難しい選択だ。
理想は、最初にガツンと大きく設定しておいて、
あとは一度も設定なしに、
最初のものを全部使い切ることだろう。
そのガツンの量が多かったら嫌になるかもしれないが、
それがうまいこと見れるもので、
ちゃんと分るものになっているならば、
あとは楽しむだけになるので、
設定部がそこに全部あることは、
欠点にはならないと思う。
「さすがに量が多いから、小出しにして行こう」
と考える人がいるが、
これはあまり推奨ではないと思う。
なぜなら、
「聞いてなかったぞそんな設定、後出しやんけ」
「解決するためのご都合やんけ」
と思われがちだからだ。
つまり、
設定の量が多すぎるのでは?
と僕は思うわけ。
そんなこといっても、
設定の量が多いんだよ、
という人に、いくつかのコツを書いておく。
ひとつには、
「あとで使わない設定はしない」という原則だ。
「ここは共通通貨があって、
いくつもの国が連合している」
という設定を、あとで使わないならば、
とくにその設定をする必要はないのだ。
しかも、もし「いくつもの国」が出てこないならば、
設定する必要すらない。
「通貨がある」という設定だけしか生き残らず、
そんなものをわざわざ設定しなくても、
通貨くらいあるやろ、という前提で人は見ているだろう。
「通貨がないと思ったにあったのかよ」だと不自然になるだろうが、
デフォであると思ってれば、その設定はいらないわけだ。
このようにして、
作者が納得したり、設定するための設定は、
どんどんそぎ落としていくことが出来る。
ただ金を出して何かを買うシーンだけで、
通貨の設定は不要になるわけだからね。
たしかに「ここはどこか」「ここはどのようにして動いているか」を設定することは重要だが、
物語を楽しむのに必要とは限らない。
その設定は、
あなたがストーリーの基盤を理解するためだけの設定かもしれない。
あとで使っていない設定は、
たいていそのような場合が多い。
設定部を減らすもう一つのコツは、
類推できるものは省略することだ。
「通貨がある」ことは省略しても大丈夫だろう。
「この一族は通貨という概念を持たない」は、
省略するべきではないだろう。
(あとで使わないなら意味がないけどね)
「この男は男が好きである」
ことは、「女が嫌い」を類推させるから、
わざわざ設定する必要はないかもしれない。
だとしたらゲイの設定をするだけでよいわけだ。
このことによって、
「まあそれはいわんでも分るやろ」
という範囲があることが分る。
それを省略していくことで、
どんどんと設定部は小さくできるのだ。
あるいは、ちょっとした追加で、
設定を類推させることもできる。
「この男は男が好き」と設定したとき、
「バイかも知れない」という疑惑を払拭させるために、
女に「だから女って嫌い」みたいに言う場面を付け加えるだけで、
その可能性を棄却できるわけだ。
このようにして、
設定とは、
「ここからここまでを扱う」のように、
イメージできればそれでOKなわけ。
枠組み全体をいちいち説明しなくてもいいのだよ。
だから、それを序盤で、
うまくがっつり設定できたら、
後出しをしなくて済むわけ。
すでに遊園地の範囲が分っているから、
そこで目いっぱい遊べるわけだ。
あとあと小出しにするのは、
それがへたくそだった証拠だ。
遊園地の解説が下手なのか、
適切な範囲の遊園地を用意できなかったのかは、
分らない。
よくできた設定部を観察することで、
全体との比較をして理解するとよいだろう。
よく言われるのは、T2の設定部だ。
「良いターミネーターと悪いターミネーターがいて、
悪い方から逃げなければならない」
という設定だけして、
あとはストーリーに持って行くのは、
とても良い設定の省略だ。
審判の日とか、中に骸骨みたいな骨格が入っていることとかは、
なくても話が分るようになっている。
そこが秀逸なんだよね。
2023年02月02日
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