2022年12月25日

お前の始めた物語だろ

プーチンが戦争終結したいと弱音を吐いて、
「お前の始めた物語だろ」と総ツッコミを受けてて笑った。
物語論的には、
動機、行動、結果という軸で考えることが出来る。


戦争というのは大きな行動だ。
それをするからには大きな動機が必要である。

この戦争の問題点は動機が不明確なことで、
クリミア地方にいるロシア人が不当な扱いを受けているから、
それを救うというのが建前の動機とされた。
しかし、動機に対して行動はおかしなものだ。
首都キーウを陥落させることが目的であり、
クリミアを救うことは動機と思えない。

なので、世界はずっと行動と動機の乖離を疑問視しているわけだ。

これが物語ならば、
実は隠された動機があり、
それゆえの行動だったのだ、
と一気通貫する理由が説明されて、
「なるほど」と皆が納得する結末になる。
ところが現実にはそうじゃないらしい。

「プーチンが病気のため先が短いため、
念願のクリミア併合を急いだ」という「物語」、
すなわち行動と動機の一致が仮説として言われたころもあった。
それが正しいかどうかもまだ不明である。

つまり、
人の行動には、一貫した動機と行動が必要で、
それ以外のものは不可解で面白くない、
というのが、
「他人の行動を見る時」に起こるということだ。

これで適当に会談でもやり、
和平が成立したとしたら、
これ以上人は死ななくなるが、
「なんのための戦争やったんや」と、
不可解さだけが残るだろうね。


まあ表にはでてこない理由がたくさんあり、
それを我々庶民が知ることはないだろうが、
そういう不可解なことは、
物語的には不満であるということだ。

こういうときは、
表向きでもわかりやすい動機と行動と結末を用意するものだが、
そういうライターはいないのだろうかね。


逆にウクライナ側には優秀なライターがいたと思う。
初期からの抵抗や、いくつかのネット流出した物語は、
ウクライナの闘いの意味みたいなことをさかんに言っていた。
ゼレンスキーが首都に残って抵抗する、
という物語も、人々を分かりやすく感動させた。
これで彼は男になり、歴史に残ったと思う。

どういうものであろうが、
人の行動には動機が必要で、
「それがどうなったか」という意味のある結末が必要である。
そうでなければ、
「不可解」になっておしまいということだ。



あなたの書いている話は、不可解で終わる、
まるで打ち切り漫画のようなものだろうか?
それとも、動機が明確で行動に結びつき、
それが結末でこういう意味や意義があったのだ、
と分るような、
意味のある物語だろうか?

ロシアとプーチンは物語を失った。
「クリミアにいる猫を助けようと思って」
とかにしておけば?


こうした不可解な戦争があると、
「裏で糸を引いていたやつがいたのだ」
と、首尾一貫した説明を考え付く奴がいる。

今回で考えられることは、
戦争兵器の在庫一掃セールだよね。
それを売っている奴は誰だ。
そいつが今回の首謀者だろう、という説。
殺人事件の犯人は一番得をしたやつだ、というやつだね。
それが首尾一貫すれば、状況証拠ということになろうか。
もっとも、陰謀論スレスレになるがね。

明治維新とはなんだったかを考えるときに、
イギリスで余った銃を売りつける先を探していた、
という理屈はかなりもっともなことだ。
薩英戦争はイギリスが日本にとりいるための戦略だったと。

まあどういうものであれ、
「首尾一貫した矛盾のない説明」
「意味のある結末」
を、人は求めるということだ。


あなたのストーリーの登場人物は、
どういう行動をするのか?
それは何目的で、どういう動機なのだろう?
そしてそれが成功するということは、
どういう意味があるのだろう?

プーチンみたいに見失っている場合じゃないぜ。
ゼレンスキーみたいに、
「お笑い出身で誰よりも信用されていなかったが、
有事の際に勇気ある行動をしたことで、
誰よりも信用されるようになった男」
のようなストーリーをつくるべきだ。
そしてその結末は、
「建国以来最高のリーダー」という意味になるだろうね。


もっとも、それらを操る影の組織があり……(陰謀論)
posted by おおおかとしひこ at 00:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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