これめっちゃワクワクするんだけど、
これとストーリーは違うんだよな。
かつてあった大阪の軍艦アパートの写真集。
https://twitter.com/kobateck/status/1596752591048019968?s=20&t=zp8emOvQAUGzeGb-3c0Lnw
なんだろ、
どこからでも物語が立ち上がってくる感覚がある。
ひょいとドアをあければ中の住人にそれぞれのストーリーがあり、
ここの住人しか知らない七不思議があり、
実は最初にこのアパートができたときにあったことが、
すでに忘れられているのだが、
実は神社に保存されてあり、
などなどなどを、
いくらでも妄想できる。
幽霊話もつくれそうだし、
犯罪話もつくれそうだし、
不法滞在者の話もつくれそうだ。
あるいはなんらかのファンタジーもいける。
だけど、
この感覚そのものは、物語そのものとはちがうことに、
注意せよ、ということだ。
物語とは、
ある事件が起きて、解決するまでの一本線
(およびサブプロット群)のことであり、
「色々ありそう」のことではない。
もしここを舞台に一本書くとしたら、
すべての伏線がつながり、
ここを使い尽くした、ここが成仏するくらいの、
何かにまとめ上げなければならない。
そしてそれを書くのは、かなりの実力がいる。
要は、
「その実力のある人が書いたら相当面白い話」
を、この写真たちから想像して、
ワクワクするんじゃないかな。
つまりこの写真たち、舞台の面白さは、
予告編の面白さであって、
本編の面白さじゃないんだよね。
次の合コンに来るメンバーの写真を見ているときの面白さで、
実際の合コンの二時間の面白さではないことに、
気づかれたい。
つまりこれは、
カタログを見ているときの面白さだ。
カタログは想像の集合体であり、
一本道の面白さではない。
あなたは一本道で面白いものを書かなければならない。
その上でここをロケ地に選ぶこと自体はよいと思う。
ただこのロケ地の美味しい所を十二分に生かせるシナリオかは知らない。
「レディインザウォーター」
というナイトシャマランの失敗作がある。
それも、カタログ的な面白さに溺れて、
本筋の一本道を見失った作品だ。
この失敗以降、シャマランはMr.ガラスまで、
不遇の日々を過ごすこととなった。
なぜ失敗したかを分析することは、
シナリオとは何かを追求することだ。
それは、カタログに溺れたからだ、
と一言でまとめることができると思うよ。
いや、でもこの写真集はワクワクするね。
シナリオには、このワクワクがあるべきではないのだが。
2022年11月29日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック