1979年のかな漢字変換に関する資料。
https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/ej/?action=repository_action_common_download&item_id=6867&item_no=1&attribute_id=1&file_no=1
興味深いのは、入力オペレータが入力することが、
無意識の前提にあったということ。
つまり研究者たちは、
俺が自分で入力するわけないじゃん、
手書きで書くからオペレータがやってよ、
我々はオペレータの労力を減らして合理化する、
工員の手助けの研究をしているのだ、
という意識なことが読み取れる。
自分がやることとして考えていないのが興味深い。
つまり、
私が入力オペレータである、
という自覚がないままに、
ワープロ時代の研究は進んでいたんだね。
もちろん、入力オペレータ兼研究者はいただろうが、
現在のように100%入力オペレータであるわけではないようだ。
親指シフト設計者の神田さんは、
親指シフト使用者じゃなかったらしい。
そんなことあるのか?と思う。
刀鍛冶が普段刀を振ってないってあるのかね。
殺人者として優秀かどうかは置いといて、
毎日刀を振ってない人が刀を作り、
改良できるものだろうか?
(研究者は研究対象から中立であるべき、
という一方での客観性確保は必要だけど)
首都高速設計者は運転免許を持ってなかったそうだ。
それゆえに首都高は運転しにくい部分が多々あるらしい。
(都市伝説)
逆に上手な動線の設計、たとえばディズニーランドでは、
設計者は実際にそこで歩いて全体を把握する。
そうした「自分ごとでない」意識が、
随所に出る「入力オペレータ」という他人事の言葉に見え隠れしている、
と僕は感じる。
ところで資料中の、
ラインプット鍵盤というのは初めてみた。
こんな行段系の論理配列が当時からあったんだなあ。
4段目のカタカナ、
左手下段のラ行カナ、最上段のマ行、ハ行、ワ行の単打カナが謎。
ホームポジションがorzだったのかしら、
それともスタンダードなのかしら。
スタンダードだとすると、
打ちづらかった子音が単打カナになったのだろうか。
本文によればニュース送稿用で、
JISカナの2倍の速度を誇ったらしい。
かな漢字変換にまだ時間がかかったから、
電報的な速報用途?
当時の一般的な入力法はJISカナが支配的で、
一部の記者がラインプット、
そのうち親指シフトやM式が生まれて、
一旦は親指シフトが覇権を取り、
のちにqwertyローマ字が覇権を取り、
そしてフリックが現代覇権を取ろうとしている、
みたいな理解でいいのかね。
79年当時は、
スマホで寝床でこうやって俺が文章を書き、
それをネットの誰かが100〜150人くらい毎日読む、
みたいなことが起こるとは、
想像もできなかったろう。
逆に、入力オペレータなんて職種は、
安定した人数なんだろうか、
それとも年々減ってるんだろうか。
昔インタビューの文字起こしに、
そういう人にお願いしたことがあるが、
今なら音声入力で字幕つけてくるレベルだしなあ。
僕は入力オペレータを極めたいわけではない。
入力オペレータ専用システムだったかな漢字変換は、
現在義務教育レベル水準にあると思う。
しかし、キーボード入力方式は、
ほかの義務教育知識なみに洗練されたものとは思えない。
字が上手い人が小説家になるわけではない。
入力オペレータが上手い人が小説家になるわけでもない。
しかし、オペレートシステムは、
手書き並みに洗練されるべきだと思う。
2023年01月19日
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