2023年03月16日

熱は人を動かす

熱は伝播する。
平温から、その熱になるようにうまく誘導できてれば。


いきなりその温度のものを押し付けると火傷する。
二度と近づかなくなるだろう。

そうじゃなくて、
うまくその温度に誘導するのだ。

熱い風呂にどうやって入るかを想像しよう。
体の端、手や足で測るだろう。
それでも熱かったら水で薄めて、
徐々に体を慣らしていくだろう。
そして全体にかけ湯をして、
問題なければ全身を浸かりにいくよね。

そんな風に、熱さに徐々に慣れるようにするのだ。
いきなり温泉の源泉に飛び込んだら死ぬよね。

その誘導さえうまく行けば、
温泉のような心地よさがある。

そしてそれを出た後も、
ずっと心の芯に残る、
熱さの記憶になる。
あの温泉はよかったなあと。

そうするとその熱は伝播する。
いい温泉があるよと。

熱心な信者によって拡散され、
多くの後追い体験者がやってくる。
そしてそれがまた伝播し…と、
正のフィードバックが起こり、
バズ、流行になるわけだ。

熱湯をいきなりかけないことだ。
また、作者が冷めてもいけない。
マグマのように熱を持ち、
あなたが源泉にならなければならない。

我々も人間なので、
執筆中にテンションが落ちる日もある。
そういう日はそういう日だと自覚して、
プロットの整理とか、清書とか、
熱に関係ないことをやるとよい。
次の日になったらマグマが戻ることもある。
これまでの流れを整理して、
マグマが途切れてる所を直すのも、
温泉の調整みたいなことだね。

熱は伝播する。

温泉のそばは「この辺に温泉がありそうだ」
という雰囲気になってるよね。
温度や湿度の変化を我々は敏感に感じ取り、
この先を予測する能力があるのだろう。

その感じでうまく誘引することだ。
手足にかけ湯、水で薄めて全身、
いよいよ全身に熱めのかけ湯、
そしてゆっくり浸かる。
こんな風に誘導できたら、
その温泉が気にいるに違いない。



観客は冷めている。

世の中に幸せなどない。
日本はやばい。
団塊がいなくなったらどうしようもない。
若者は覇気がない。
モテない。
物価は高い。
家を買い結婚するのって難しくない?
正義って何?そんなのいるの?

そんな人たちに、
うまく温泉まで誘導するにはどうすればいい?
それを考えるのさ。
posted by おおおかとしひこ at 05:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック