2022年12月23日

昔の句会のリアリティ

僕はいつも「数を出せ」とよく言っている。
数を出すことが練習になるからね。
実際どれくらいのペースで、
どれくらい出せばいいんだろう?

ちょっと面白いデータを手に入れたので。


鎌倉初期、
歌の達人と言われた藤原定家と弟子、
客2人を含めた4人の句会があったらしい。

昼スタート夜終わりくらいで、
60首を詠んだ記録が残っている。

へえ、句会って、珠玉の一句を持ち寄るんじゃなくて、
集まってその場で頭を捻るんだな。
一人当たり15首として、
5時間とすれば一時間あたり3首か。
3首×5セットと考えれば、なかなかスパルタだな。

勿論駄文は捨てただろうから、
書き損じと称したゴミは、もっと沢山出ただろうな。

やってみ?
多分できないでしょ。

歌の達人たちだから、今でいうプロなのかな。
やっぱプロすげえな。


句会って月一回くらいあるのかしら。
宮中で催されるイメージがあるが、
上のものは嵯峨山荘で行われた私的なものなので、
そんなものがしょっちゅうあったんじゃないか。

宮中での大句会みたいなやつは、
相当数出すのだろうか。
これなら「歌の名人」かどうかは、
簡単に分かるよね。
すぐにスラスラと出せる人で、
どんどん数を出せる人が名人だ。
勿論、数を出してもクソみたいなやつなら、
あいつはダメだとすぐに言われる。
びびって全く出さないなら、それもダメだと言われるだろう。



僕が会社に入った頃、
企画会議とはこのようなものであった。

昼スタートで翌朝までやるのはざらで、
みんな机にかじりついて、うんうん言ってた。
苦しいから雑談をはじめて、
そこから企画になることもあった。
だから企画ネタを持ってくるというより、
雑談ネタを持ってくることもあったね。

タバコをみんな会議室で吸うので、
灰皿はすぐ一杯になり、会議室は霧の中のようだった。
新人の僕の仕事はその灰皿を洗うところからだ。
普通のゴミ箱と、タバコ用のゴミ箱があって、
濡れた新聞紙が下に敷いてあったな。
(万が一火が出ることもあるので。
だから必ず水をかけて濡らしてから捨てろと言われた)

ネットはない。雑誌と新聞だけ。
テレビつけたらみんな見ちゃうから、
音のしない会議室で、
面白い面白くない、
を、朝までみんなでやっていた。

一日10企画くらいかなあ。
その中でもいけそうなのは3くらいだったかなあ。

これをやると、
面白いやつと面白くないやつは、
すぐにバレるんだよね。

はい、今出して、もっと出して、
もっと面白くして、
を週2〜3回やれば、すぐに淘汰が起こるよね。


歌の達人と呼ばれた藤原定家は、
そんな句会でもことごとく、
沢山、いい歌を書いたのだろう。


数を出せ。
とにかく数を出せ。
出来ないなら淘汰されろ。


数を出す毎日を送ってたら、
毎日必死でネタ探しをするようになる。
次までに貯めとかないといけないからね。

観察力も半端なくなる。
そこは見た、そこは知ってる、と、
知らないことを探すようになる。

そうやってどんどん新鮮なネタに詳しくなるんだよ。


そんなのを毎週10年やったやつと、
適当にしか出してないやつ、どっちが強いかね?
posted by おおおかとしひこ at 01:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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