すごく書きたい話を書いて、
100点のオープニングが書けてしまうとき。
「ああ、ここから落ちるしかないんだな」と予感して、
その先を書くことが怖くなることがとてもある。
100点のオープニングを書いてしまったら、
あとは下がるしかない。
90点を取った第二シーン、
80点を取った第三シーン、
など、どんどん点数が下がっていくことを想像してしまう。
それを書いて100点のオープニングが台無しになるくらいなら、
これ以上書かずに途中でやめてしまい、
「俺は天才だが、途中でやめた」という安心を得ようとすることは、
人間の本能的な心理かも知れない。
最高の状態から下がるのは、だれでもいやだろうからね。
まずアドバイスできることは、
100点のオープニングを書いてしまったら、
出来るだけ100点を続けることだ。
100点の第二シーン、
100点の第三シーン……
となるべく続けるように書くことだ。
それでもすぐに90、80……60と落ちていくのは、
もうあきらめることだね。
じゃあ下がりっぱなしであることを、
どう受け止めればいいのか?
アドリブで書いてなくて、
プロットを用意している意味がここにあるんだよね。
次の大事な場面はどこか?
外せない大事なポイントになる場面が、
このあとに控えているはずだ。
それは感情移入する場面かも知れないし、
事件に巻き込まれるポイントかも知れないし、
第一ターニングポイントやミッドポイントや、
第二ターニングポイントかも知れない。
それを、120点取ることを目標にするんだよ。
せっかく100点のオープニングを書けたんだ。
これを超えるすごい場面は、
何も連続する必要はない。
ポイントポイントで120点越えがあれば、
全体が100点に見えるぜ。
ただし100点じゃだめだ。
これは期待を超えた十分以上の出来である、
というものを目指そう。
100点だと80や60のところが目立ってしまう。
120越えを目指せば、
まあ80や60があってもいいか、
120があるしな、
と安心できるんだよね。
それで、最終的にぼこぼこの出来を、
うまく修正してよくしていけばいいわけ。
少なくとも、100点や120点をとっている部分は、
そのまま残る。
だから、これ以上よくなるリライトしか待っていないぜ。
これは楽しいじゃないか。
100点、
90点、
80点、
と書き進める執筆は、苦しいだけだ。
不安とともに進むからだ。
プレッシャーのある状態のほうが好きなドМを除いて、
「さあ次は最初より面白いことを書けよ」なんて言われたら、
誰だって委縮してうまくいかない。
そうじゃなくて、
「もうちょいあとに120点があるから、
今その仕込みをやってしまうことが出来るぞ」
と思えばいいんだよ。
その仕込みで60点になってしまったが、
まあ待て、あそこで爆発するのだから、
今は導火線である、という風に、
今と過去と未来を、
使い分けられるようになってくるんだよね。
今何点だ、と判定することは、
点でシナリオを見ていることになる。
もちろんオール100点が望ましいが、
それは理想でしかない。
現実は50点あれば御の字で、
30点とか10点のシーンを書いてしまうことだって全然ある。
それで挫折するのはもったいない。
100点取ってるんだから、
どこかで120点取って挽回しよう。
これがアドリブで書いてたら、
相当プレッシャーがつらいと思うよ。
だから、プロットを書くんだよね。
自分のシナリオがいつどこで爆発するか知ってるから、
仕込みも十分できるし、
準備があり、備えられるわけ。
さあ、やるぞ、ってシーンまで、
ためを作るわけだね。
そうすると、ここは抜きどころ、ここは力を入れるところ、
などと今どうしたらいいか、
なんとなく力点が分ってくるはず。
となると、
アップダウンがある、グルーヴのあるシナリオになるわけだ。
100点とった、
90点、80点……と下がっていくシナリオよりも、
よほど面白そうになるじゃない?
もっとも、120点取れないならば、
辞めてしまうかもしれない。
でも、120点を計画的に取るために、
前のシーンを犠牲にしてまで準備できるんだぜ?
計画的にやろうじゃないか。
伏線を仕込んだり、
一発で決めるためにいろいろな仕込みをしておけば、
ズバッとポイントで決められるはずだ。
そんな気持ちいいポイントがあれば、
「またそれが来る?」と思って、
しばらくは見られるものになるだろう。
ずっと100点を取る必要はない。
30分に一回ぐらい120点があって、
15分に一回くらい100近くがあれば、
全然名作になると思うがね。
ファーストシーンで100点取って、
以降一回も上がらないシナリオだってあり得る。
それは、
非計画的に、だらだら書いていたものだろう。
書いている人間だってバカじゃないから、
今書いたシーンの点数なんて大体わかる。
だから落ち込むんだよね。
そんな近視眼的な点数付けはしないことだ。
映画は1分置きに視聴率が出るものではない。
全体でよければよいのだ。
ストーリーが動く、
最重要ポイントはどこ?
それが何か所あるんだ?
10以下5以上はあるだろう。
そこで120点取ればいいんだぜ。
そのために、他のシーンがあるといっても過言ではない。
え? 一回も100点とか120点取れないって?
じゃあやめることだな。
書き続ける原動力は、
「俺は少なくとも一回は120点を書いたことがある」
だと思うんだよ。
うぬぼれといってもいい。
それはワンシーンでいい。
オール120点だと言うならそれはちょっと客観性が足りない。
でもどこかで燃えるような120点をワンシーン書いたことがないやつは、
どうやっても続かないと思うけどね。
100点を取れ。
そして120点を取れ。
何回も120点を取れ。
そしてラストシーンで100点を取れ。
間はその仕込みだと思うとよい。
2023年02月10日
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