからだね。
ベゼルの追加もおそらくそうだろう。

これをマウント形式を工夫して、
柔らかい打鍵感で大きな質量に接触してるとか、
硬い打鍵感で大きな質量に接触してるとかを、
調整してるのだと考えられる。

ガスケットやリーフマウントや、
アクリルプレートが柔らかめで、
真鍮プレートやアルミプレートが硬めで、
それを大質量で微細振動をなくしている、
と考えられる。

全面的に緩衝材を仕込むと、
衝撃が反射して返ってくる量が増えるため、
部分的に緩衝材を仕込んで、
衝撃を内部応力に逃すやり方もあると思う。

Oリングのような全面ゴムよりも、
ガスケットのような一部のみの支えの方がよいのは、
こうした理由ではないか。


で、
試したことと、成功失敗を記録しておく。

基本的には二つの部分をいじった。
PCBとボトムプレートのあいだのところと、
PCBとインテグレートマウントのあいだのところ。

簡単な後者からいくと、これは成功。
シリコンシート0.5mmを敷いてみた。
現在の僕のケースは、
インテグレートマウントで、
側面ケースとプレートが一体型で、
しかもPCBまでごっつり埋まって隙間のない構造をしている。
不必要な振動がなくなるかな、と期待した。

ところがアクリルプレート時代に比べて、
PCBが結構ビビる感じがある。
アクリルプレートは、適宜たわんで、
色々吸収してくれてたのかも。

特に戻りの音が大きい。

で、シリコンシートを敷く(全面的にではなく部分的に)と、
ケースとPCBの合いが良くなり、
衝撃を伝えながらも一体型の質量になり、
PCBの細かい振動が減衰しやすくなった。
具体的には、打鍵音や戻り音が減衰した。
とくに戻り音が半分以下になった。
キーを離して、ステムがスイッチの上側に衝突した時の、
自由振動が、より減衰しているということ。

現在5mm幅に切ったものを三本敷いてるだけだが、
全面敷くかどうかはこれから検討。


さてここからが難しい。
ボトムプレートとPCBの間の話。

PCB
スイッチはみ出し 0.5mm
空間       3mm
ボトムプレート

のような構造なので、この3mmのところに何かを挟もうという作戦。

その0: ゴム足
その1: 木材(チーク材)
その2: アクリルブロック
その3: 真鍮スペーサー

少し前までゴム足をスイッチ直下に挟んでいた。
悪くないんだけど、
スーパーボールが跳ねるような、
反力が返ってくる感じがあるので、
長時間はきつい。
で、コトコト感を求め始めたのだ。


手軽に加工できるものとして、
3mm厚のチーク材があったので、
まずは5mm四方くらいに糸鋸でカットして挟んでみた。
うむ、悪くない。
だけど「柔らかい木を叩いている」という感覚にしかならない。
チークは柔らかい木なので、
当然と言えば当然か。
もっと硬い木、たとえば黒檀ならいいかもだが、
黒檀をその小ささに加工することはかなり難しい。

真鍮を叩いた感じはどうだろう?
と思い、現在これが本命なのだが、
先にアクリルをやってみる。


僕はアクリルを叩く感じが最近気に入っている。
キーキャップはフルアクリルの3Dプリントだし、
Pearlioの中敷きにアクリル板(3Dプリント)を入れたら、
めっちゃ艶っぽくなった。
なので、スイッチ下にもアクリルを仕込めば?
と思ったわけ。

ハンズに行き、3mm角の角棒を買ってくる。
特に切断手段がないため、ペンチでバキバキ折る。
まあテストだからこれでいいでしょ。
2本セロテープで止めて、
6mm×6mm×3mmのようなアクリルブロックを急造して、
とりあえず挟んでみる。
絵面は汚いから、
今後真剣にやるならアクリルのレーザーカット(3mm厚のものは遊舎にある)
をするとして、
まずは打鍵感のテストだ。
AF88C751-06E8-4331-B748-E2396739C48D.jpeg


