2023年02月17日

【薙刀式】親指シフトとオペレーター

大体回想の中に登場する、
「親指シフトが爆速だったおねえさん」。
彼女たちは何者だったのだろうと想像する。


たぶん総合職じゃなくて、
事務のお姉さんなんじゃなかろうか。

ハンコばっかり毎日押してる事務のおばちゃんが、
爆速でハンコを押せるが如く、
彼女らは毎日毎日文書作成をしてたので、
そのへんの人たちに比べて、
爆速で親指シフトを打てたのではあるまいか。

そのお姉さんたちは、
色々な人にメールを送ってそうなったのか?
違うと想像する。
たぶんワープロ係だったんだよ。

手書きのなにかを、活字化する
(デジタル化するというよりは、
綺麗な活字にすることがメイン)係だったんじゃなかろうか。

僕は当時オフィスにいたわけではないので、
あくまでも想像だ。
彼女たちの業務は主にコピー打鍵だったのだろうと。


一方、親指シフトは文筆家に愛された過去がある。

親指シフトとqwertyとJISカナを、
文筆家たちがそれぞれブラインドタッチを経験して、
その上で親指シフトを選んだわけではあるまい。
たまたまオアシスをゲットして、
その習慣のままいた人がいただけだろう。

他の職業に比べて、
特別初期の頃にオアシスを買う確率が、
高い職業だっただけではなかろうか。

彼らが特別爆速だった伝説はないようだ。

つまり、
親指シフトには二種類の使い手がいた。

コピー打鍵の爆速清書お姉さん。
創作打鍵の(おそらく爆速ではない)文筆家。

ここが、渾然一体に分化されないまま、
親指シフトのイメージになってないか?
ということをこの記事では言いたい。


つまり、
「文筆家が使う最適の日本語配列で、
しかも大会で優勝した爆速配列」
のようにだ。

みんながみんな爆速だったわけではないし、
みんながみんな創作打鍵につかってたわけではないが、
有効だった部分がまざって、
誤解されたまま現在に至る
(あるいは意図的に優良誤認させている)
のではないか?
というところまで想像した。



爆速で打てて、
かつ創作打鍵をしていた職業が一つだけあって、
それが新聞記者だったのではと思う。

なぜ新聞記者たちは親指シフトを辞めたのか、
これまた追跡記事がないからよく分からない。
Windows普及初期、
親指シフトが使えなくなり、
qwertyローマ字に強制移行だったんじゃないかと想像する。
(エミュレータは誰か開発したかも知れないが、
新聞記者まで届かなかったのだろう)


これはあくまで僕の想像だ。

爆速コピー打鍵おねえさん、
遅い文筆家、
爆速かつ創作の新聞記者。
この三種類の親指シフトがあった。

そしてそれらは、
後世に、
「創作打鍵に向く爆速配列」
のように、
圧縮されて誤解されたのでは?
ということ。


少なくとも、
爆速動画はタイプウェルXCしか存在せず、
創作打鍵動画はほとんどない。
僕が配列動画まとめにまとめている以外に、
親指シフトの動画があったら是非教えて欲しい。
僕が特に興味があるのは、
爆速かつ創作打鍵だ。

僕がこれだけ動画上げろやと煽っても出てこないのは、
コピー打鍵しかできないお姉さんたちは引退してて、
遅い文筆家は遅い打鍵しか出来ないから晒す気になれず、
新聞記者はとうに親指シフトを捨てたから、
もはや打てない、
というのが実情なのでは?

というところまで想像した。


ついでに当時の爆速は大変遅い。
大会実績で920字(変換後)/10分だったと、
証言がある。
現在のqwertyによる毎パソの記録2500とは程遠い。
つまり、当時の爆速おねえさんは、
今の基準からしたらちょっと早いねレベル。



僕は、1600〜1500字(変換後)/10分の、
薙刀式の創作打鍵動画を超えるような、
親指シフトの動画を見てみたい。
どこかに爆速創作打鍵シフターがいないものか…

コピー打鍵では速さが、
創作打鍵では楽さが、
フィーチャーされがち。

コピーは競技化されやすいが、
創作打鍵は内容と関係するから、
本当のところはわからない。

だけど、
親指シフトといえば「爆速で文筆家」
ばかりなのがずっと解せなかった。
そんなの殆どなかったんじゃないか、
というのが僕の推理だ。
posted by おおおかとしひこ at 15:21| Comment(4) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
大岡さん、こんにちは。

