2023年01月03日

ファーストシーンの勢いが、書く原動力になる

経験則。


ファーストシーンを書くときはほんとうに力が入るものだ。
力が入らなくても、勢いでもいい。
とにかくその世界にはじめて自分で触れるし、
緊張もしているし、慣れていないし。
でもそれを覆す情熱みたいなものや、
勢いみたいなものや、
引き付ける何かが、ファーストシーンにはたいていある。

これがよくできているとき、
それを引きずりながら最後まで書く勢いになるよ、
ということ。


ほとんどの執筆では、
毎度毎度挫折しそうになる瞬間がある。
また書けないかもしれない、
また思ったよりつまらないかもしれない、
また「ここからどうしていいかわからない」ポイントがやってきた、
などなどなどによって、
とにかく挫折は季節の風物詩のようにやってくる。

だがそういう時ほど、
最初に書いたシーンの勢いや新鮮さが、
作者が最後まで書くモチベーションになるよ、
という話だ。


挫折しそうになったときに、
初心を思い返せ、
という気持ち的な話ではない。

「その勢いが、どこへ帰着したら面白いか
(すごいか、感動するか、笑えるか、見事となるか)」
を考えながら書こうぜ、ということだ。

ファーストシーンは、問いかけである。
それへのアンサーを書かないなら、
やりっぱなしでそれは終わってしまうのだ。

当然プロットとしては、
そのファーストシーンへの解答があるはずだ。
そのラストへ向けて勢いを維持するのもいいんだけど、
ファーストシーンがいつ回収されるのか、
それを考えながら書くと、
うまくテーマに落としやすいよ、
ということでもある。

冒頭にあるものにうまく答えると、
それがテーマになりがちだ。
つまりファーストシーンは、
テーマの一部になっている。

逆に、
ファーストシーンとうまく絡めてエンドをつくり、
それがテーマになるように、
途中でも熟考するべき、ということだ。

それがきちんとラストに出来たら、
テーマの結実はうまくいく。


それを想像しながら途中を書くと、
はげみになるよ、という話。

つまり、ファーストシーンを思い起こすことは、
初期衝動と、テーマについて考えることである。

ちなみに、
ファーストシーンよりも面白くないシーンしかないなら、
もっと面白いシーンを書くべきだ。
ファーストシーンの出オチになっている可能性が高い。
最初は面白かったけど、それ以降まったくつまらない、
実写版「ガッチャマン」みたいにならないことだね。
(この映画のくそっぷりはほんとうに勉強になるぞ。
なぜこうなってしまうのか考えるだけで、
本が一冊書けてしまう)


ファーストシーンは、
あなたが無意識にやりたかったことのことが多い。
その無意識に、ラストで上手に答えるべきだね。
posted by おおおかとしひこ at 00:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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