あなたのしたいことがメインディッシュだっけ?
あなたが世間に言いたいことや、
あなたの本当の姿をさらすことが、
メインディッシュだっけ?
それはデザートだぞ。
メインディッシュってなんだろう?
それは、「それがある」と聞けば、
観客が楽しみにして、それを欲しがるものだ。
料理でいえば肉とか寿司とか、そういうやつ。
物語でいえばなんだろう?
すごい世界の大冒険とか、
大感動する泣ける話とか、
爆笑するシチュエーションコメディとか、
性癖に刺さる何かとか、
そういうやつだ。
それはあなた自身が言いたいことや、
あなた自身の本心をさらすこととは関係がない。
観客は、あなたが主張することや、
あなたの丸裸の姿を楽しみにして、
やってくるわけではない。
あなたが有名人なら話は違う。
その本心やヌードはみんなが見たいものである。
だがあなたがいかに本心をさらそうが、
主張しようが、
それはメインディッシュにはならない。
「〇〇町の〇〇さんがこれから出来のいい本音を言います!」と言っても、
「知らんがな」になるだけだ。
それはメインディッシュにならない。
表現とは、
最終的に本音が出ていないものは表現の資格すらないと思うが、
それはメインディッシュではない。
メインディッシュは、あくまで肉とか寿司とか、
「事前にある程度楽しみにできるもの」だ。
それは分りやすいものであるべきだ。
大冒険とか、泣けるとか、こういうシチュエーションでのロマンスとかだ。
それを楽しみに、観客はやってくる。
「〇〇が出ている」は〇〇が有名人ならばメインディッシュになりえるが、
そうではない場合、メインディッシュとは関係がない。
いかにどのようにすごいものであろうとだ。
だから、言いたいことややりたいこと、
あなたのさらした本心などは、
デザートだと考えるとよい。
最後にちょいっと出すものがそれでよい。
それはテーマだろう。
読後感を決めるものでもある。
メインディッシュはがっつくが、
結局最後に印象に残るのは、
デザートだったりするよね。
つまり、
メインディッシュは釣り餌で、
デザートがお土産だ。
メインディッシュで釣っておいて、
デザートを持って帰ってもらうのだ。
メインディッシュは、
ウリとか、客寄せとか、コンセプトとか、
いろんな言い方をされる。
でも表現したい人は、
それを表現したいからそれをやるわけではない。
だからデザートだけをつくってしまう。
結果、肉がないんだけど?
と客からがっかりされるわけだね。
メインディッシュは、
聞いたことのある何かでよい。
そうでなければ、事前に期待すらできないからね。
聞いたことのない魚の聞いたことのない調理法の料理は、
メインディッシュとしては期待できないだろう。
それがどれだけうまくてもだ。
デザートは出会いのものでよい。
期待していなかったものと出会うことで、
なるほどこういうことか、と納得するものでありたい。
逆に、デザートがありきたりのものだったら、
ありきたりの読後感しかないだろうね。
うん、まあ、よかったけど、という感想になるだろう。
期待にちゃんと応える肉の量で、
そのあとまさかそういう風に落ちるとは思わなかったデザートで、
最後に読後感をつくること。
それがちゃんとした料理だ。
さきほどまでカフェにいたのだが、
女子大生たち(おそらく美大生)が、
自己表現と作品について語り合っていた。
自分を出すことが恥ずかしいとか、
匿名だったら恥ずかしい自分を出せるとか、
初心者みたいな話をしていてほほえましい。
でもおまえら、
自分を全部出して、しかも署名入りじゃないと受け入れられないよ、
という話をしたくなる。
いきなりこんなおっさんが話しかけるわけにはいかないが。
で、自分を全部さらけ出すことを、
メインディッシュにしても客は来ないぞ、
ということなんだよね。
メインディッシュはほかに用意しろ、でしかない。
メインディッシュは、
時代によっていろいろ変わるが、
大体似たようなものであることが多い。
「見たことのない企画を持ってきて」なんていうくせに、
ほんとうに見たことのない企画を持って行ったら、
「見たことがないから想像できない」
なんてことになる落ちを、
僕は100回くらい見てきた。
結局、メインディッシュが分りやすくないと、
人は手を出そうとしないんだよね。
あなたの企画のメインディッシュは何?
あなたのデザートは何?
両方できないシェフは、
信用されないぜ。
2022年12月07日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック