ストーリーを書くのが難しいのは、
「その場にいたやつが、全員同じことを思うとは限らない」を、
うまく考えられないからだ。
つまり複眼的な見方が出来るか出来ないか、だ。
主人公とともに物語を旅しているのなら、
主人公の気持ちは大体把握しているだろう。
何が起こったしても、
その気持ちは理解できるし、想像できるだろう。
問題は、ほかの人物についてだ。
ほかの人物全員が、主人公と同じ気持ちになるとは限らない。
別の文脈でその場にいるだろうし、
目的や動機や温度感も違うし、
性格や哲学も違うだろうからだ。
(そうでなければ、夫婦喧嘩は起こらないだろう)
だから、あなたは常にオプションを背負っている。
「主人公と全員が同じ気持ちになる」か、
「主人公とほかの人物は別のことを考えている」かだ。
これを意識しないと、
ご都合主義に陥ってしまうことは確実だろう。
すべての登場人物は、つねに自分の都合と目的で動いている。
そのときにたまたま主人公の漕ぐ船に乗っているだけである。
同じことを考えてもよいし、違うことを考えてもよいし、
それを表に出してもよいし、出さなくてもよい。
つまり、ストーリーとは、
主人公のストーリー、
登場人物Aのストーリー、
Bのストーリー……と、
複数の人物のストーリーが同時進行している。
それらをサブプロットというだけのことだ。
主人公だけを見ていると、
ほかの人物は主人公にパスを出すだけのご都合キャラになってしまう。
ときに主人公とは異なることを考え、
邪魔になる(コンフリクト)ことも考えるべきだろう。
そのもめごとこそが、ストーリーなのだから。
同時進行するサブプロットは、
こうして変転してゆく。
それがまとまっていくのが、ストーリーそのものだともいえる。
だから後半ほど登場人物は、
主人公と同じように考え、感じる可能性は高い。
その場にいたやつが、全員そう思ったか?
その場にいたやつで、こう考えるやつもいたし、
こう考えるやつもいたのだ、なのか?
それは常に揺れている。
どちらも出来るようにするべきだ。
難しかったら、
最初は、この時主人公が考えたことに線を引き、
その場の登場人物全員のリストをつくり、
同じなら同じ色を塗り、
違うなら違う色を塗り、どう違うかを書いていくとよい。
慣れてきたら頭の中でできるようになるよ。
2022年12月04日
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