正直期待してなかったが、評判に背中を押されて見てみた。
最高だ。
スラムダンクに対する不満のすべてが、成仏した。
次はバカボンドよろしく。
以下ネタバレで。
ラストシーンこそが映画だという話をしたい。
漫画スラムダンクのテーマはなんだろう。
主人公桜木花道は、
何を語るために出てきたんだろう。
キャラクター祭りのスポーツ漫画にしては、
出来の良さにずっと読んでたけど、
なんか詰まらなくて、
でもそこそこ面白いので読んでた。
ガワは面白いのに中身がなにか分からない、
という不安さのある漫画だった。
無音の山王戦最終回も意味不明だ。
ああ打ち切られたのか、と尻切れトンボだった。
その、
本当の最終回を見た気がした。
宮城リョータ主役というのが解せなかったが、
設定の乏しい彼の設定を新しくつくることで、
スラムダンクはきちんと中身をつくってきた。
ファーストシーンとラストシーンの呼応で、
山王戦の試合の意味、
バスケをやる意味が完成する。
この映画のテーマは、
「人生色々あるけど、やってやるぜ」
ということだと思う。
「諦めたらそこで試合終了ですよ」
でもいいんだけどさ、
最後のリョータの表情が全てだろう。
もっとギラギラした何かだ。
山王のエースが負けてプロになった後日談を装いながら、
相手にリョータがいて、
あの試合のリベンジになるというラストシーンに驚く。
そう、彼ら湘北のバスケはなんだったのかを、
リョータがプロになり、
まだまだライバルと闘ってるぜ、で示すのだ。
まだ諦めてない。やってやるぜ。
それこそがスラムダンクの意味、テーマだ。
だからゴリも三井も流川も花道も、
あんなに汗をかいて、飛んだり跳ねたりするのである。
ずっとドリブルしてるリョータは、
だからずっとドリブルしている。
ファーストシーンとラストシーンが、
見事にブックエンドをなし、
中に挟まれたものの意味を鮮やかに結論づけた。
エンドロールのギターがかっこよくてね。
ああ、こういう男の作った映画を久しぶりに見たなあと思った。
女相手のマーケティングなんか知るか、
というロック魂を吸収できて満足だ。
男は闘うために生まれてきたのだ。
マーケティングのために生まれてきたのではない。
山王戦のラスト、
まさか無音でやるのかとハラハラしたけど、
ちゃんと演出入ってて安心したわ。
演奏シーンを無音でやり切った、
伝説のうんこBECKにならなくてよかったね。
CGによるモデリングは、
聖闘士星矢みたいな惨さになるのではと不安だった。
ハーロックで東映はやらかしてるしな。
でも井上画風になっててものすごくよかったよ。
二時間井上漫画を堪能してる気分だった。
CGはバスケのモーションキャプチャのためだったんだな。
あれは流石にセルの作画じゃ無理だわ。
(でもこの試合までの回想編、
リーゼント時代の花道パートは普通のセルだったよね?
そのアニメ版もわかってますよ的な感じはよかったなあ)
あれだけのブームを巻き起こしながら、
とても中途半端に終わってしまったスラムダンク。
その、真の最終回が見れて満足。
やっとあの頃のジャンプから卒業できるかな。
しかし井上雄彦は、
リアルをどうするつもりだろう?
もうこの先書けなくなるんじゃない?
結論でちゃったもんね。
バカボンドも対決の入り方が分かってない状態のままだしなあ。
リアルもバカボンドも完結しなくても、
まともにきちんとスラムダンクを完結させた、
今回の勝利に拍手を送りたい。
三浦健太郎よ、聖悠紀よ、天国で羨め。
名作は、完結してなんぼなんだ。
あと美内すずえがんばれ。
リョータの物語は完結させられたから、
あとは桜木花道の最終回を見たいよな。
ゴリ卒業後、エースになる流川と花道の、
続きを見たいよなあ。
俺実は流川単独主役の「楓パープル」も、
桜木花道の不良漫画「赤が好き」もリアタイで読んでるんだよね。
だから思い入れがあるんだよね。
2022年12月30日
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