原則は、下手な説明の逆をやればよいんだよね。
まずは下手な説明の特徴をあげてみよう。
・長い
・ごちゃごちゃしててややこしい
・分かったからといって、
それをどう利用していいかわからない
・お前の説明責任を果たしてるだけやろ?
って動機がばれている
じゃあその逆は?
・短くてキレが良い
・シンプルでわかりやすい
・それを応用して、色々妄想可能
・説明した人が、「一緒にたのしもう!」
って思いながら説明してると、たのしくなる
だよね。
実のところ、
説明の内容そのものよりも、
「どうしてそんなに説明したいのか?」
「説明してどうしたいのか?」が伝わると、
人は下手な説明でも聞くんだよね。
つまり説明に一番必要なのは、
すばらしい話術でもなく、
構造をシンプルにする頭の良さでもなく、
「これを説明して、
あなたと幸せを共有したい」を伝えることで、
聞く人をそのように準備させることだ。
閉じた心ではどんな説明も不要だ。
まず心が開かないと、どんな表現も伝わらない。
で、そのように聞く人の心が開いたら、
次にするべきことは「焦点の提示」だ。
それは、これから話す内容を、
「どのようにして聞けば良いか、
何に注意して聞けば良いか?」
という誘導だ。
心を開き、方向性をつけること。
そうしないと、
人はどんな説明でも下手だと思う。
説明とは、すなわち、
説明の前に決着がついているのだ。
橋本環奈が「説明するね!」
といえば、
どんな説明でも聞くだろう。
橋本環奈がみんな好きだからだ。
その時点で決着はついている。
CMで人気タレントが説明するのはそうした理由だ。
あなたは人気タレントではないので、
説明がうまくなるべきだ。
説明がうまい人は、
説明そのものよりも、
感情と焦点の誘導がうまい。
それに注意すると良い。
さて、
自作キーボードの話で恐縮だが、
次のアーキスというキーボードメーカーの、
キーキャップの説明が大変下手だと思った。
あなたはキーキャップに興味がない。
ないだろうと思ってわざとこの例を取り上げた。
問題。
次のキーキャップの説明が、
しっくりと入ってくるような、
前段を書いてみなさい。
専門用語が分からなくてもいい。
むしろ、分からない人を、
どうやって誘導するかを考えなさい。
https://archisite.co.jp/pick-up/keycap/
シンキングタイム。
以下僕の回答例。
キーボードの、あのキーって外れるんだよ!
厳密にはキートップだけが外れるよ!この写真がこれ。
専門用語でキーキャップというんだ。
初めて外した時はびっくりしたね!
MX規格のキーボードなら、
どのキーボードでもキーキャップは外れるよ!
そしてここからが大事なことなんだけど、
「外したキーキャップは交換できる」ってことなんだ!
誰かのキーボードのAとBを入れ替えるイタズラもできるぞ!(禁止)
で、キーキャップを交換してどうするの?
壊れたときに直すの?って思ってる人は甘い!
キーキャップを交換することで、
色やフォントを変えてオシャレしたり、
カーブの形を変えて打ちやすくしたり、
プラスチックの材料や厚みを変えることで、
コトコトした重めの打鍵感や、
カタカタとした爽快な軽目の打鍵感に、
変えることができるのさ!
以下では、
キーキャップを交換するときに知っておいたほうがいい、
専門用語を解説するぞ!
これらを知っておくと、
「僕の好きなキーキャップは青系統の色で、
印字は昇華印刷で、
チェリープロファイルでPBT製だな」
なんて好みが言葉で言えるようになるんだ。
そうするとスタバのオプション注文みたいに、
「○○で○○なキーキャップください」
と言えるようになるよね?
「今まで○○しか使ってなかったけど、
×××はどうなんだろう?」って考えることもできるよね。
じゃあそんなキーキャップの特徴(スペック)について、
じっくり説明するね!
こんな感じかな。
これで感情が誘導されて、
そのあとの説明を聞く準備ができると思う。
さて、
これらにはコツがある。
まず初手でインパクトをつくること。
たぶん、驚かせることが一番早い。
キーが外れる、外せるというのは、
僕は最初に驚いたことなので、
それをまず持ってきた。
もちろん、驚かせることだけでなくてもよい。
笑わせてもいいし、感動させてもいいし、泣かせてもいいし、
感心させてもいい。
なんでもいいので心が動くと、
聞く耳を持つようになる。
それは開始5秒くらいで決まるかな。
少なくとも15秒以内に、
立ち止まるべきかどうか決まるだろう。
YouTubeの広告なんて6秒だしな。
次に焦点への誘導だ。
「キーキャップは交換できる」
ことに関心を持ってもらえさえすれば、
このあとはすべてキーキャップの交換に必要な知識のことだ。
それを知るとどういうことができるのか、
どういうカスタマイズがあり得るのか、
などを想像しやすいように、
誘導していけばいいわけだ。
おそらく、
この焦点にしたがえば、
「それらが違うことでどういう違いになるのか」の説明も、
本文に足したほうがいいと思う。
シリンドリカルなら縦に指が滑らせやすいとか、
スフェリカルは指を包み込むようになってるから、
上から指を突き下ろすタイプの人に向いてるとか、
チェリープロファイルはフラットな指使いの人が良くて、
SA(今回はなかったが)プロファイルは、
指を下ろす系の人に向いてるとか、
「人によって好きな打鍵感やスタイルが違う」
ことまで意識させたほうが、
この説明を自分事にできると思う。
こうして、
「焦点に対して、ひとつひとつ答えていく」のが、
うまい説明である。
もしそのときに、
「このような焦点で、
このようなことを知ったが、
じゃあ○○はどうなんだろう?」
と疑問に思うこともある。
そのときに的確に○○に関するフォローが入ると、
ああ、よく観客の心を読めてるな、
と思うよね。
さて、実はこれは、説明文だけでなく、
物語でも同じだと気付かれただろうか?
初手でインパクトを与えて、
何がしかの感情を起動させ、
それに続けて焦点を設定すること。
そうするとその焦点に、その感情は誘導されていくのだ。
説明文の場合は、
「これから説明されることへの関心」がその動機になるが、
物語の場合は、
「この事件はどのような展開になり、
どのように決着がつくのか?」
が、見る側の動機になってるってことだ。
そして双方に共通するのは、
「これを語ることで、あなたも私もそれを知る幸せを共有する」
という無言の確認であろう。
ついでに、○○はどうなんだろう?と思ったタイミングで、
的確にそれに答えれば、痒いところに手が届く。
つまり、
説明が下手な奴は、
物語も下手である。
逆も成り立つと思う。
では伏線を最後に回収しようか。
この記事のタイトル、冒頭二行が、
その説明文の導入にきちんとなってることを、
再確認したまえ。
幸せを共有しよう、
インパクトを与えよう(下手な説明の逆をやるだって?)、
そして焦点の誘導(まずは下手な説明を理解しよう)。
これが出来ていれば、
あとは説明を誠意を持ってやればいいだけさ。
論理が多少破綻してたり、
ツッコミどころがあってもいい。
説明に一番必要なのは、信用だ。
2022年11月26日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック