2023年01月18日

タイトルは光り輝くべきである

他と混じった時、並べられた時、
ちゃんと光ってるかな?

つまり、ぱっと見面白そうって予感がするかな?


小説賞などを調べていて、
松本清張賞の一次選考通過作品リストが、
なかなか興味深かったので引用してみる。

なおタイトルのみの羅列とする。


愛と嘘が作る完全犯罪
仏の道に鬼の足跡
一紅
暗闇に星を灯せ
憂国の微笑
潜龍の月
BLOODY BOUNTY BALLAD
愛すべきクズたち奈良に集まる
ジャガンナータの祝祭
槐に朽ちる
ばちあたり狂詩曲
北へ進め
歪み
凍る大地に、絵は溶ける
BLOOD LINE
志毘の聲
滅びのヨハネは祈らない
太閤の黄金
遥かからの声
倫太郎の櫛
破断山脈
禅寺のマリア
窓が割れている
ペルシャの羊
ニゲラ
涙とは
双眸
天正のアンチ・モンク
国境の街


「BLOODY BOUNTY BALLAD」「BLOOD LINE」とかは、
なんのことやら意味不明なのでスルーだね。

「北へ進め」「歪み」「遥かからの声」「国境の街」
は、平凡すぎて目に止まらないだろう。

「愛と嘘が作る完全犯罪」は、
犯罪がひとつも出てこない素晴らしい恋愛小説ならいいけど、
単なるミステリーなら読まないよね。

「一紅」「潜龍の月」「志毘の聲」は、
意味がわからなすぎて情報量0なので、
これもスルーだろうね。


「憂国の微笑」「愛すべきクズたち奈良に集まる」
「ジャガンナータの祝祭」「槐に朽ちる」
「ばちあたり狂詩曲」
「凍る大地に、絵は溶ける」
「破断山脈」「禅寺のマリア」「ペルシャの羊」
「ニゲラ」「天正のアンチ・モンク」
あたりは、
「どういうことだろう?」
と手に取りそうだ。
ほんで冒頭がそれなりに面白くて、
その先が気になるなら読むんじゃないか。


これが、光ってるか光ってないかの差だ。
物理的に光る表紙を作ることもできるかも知れないが、
そんなものはただのハッタリである。

ほんとうに面白いならば、
それは新しいことを、
死ぬほど練り倒して、
ベストの状態になった、
ものすごく面白いのを、
うまくちょい出ししてあるものだ。

その感覚があれば、
光って見える。


もちろんタイトルのセンスがないだけで、
中身は面白いかも知れない。
だけど、
ほとんどの場合はタイトルでスルーでしょ?
これまでいろんなものをそうやって無視してきたよね。
みんなそうするだけのことだ。

その中でも、
これは面白そうな概念だ、
と光っているものが拾われる。

そしてそれがつまらなければ捨てられて、
面白ければ評判になる。

タイトルが詰まらないのは、
手にとっても貰えないのだ。


最近でもないが、
「100日後に死ぬワニ」は非常に良いタイトルだった。
ただし中身はタイトル詐欺で、
群がる大人たちが醜すぎて、
どうしようもないハリボテであったね。

タイトルは顔だ。
光ってる美人から選ばれる。
脱いだらすごいんですならば、
顔も最高に磨いておきな。



タイトルで迷うなら、
キャッチーな方を取りなさい。
上の列の中に入れて、
ぱっと見面白そうって思えるかどうかをやってみることだ。

ただ、看板詐欺やパケ詐欺は、みんな敏感だぞ。
posted by おおおかとしひこ at 06:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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