感想は、かなり良い。
艶っぽく衝撃が緩衝されるような感じ。
硬い反射じゃなくて、柔らかな反射になるんだよね。
木の表面を撫でてる感じが、
アクリル板を撫でてる感じにかわる。
人の手というのは、ほんの一瞬でもそれを読み取るようだ。
(ということは、革やガラスでもそれを感じるかも知れない)

アクリルって硬いプラと違って、
表面がほんのりビニールみたいに柔らかいよね。
その感じが伝わる。

で、長時間打鍵してみたんだが、
思ったより疲れる。
なんだろ、押下重が重く感じる。
重くなってるはずはないのだが、
全体的に重く感じる。
ぺたぺたしたツヤ感が、
戻りの遅さになって、結果泥に足を突っ込むような抵抗を、
感じてしまうのかも知れない。

となると、
金属のような硬いものが、
反射がいいんじゃないかと思い、
3mmの無加工真鍮を探し始める。

モノタロウで見つけたのがこれ。
厚み3mm、直径4.7mmの円柱状のスペーサー。
穴が空いてないタイプなので、
質量もそこそこあるやろと踏んだ。
https://www.monotaro.com/p/1114/3965/?utm_campaign=shipping_notification&utm_medium=email_html&utm_source=system-email&utm_term=productNo

これがなかなかよい。
スコンと下に抜ける感じになり、
ツヤはないものの快適。
アクリルのような疲労もない。


理想はもう少し重たいことだなあ。
でも真鍮で厚3mmで、ってなると、
加工が前提の角柱や板しかないんよね。
真鍮の切断って自宅でできるのかな?
ペンチでネジ切ったら切断面がむごそう。
うまく切断できたら、
面方向に積層すれば、
結構な質量のものができるのでは?
と想像している。

もうひとつのやり方はアクリルをレーザーカットして、
この真鍮が入る穴をあけて、
ボトムプレートとの間に挟むこと。
その時にスイッチソケットが邪魔になる(高さ1.7mm)なので、
2mmのアクリルをカットして挟むことをイメージしている。

で、
真鍮だけだとPCBが振動するのか、
打鍵音が大きくなった。
なのでアクリル角柱を再利用して、
リーフマウント?のようにしてみたら、
少しツヤっぽくなったよと。
41E20B4F-F1D2-4F6E-AE6C-E925050208EA.jpeg

基本的にはボトムプレートに両面テープで貼ってるだけ。
これもまだ(仮)ということで。

今後の課題としては、
真鍮をもっと大きな質量にすることだなあ。

そうするともっとコトコトした感じになるだろう。
3mm角柱の切断方法がわからんので、
買うだけ買ってから悩むか検討中。
…俺、真鍮の切断法を調べるために、
小説を書き始めたのではないはずだが???

14mm×3mm×3mmの真鍮手芸用パーツは中国から取り寄せ中で、
これを適宜貼り合わせれば大質量になるのでは?
と期待している。(今ロックダウンとかあるしなあ)

あとはアクリルの緩衝材の代わりに、
シリコンゴムならどうなるかとかかな。

なお鉛で3mm厚のものは見つけた。
ハサミで切れるので、自由な形のシートになるのでは?
と思ったのだが、
ハサミで切れるということは、柔らかいということだ。
ということは木やアクリル方向になるわけで、
金属のコトコト感にはならないのでは、と想像する。
メートル単位でしか売ってなくて、
買えば5000円なので、失敗したら99cm以上余るしなあ…
釣具屋に行けばシート鉛売ってるかな。



高級キーボードとはまた違う、
独特の打鍵感になってきたので、
もうちょっと追及してみたい。

うまくいけば、
真鍮ブロック積層+レーザーカットアクリルで隙間を埋める
(間にシリコンシートでガスケットにするかも?)
なのかしら?

こんなに苦労するなら、
最初から最高の打鍵感のMiniAxe状の何かを再設計してもいいんだけどさ、
なんか思い入れあるじゃない。
posted by おおおかとしひこ at 16:11| Comment(0) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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