2022年12月10日

シチュエーションを変える、男女を変える、視点を変える

それだけで、駄作が急に名作になるかもしれないよ。


シチュエーションを変えるだけで、
まったく違ったストーリーに見えるものだ。
時代や場所や季節をまるっと変えてしまったら、
同じ話と思われないかもしれない。
ビジュアルがちがえば、たいていはアイデンティティーは別物だと思われがち。
国を変えてもいい。上だったものを下にしてもよい。
色を変えてもよい。
時間帯を変えたっていい。
夕方の話を日の出の話にするだけで、
意味合いはだいぶ変わってくる。

男女を逆にするだけで、企画になったりもする。
女体化などはいうに及ばず、
自分の書いた平凡なストーリーが、
男女を逆にするだけで生き生きとしたりする。
おそらくベタでつまらないものだったのが、
違う場所を得て生き生きするのだろう。

主役とわき役を交換するのも役に立つときがある。
ボクサーとトレーナーの話だと、
大体がボクサーの話だが、
トレーナーを主人公にしたっていいし、
レフェリーを主人公にする手だってある。
野球選手を主人公にせず、応援団や審判やチアガールや、
売店の人を主人公にしたっていいはずだ。
視点を変えろ、というのはさんざん昔から言われているが、
「視点を変えるとどうなるか、どう変えるべきなのか」
については誰も教えてくれない。
具体的なもので考えないと、よくわからなくなるよね。

追われる者の話だったものを、
追う者の話にすれば、まったく違った物語になるだろう。
ルパンが主人公じゃなくて、
銭形が主役だったら?という考え方はあり得るわけだ。
のび太が主人公じゃなくて、
静香ちゃんが主人公だったら?
ぐうたらのクラスメイトの家に変なロボットが住み着いて、
あまり好きでもなかったその子に、
実は恋しているとしたら?
そんな風にしてしまえば、のび太やドラえもんにしなくても、
まったく別の話をつくることが出来ると思う。
ジャンルを変えてもいい。
コントがラブストーリーに、
ホラーが泣ける話になってもよいのだ。

あるものをそのまま描く必要はない。
あなたが書くものは、
ドキュメントやルポタージュではなく、
創作フィクションだ。
心に思ったものが正解とは限らない。
転がして、まったく別の話にしてしまえばよいのだ。

昔つくった話をそのようにして転がすと、
まったく違う話が出来上がることもある。
蔵出しだと気づかれないかもしれない。
(未発表のものに限ったほうが無難だろうがね)

そうしたストックをいっぱい作っておくことは、
とてもいいことだ。
短編集でも書くつもりで、
どんどんストックしていくといいのではないか。

僕は今てんぐ探偵(第一稿)が終わったので、
また100話ものを書こうと企んでいる。

まったく別の話を考えることで、
頭をリフレッシュしようという狙いなのだが。
(ついでにリセットされたら、てんぐ探偵のリライトのときに、
まっさらな気持ちになれるという狙いもある)

全然違う世界に身を浸すことで、
まったくストーリーを変えてしまえる。
それがフィクションの面白さだ。
警察が舞台の平凡な話が、
裏通りのバーになっただけで面白くなるかもしれない。
パチンコ屋の話が学校の話になっただけで、面白くなるかもしれない。
マリアージュとは、偶然が連れてくるものだ。
なるべく違う転換をしてみよう。

面白い発想は、そうやって生まれることもある。
転がる石こそが、次を生むのだ。

posted by おおおかとしひこ at 02:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック