それだけで、駄作が急に名作になるかもしれないよ。
シチュエーションを変えるだけで、
まったく違ったストーリーに見えるものだ。
時代や場所や季節をまるっと変えてしまったら、
同じ話と思われないかもしれない。
ビジュアルがちがえば、たいていはアイデンティティーは別物だと思われがち。
国を変えてもいい。上だったものを下にしてもよい。
色を変えてもよい。
時間帯を変えたっていい。
夕方の話を日の出の話にするだけで、
意味合いはだいぶ変わってくる。
男女を逆にするだけで、企画になったりもする。
女体化などはいうに及ばず、
自分の書いた平凡なストーリーが、
男女を逆にするだけで生き生きとしたりする。
おそらくベタでつまらないものだったのが、
違う場所を得て生き生きするのだろう。
主役とわき役を交換するのも役に立つときがある。
ボクサーとトレーナーの話だと、
大体がボクサーの話だが、
トレーナーを主人公にしたっていいし、
レフェリーを主人公にする手だってある。
野球選手を主人公にせず、応援団や審判やチアガールや、
売店の人を主人公にしたっていいはずだ。
視点を変えろ、というのはさんざん昔から言われているが、
「視点を変えるとどうなるか、どう変えるべきなのか」
については誰も教えてくれない。
具体的なもので考えないと、よくわからなくなるよね。
追われる者の話だったものを、
追う者の話にすれば、まったく違った物語になるだろう。
ルパンが主人公じゃなくて、
銭形が主役だったら?という考え方はあり得るわけだ。
のび太が主人公じゃなくて、
静香ちゃんが主人公だったら?
ぐうたらのクラスメイトの家に変なロボットが住み着いて、
あまり好きでもなかったその子に、
実は恋しているとしたら?
そんな風にしてしまえば、のび太やドラえもんにしなくても、
まったく別の話をつくることが出来ると思う。
ジャンルを変えてもいい。
コントがラブストーリーに、
ホラーが泣ける話になってもよいのだ。
あるものをそのまま描く必要はない。
あなたが書くものは、
ドキュメントやルポタージュではなく、
創作フィクションだ。
心に思ったものが正解とは限らない。
転がして、まったく別の話にしてしまえばよいのだ。
昔つくった話をそのようにして転がすと、
まったく違う話が出来上がることもある。
蔵出しだと気づかれないかもしれない。
(未発表のものに限ったほうが無難だろうがね)
そうしたストックをいっぱい作っておくことは、
とてもいいことだ。
短編集でも書くつもりで、
どんどんストックしていくといいのではないか。
僕は今てんぐ探偵(第一稿)が終わったので、
また100話ものを書こうと企んでいる。
まったく別の話を考えることで、
頭をリフレッシュしようという狙いなのだが。
(ついでにリセットされたら、てんぐ探偵のリライトのときに、
まっさらな気持ちになれるという狙いもある)
全然違う世界に身を浸すことで、
まったくストーリーを変えてしまえる。
それがフィクションの面白さだ。
警察が舞台の平凡な話が、
裏通りのバーになっただけで面白くなるかもしれない。
パチンコ屋の話が学校の話になっただけで、面白くなるかもしれない。
マリアージュとは、偶然が連れてくるものだ。
なるべく違う転換をしてみよう。
面白い発想は、そうやって生まれることもある。
転がる石こそが、次を生むのだ。
2022年12月10日
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