三題噺は、初心者のときによくやる課題だと思う。
なぜそれが有効なのか?
単なる練習と思ってはいけない。
実は、一番実戦で役に立つ、
あなたを守ってくれる技能だと思うのだ。
実戦の執筆では、
プロットはできているが、
詳細なところまで決まっていないことがとてもある。
たとえば、
「〇〇が味方につく」とか、
「〇〇と仲良くなる」とか、
「〇〇を突破する」とかだ。
具体的なことを何も決まっていない状態のまま、
プロットには書かれていることが多い。
「くそう、未来の俺に託しやがったな、
何も考えていない過去の俺め」と恨んでもしょうがない。
今、それを考えないといけないわけである。
そこで三題噺の技術が役に立つのだ。
たとえば、
「〇〇が味方につく」という三題噺をつくればいいんだよ。
たとえば、
〇〇が味方につく、
眼鏡、
うどん、
の三題でやってみようか、
と適当に思うわけ。
じゃあ、うどんを食べようとして眼鏡が曇り、
腹が立つために敵を倒すことを誓って、
味方につくことにする、
というようなエピソードはすぐに思いつくよね。
こんな感じで、
自分への何も考えていない無茶ぶりを、
三題噺の一題に加えてしまえばいいわけ。
もちろん、その他二題は適当に選んでもいいし、
ストーリーに関係ある何かでもよい。
たとえば、
ストーリー上ハイウェイが重要な場合、
〇〇が味方につく、
ハイウェイ、
あと何か、
で三題噺をつくればいいわけだね。
その何かは「できるまでいろいろ選んでみる」
のがいいと思う。
三題噺は強制的に三題でつくらないといけないが、
今回は二題で作っていいわけ。
もちろん、三題あったほうがつくれることもあるので、
適当に、思いつきやすい三題目をもってくるといいだろう。
もちろん、ハイウェイ、マウス、
新聞紙、売春宿、締め切り、
などたくさんの要素が重要なこともある。
じゃあ、その中から三題を選んで、
三題噺に仕立て上げればいいわけだ。
観客は三題噺を書いていることには気づくまい。
良くできた展開だと思うだけのことである。
「〇〇が味方につく」という落ちさえできれば、
なんでもいいわけだ。
ただ、
「よし、味方になってやるぜ」だと、
「なんでやねん」だけど、
「うどんで眼鏡が曇らせないためには、
お前らに味方するしかないな」
という風になると、
それがエピソードになるわけだね。
その味方は未来永劫「うどん眼鏡野郎」というキャラの立ち方になるに違いない。
三題はだから、
記憶に残せるようなものを選ぶといいだろうね。
三題噺は、
無茶な要求にこたえるだけの、
自分のアドリブ力を鍛えるためにある。
あるいは、
「こういう感じなら自分ならこうできそう」
「ちょっとこういうタイプの組み合わせはできなさそう」
という感覚をつくるためにもある。
で、出来るならその範囲を広げておくとよいだろう。
どんな球でも拾うぜバッチコイになっているほうが、
自分への無茶ぶりはしやすいというものだ。
で、
実際過去の自分から無茶ぶりされたときに、
「こういうものとこういうものが揃っていると、
たぶんうまいこと三題噺が書けそう」
というところまでは把握して、
「じゃあ、三題に、
〇〇と〇〇をつかおう」というアイデアが、
逆算で出るようになる。
そのようにして、
適宜三題噺をつくって、
自分にお題を出して、
執筆というのは乗り越えていくものだ。
また、プロになってからよくあるのは、
○○を△△に書き換えたいのだが、とか、
この部分をクレーム対応版に差し替えたいとか、
ストーリーと関係ないところでガンガン削られることだ。
それで痩せてしまうのは勿体ない。
なので、それすらも三題噺だと思って、
新しく見事にクリアした方が、
結果的に幸せになる。
三題噺は、このようにして実戦で使う。
初心者のうちからやっておくべき、
とても大事な基礎トレーニングだと思う。
三題噺はプロットを最終出力としてもよいが、
出来るなら原稿として書いてしまうのがいいだろう。
一日一本、三日で三本、
百日やれば百本たまるぜ。
それを何かの際に再利用してもいいし、
それだけの実力が鍛えられていれば、
大体切り抜けられるような気もする。
百人組手をやる意味は、そういうことだ。
三題噺をたくさんやっておくと、
「切り抜けられる力」「予測する力」がつくね。
2023年01月26日
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