まさかPearlioにサヨナラする日が来ると思わなかった。
軽いバネがよい。
これは僕が自作キーボードに移行した理由だ。
HHKBの45gもリアルフォースの30gも重い。
25g〜15g(アクチュエーションレベル)が、
僕にはちょうど良い。
それは、撫で打ちの横方向メインの打ち方とも、
関係していると思う。
さて、
Perlioに入れた軽いバネとそのレビュー。
下二つはKritox 105でバネルブしている。
△ Tecsee 2stage 37g
挙動は最高にいいが、少し重かった。
○ WS TL530(3stage)を2stageに切ったもの
アクチュエーション25g、ボトム35gくらいかな。
人差し指、中指に使用。
○ Sprit Designs MX supreme 30S
アクチュエーション20g、ボトム30g。
薬指、小指、親指に使用。
Pearlioは100%ウムピエを使ったステムで、
擦れ感は業界最小だと僕は思う。
だからエンドゲームスイッチだと思った。
だけどひとつだけ欠点があり、
ステムのぐらつきなんだよね。
ウムピエは造形精度が悪いらしくて、
完璧な形にはならないのだろう。
ややぐらつく。
で、ぐらつくだけならいいかと使っていたのだが、
ボトムプレートに真鍮仕込んで、
打鍵感を硬く純粋にしていくと、
「ぐらつき部分が濁りとして感じられる」ことがわかった。
音じゃなくて触覚なのでなんだろうと観察していると、
静止摩擦から動摩擦に移行するときの、
ぐらつきみたいなのがノイズになっているみたい。
ルブすれば多少マシになるかなあ、
などと思っていたが、
ぐらつきが物理運動である以上0にはならないだろうと予測していた。
一般に、軽いバネは、
イニシャル(静止から動き始める)のときに、
なんだか濁りを感じることがある。
観察してみると、
バネのきしみではなく、
ステムが横方向にずれる成分が、
縦方向に落ちる成分より大きな時に起こるよう。
つまり、突き刺し系の打ち方ならこんなノイズは感じず、
撫で打ち派がこのノイズを感じやすい、
ということがわかる。
だからおそらく、
タイトなステムでないとこれを除去することは難しいと感じた。
さて、
じゃあタイト系といえば、
Everglide Aqua King、Gateron North Poleだ。
でもPC同士の擦れ感が、なんかブレーキがかかってるみたいで好きじゃない。
最近話題のDurock Black Lotusに期待したが、
軽いバネに変えた途端、カクッてなってから沈む、
へんなタクタイルを感じてしまった。
たぶんボトムのステムレールの入り口が、
三角の切り欠きになっているため、
そこでカクンとコースが変えられる感覚を、
指が感じているのだと思う。
で、
透明でなんか気になるなあと一緒に買ったWS Quartzが、
軽いバネを入れると、化けたのだ。
上の三種のバネで、
どれも初動がスムーズで、
まっすぐ落ちる感じ。
軽いバネ特有のビビりや、横から受けてカクつく感じもない。
何より、Pearlioで感じていたイニシャルノイズが、
ほぼ0になってしまった。
もちろん、Pealioの摩擦が1、Black Lotusが3とすると、
4くらいの摩擦は感じる。
しかしファクトリールブ系の中でいうと、
Alpacaが8くらいなので、かなり優秀だと感じる。
秘密はなんだろうと分解して驚いた。
ステムの側面に答えがあった。
従来のステムは、
レールに触れる側面が平面だった。
ボトムハウジング側のステムレールに、
線状のモールドを設けて、線接触にして摩擦を減らす工夫は見たことがあるが、
このスイッチはステムパーツの側面が、
平面ではなく、2本の線接触になるようなモールドになってるのだ。
なるほど、面接触より摩擦が1/4以下になってるっぽい。
これだとぐらつく?と思ったが、
トップもボトムも両方PCなので、
タイトな設計が出来ていると感じた。
ステムがナイロンなので、より柔らかいのだろう。
で、ボックスステムなので直進性が良く、
つまりぶれないわけ。
ほほう。これがイニシャルブレノイズのなさの秘密か。
ついでに、
トータルトラベルが3.8mmと、
僕好みのスピード系に近いのもよい。
前のレビューに書いたが、ボトムの底部分に、
二つの凸があって、線接触から二点接触みたいになってて、
それがステム離れの気持ちよさになってるが、
その厚みが0.2mmなんだろう。
(さすがにノギスが入らずに測れず)
軽いバネ愛好者は、
いますぐWS Quartzを使え!
まさかPealio越えがあるとは、今でも信じられない。
ちなみに、Pearlioより全然底打ちが響きます。
PCボディがめっちゃ薄いから、
それが関係してるかも知れない。
静音改造はどうしようかな…
2023年01月28日
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一つ教えていただきたいのですが、ws quartzに入れたバネを教えていただけないでしょうか。
ws quartzの音と打鍵感が気に入ってるものの、重いのがネックで購入をためらっておりました。
こちらの記事を読んで、軽くできるなら是非試したいと思っています。
よろしくお願いします。
かつて遊舎工房に揃っていた、
Sprit Designsという韓国のメーカーの、
交換用スプリングです。
MX用には30g〜70gまで5g刻みでそろってて、
choc用は12g、15gから5g刻みでありました。
ところが、コロナで欠品して以来復活してないです。
本国のサイトでも購入できますが、
送料がかなり高く、
コロナ前取り寄せた頃は一ヶ月程度かかりました。
AliExpressやAmazonで手に入るものは、
最も軽くて35gなんですよねえ。
たとえば
https://www.amazon.co.jp/110%E5%80%8B%E3%83%91%E3%83%83%E3%82%AF-24K%E9%87%91%E3%83%A1%E3%83%83%E3%82%AD-Cherry-Gateron-MX%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%83%83%E3%83%81%E7%94%A8/dp/B071SLW5XH
Sprit Designsしか30g以下はないと思われるので、
まず35gを入れてみてから、
もっと軽くしたいか検討すればいいかもです。
また「バネ切り」といって、
たとえば3/4の長さにニッパーでバネを切断すると、
バネによりますがおおむね3/4の強さのバネになります。35×4/3=26.25g。
ヒゲ部分が擦れたり、品質が揃わないなどの欠点が出ますが、
沢山切って出来のいいやつだけ使う手もあります。
遊舎さんに入荷希望メールを出しつつ、
まずは35g買ってみるのがおすすめかな。
Sprit designsなんですね。たしかにメーカ直の費用を個人負担するのは厳しいので、Aliexpressで35gから試してみます。
Aliexpressだとシルバーと金メッキの2種類が選択肢としてあるようですが、まずは、安い方で試してみようと思います。
ありがとうございました。
スプリングのメッキの効果について。
ゴールドメッキの方が、
シルバー(メッキなし)よりも良い品質です。
理由はバネの軋みです。
メッキなしだとバネが縮んだ時にバネの金属が擦れ合って、
鳴く、ないし不快な感触があることがあります。
これはバネの金属表面の滑らかさに依存していて、
メッキ(金属コーティング)があるほうが滑らかになってるわけです。
とはいえ、バネルブ(Kritox 105などで)をすると、
ざっくり滑らかになるために、
あとは色の好みになってきますが。