爆速ワープロお姉さんは、私が新卒入社した新聞社にもいました。ご想像通り、清書係ですね。手書きの原稿を代理入力するだけでなく、プリントアウトにデスクが入れた赤字を(フロッピー入稿した人の分も含めて)修正したり、見出しを追加したり、レイアウトを整えたり、なんてことをやっていました。電子メールが一般的になる以前の話です(苦笑)。

文筆家については分かりません。

新聞記者については、OASYS入稿だった社の記者(の一部)が親指シフトをたしなんでいたのが、WORD入稿・電子メール入稿に切り替わった時点で、宗旨替えを迫られたのではないかと。私物PCを持ち込むならいざ知らず、会社支給PCは、今も昔も外部ソフトのインストールは絶望的です。

肝心なところに触れられていませんが、そもそも論理配列なんぞに興味を持つ御仁は滅多にいないんです。自分が絶滅危惧種だったとしても気付いちゃいない。
Posted by 141F at 2023年02月18日 11:44
>141Fさん

なるほど大体想像の通りかなと思いました。
こうした当時の空気感は歴史書には残されてないので、
触れ得ない人にはなかなかわからんものです。
ありがとうございます。

これまた想像ですが、
論理配列と物理配列を切り離して考えられる人が、
当時ほぼいなかったのではと考えます。
論理配列と物理配列は同一のものと認識していて、
オアシスが使えないことと、親指シフトが使えないことは、
イコールで思われていたのではないかと。

仮にプログラムをいじって、
支給PCでも親指シフトを使えたり、
オアシスでqwertyローマ字を使えたりを示せれば、
論理配列と物理配列を分離して考えられたのではないかなあ、
とこれまた想像します。


親指シフトの失敗は、
物理キーボードから論理配列を分離しなかったことも大きいかな。
「論理配列」という概念が、ほとんどの人にはないのではないでしょうか。
ほとんどの人は自作キーボードの写真を見て、
qwerty配列でUS配列と思い込んでいますからね。
「印字はそれですけど中身はDvorakとJISです」
といっても、理解されないのではと思いますね。


ちなみに新聞記者たちの打鍵速度はどれくらいだったんでしょう。
清書お姉さんには負けたのかしら。
だとすると親指シフトからqwertyに宗旨替えは、
それほど大変ではなかったかもですね。
Posted by おおおかとしひこ at 2023年02月18日 13:05
会社支給OASYSとして、記者たちには30シリーズやF・ROMシリーズが、ワープロお姉さんたちには100シリーズが充てられていました。全て親指シフトモデルでしたが、ワープロお姉さんを含めて三分の一くらいの人はローマ字入力していたような記憶があります。入力速度はお姉さんたちに全く敵わなかったものの、遅すぎて思考が蒸発するとか感じたことはないので、必要十分な打鍵速度にはなっていたのかなと思います。それよりもOASYSの非力なかな漢字変換やらクセツヨな操作体系に、個人的にはしょっちゅうイラついていました。今となっては懐かしい思い出です。

切り替え当初の一週間くらいは我慢するとして、論理配列の違いがその人の入力速度の違いに寄与することはほぼないと思います。ですから、かな入力からローマ字入力に切り替わって「遅くなって困る」ことはないと思いますが、いったんかな入力に慣れるとローマ字入力は以下省略。
Posted by 141F at 2023年02月18日 14:21
>141Fさん

なるほどありがとうございます。
当時の空気感がなんとなく伝わってきますね。

親指シフトは爆速だったという証言は、
この辺りを分離してないのでは、
という仮説はこのケースでは合ってる感じですね。

仮に新しいJISキーボード+IMEなどの操作体系で、
論理配列だけ親指シフトが可能であれば、
どれくらいの人が親指シフトを選んだんでしょうかね。
それも現状維持バイアスが働くか。
qwertyに慣れた後に、
「論理配列だけ親指シフトに戻れるよ」
だったら状況は変わったかも知れないのになあ。
Posted by おおおかとしひこ at 2023年02月18日 14:33
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