1分とか5分のショートはおいといて、
普通の長い話の場合。
長い話を書くのはたいへんだ。
どう考えればいいかわからない。
自然に出来る部分もあるけど、
なんか全体的には虫食いで、
足りない感じがする。
そういうとき、
「全部を一本の筋を通す」と考えるから、
難しくなるのでは、という話。
一本の話は、
複数の話のより合わせで出来ている、
と考えると構造がわかりやすくなる。
たとえばそれぞれの抱えている事情だ。
ヒロインが抱えている事情ややりたいことがあり、
主人公が抱えている事情ややりたいことがある。
それらが合致すれば二人はつきあう、
みたいなことだ。
その後の交際の成功で、
お互いの目論みは着々とすすむ。
つまり、2本の話が同時進行するわけだ。
なんらかのトラブルにより、
一方のストーリーが停滞して、
これ以上そっちのストーリーを進められない、
とわかったら、別れを選択することもあろう。
男女で例えたが、人付き合いというのはこうした面がある。
好き嫌いだけでない、利害関係的なものだ。
これは側から見ると一本の話に見えるが、
2本の話の寄合わせとみることもできる。
つまり、
この一本の話をつくるときは、
2本の話をつくって合成すれば良い。
ただし、なんでもかんでも2本が合うとは限らないので、
アレンジして微調整する必要もあるだろう。
エクササイズとしては、
事情や目的を10本ずつ書き、
そのうちランダムで2本を選び、
そうした男女のラブストーリーを書く、
というトレーニングを考えられるよね。
なるべく事情が違う方が面白いだろうね。
こんなに違う二人が付き合うの?って面白いからね。
で、あとでそれに、好きとか嫌いとか外見とか内面の、
ガワを被せれば、おおむね面白いラブストーリーになるんじゃない?
今、登場人物一人に対して一本の話にしたが、
一人で二つ抱えている場合もある。
恋と仕事は典型的なパターンだ。
かけもちは、コンプレックス化(話の複雑化)をする、
基本ですらある。
部活を二つでもいいし、三角関係でもいいし、
会社と家でもいいし、趣味と仕事でもいいよね。
5人くらい愛人を抱えていてもいい。
また、
「この仕事の成功は、社内の立場と関係ある」みたいな、
一つのことでも複数の文脈を持っていることもある。
単なる一プロジェクトの成功ではなく、
成功の仕方で今後の社内の立場が変わってくる、
みたいなことはよくあることだ。
これは、一つのラインでありながら、
2つの話がよりあっていることになるわけ。
つまり、
一本の大きな話を書こうとするから、
うまくいかない。
一本の大きな話は、複数の話がよりあったものである。
直列繋ぎではなく、並列繋ぎなのだ。
ただ、うまく接点を作って、絡ませていかないと、
ただの独立した話が複数同時進行しているだけになり、
じゃあバラバラに見せろやとなってしまう。
これらがうまく絡んでいくから、
もうそれは(分離できない)一本の話になるわけ。
そのエクササイズは上に示した。
男女の例だけではなく、
「俺と組もうぜ」という男同士の話でも、
作れるかもしれないね。
複数の話がよりあうには、
その話たちに共通点が必要で、
その部分がメインプロットになる。
家族に会いにいくために軍隊を脱走した軍人と、
自分の放射能説を証明したい科学者は、
ゴジラの出現で共闘するはずだよね。
このような関係をつくることが、
うまいよりあわせをつくることである。
メインプロット(この場合ゴジラ)
から逆算して部分を作ってもいいし、
部分をよりあわせて、全体の統合(ゴジラ)を思いついても良い。
でも後者はウルトラCになりがちだから、
前者のほうがやりやすいとは思う。
ストーリーは一本線ではない。
複数の糸のよりあわせ。
そう考えるとこれまでと視点が変えられる。
2022年12月30日
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