2023年02月19日

フォーカスについて分かりやすい例があったので

貼っておく。

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この場合の「フォーカス」は、
写真用語としてのピントのことではなく、
「注目しているものを決める」
という日常用語としてのフォーカスだ。

フォーカスを決めるということは、
「何かを強調して残して、
あとは捨てること」で可能になる。

あるものがフラットに並んでいるものは、
フォーカスがない。
つまりぼやけていてあいまいである。

それにフォーカスを当てる。

左の例では暗部を潰したことで、
彼女の鼻と口が強調されている。
(犬みたいに見えるとツッコミされていたが、
ここでは気にしない)

右の例では、
影の中の彼女の目を強調して、
他を白飛ばししているわけだ。

カメラにおいては、
これは絞りやシャッタースピードで調整できる。
一段絞り、半段絞り、一絞り開け、
なんて言葉を聞いたことがあるかもしれない。


これは絵や写真の話であるが、
物語も同じだ。

桃太郎というストーリーは、
桃太郎にフォーカスしたストーリーであり、
鬼にフォーカスしたストーリーではない。

ちなみに桃太郎の古い説話には、
桃(若返りの象徴)を食べた婆さんが若返り、
ハッスルした爺さんとセックスして、
生まれた子供という設定になっている。
この場合、フォーカスは若返りかも知れないよね。
桃源郷の世界観重視かも知れないし。

その場合、犬雉猿は、フォーカスから外れるかも知れない。
吉備団子には桃が練り込まれて、
よりフォーカスされるかも知れない。

そして、
何のためにフォーカスするか?
何のためにフォーカスの外を潰すのか?
を考えなければならない。
テーマのためだ。

好みでここを強調して、
あそこを捨てるわけではない。

何を狙った話なのか?
がない限り、
フォーカスはただの微調整ゲームでしかない。

もちろん、
フォーカスの練習のために、
同じ物語をテーマを変えて描くことや、
同じ物語を敵の視点から描くことは、
非常に勉強になる。
しかしそれはあくまでテクニックだ。
何のためのテクニックかを考えなければ、
テクニックを使うべきか使わざるべきかすら、
決定できない。
posted by おおおかとしひこ at 16:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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