2023年02月21日

最初のものを持ってくることがストーリー

伏線の基本は、最初のほうに使ったものを、
あとで使うことだ。
それをやるにはどうしたらいいか。

用心深く伏線を張る、技術的なものが必要なのか。
僕はそうは思わない。


「最初にあったものを、うまく再利用できないか?」
と考えたほうが、伏線を上手に使いこなすことが出来ると思う。

「これは伏線ですよ」とあからさまに出しても、
「普通に見せておいて、こんな目立たないところに伏線があったのだ」
だとしても、
そんなには機能しない。

伏線がもっとも効果的なのは、
「まさかそれをあとあと使うとは」だからだ。

その驚きを使うには、
作者でも意識していなった使い方が最上だと思う。

つまり、
最初に使って捨てていたものを拾ってくるのが、
作者でも観客でも気づかなかったことになる、
というわけだ。


終盤、
どうしても納得がいかないとき、
腑に落ちないときに、
最初に使って、あとで使っていない要素って何があるかなあ、
なんてことを考えるとよい。

序盤に、インパクトを求めて何かをしているだろう。
それは使い捨てになっていると思う。
インパクト重視というのは、
二回以上使えない要素が多いからね。
つまり、インパクトは出オチの花火が宿命である。

それをうまく拾ってきて、
「それを使うのかあ」というような使い方が出来たら、
たぶん終盤もうまく納得がいくし、
その伏線もまさかそういうことになるとは、
という驚きがあって、
伏線のまっとうな使い方に収まると思われる。


ちなみに、
序盤にインパクト狙いをひとつもしていないなら、
それはインパクト不足のつまらない脚本の可能性があるので、
そこは見直したほうがいいとは思うがね。


なぜ、序盤で使われたものが、
終盤でもう一度使われると、
納得が行きやすいんだろうか。

「最初からこれを語るために、
計算されてここまで来たのだ」
という感覚が強くなり、
「話は結論にさしかかったぞ」と予感できるから、
ではないかと思っている。

なんやかんやあって、
うまいこと展開させても、
なんかうまく落ちた感じがしないときは、
序盤に捨てたものを拾って来よう。

「序盤で出オチに使って、
捨てたやつあったろ」と思って、
それを拾いに行くといいよ。
そうするとブックエンドになって、
円環を閉じやすいんだよね。

最初に出ていた少年は、
これのために出ていたのか、とか、
最初にあった仕掛けは、
これのためにあったのか、とか、
うまくできている伏線は、
「まさかこういうことにあとで使われるのか」という驚きとともに、
「なるほど、最初にそれを振っていることで、
結論が上手に落ちている」
という納得とペアである。


驚きのほうが注目されやすいが、
納得のために伏線を使う、
という役割を忘れてはならない。
posted by おおおかとしひこ at 09:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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