2023年03月05日

【薙刀式】いにしえのキーボード

天キーで感銘を受けたものをひとつ忘れてた。
リアルフォースさんが持ってきてた、
「リアルフォースになる前のキーボード」。

最下段が写真でしかみたことのないやつで、
めちゃくちゃ触りやすかった。


いわゆるWKL。
Winキーのないタイプ。

Ctl 1.5U
なにもなし 1U

Alt 1.5U(コンベックス)
無変換 1.5U(コンベックス)
スペース 2.5U(コンベックス)
変換 1.5U(コンベックス)
ひらがなカタカナ 1.5U(コンベックス)
Alt 1.5U(コンベックス)

なにもなし 1U
Ctrl 1.5U

(追記)Twitterに写真あげてる人がいたので貼っとく。
https://twitter.com/raidzero/status/1631863655674552320?s=20

真ん中の島が理想的なJISキーボードで、
ぜんぶ1.5Uコンベックス、
しかも静電容量方式のタッチなのが、
まじで気持ちよかった。

ああ、これなら親指シフトはこのまま使えそう、
というくらい、
親指キーが押しやすかった。

スペースと変換を境目にして、
3キーずつ親指が担当できて、
アキがあって、Ctrlがある感じ。


せっかくここまで完成したのに、
Winキーが生まれたことで、
一列全部詰まってしまい、
スペースが大きくなり、
その他のキーのUが30年かけて小さくなるんだな…
(ちまたでは0.75U変換キーとかあるしな)

Winキー1Uを許容するとして、
この物理配置ならば、
親指を活用して打てる物理では?
と思ってしまった。

ただ、問題は、
無変換、変換、ひらがなカタカナが、
この美しい物理配置に比べて、
活用するまでもない機能しかなかったことだね。

先日Win以前のFEPの操作体系について議論したと思うが、
現在の自作キーボードのような、
すばらしい親指動線活用に比べて、
スペース変換さえできればそんなに活用しなさそうなものばかり。


ということは、
物理の素晴らしさに対して、
論理的な素晴らしさを用意できず、
スペース変換の普及とともに、
XFERとNFERの伝統は消えて、
衰退して、
その結果が長いスペースと0.75Uの変換キー、
ということになるんだね。

なるほどよくわかった。

ざっくりいえば、
ハードのものづくりのほうが、
当時は優秀だったのかもね。



もちろん当時のソフトは、
今のCPUに比べれば貧弱で、
「なんでもできる」わけでもなかったろう。

それに対して物理は、
今の素材と変わらずなんでもできた。

で、論理がなんでもできる時代になったら、
今度は物理が死んでるということか。
セブンイレブンの底上げ弁当のように。



自作キーボードは、
なんでもできる論理に対して、
追いついてきてない物理を、
衰退するメーカーからユーザーの手に取り戻そうとする運動だ。

メーカーたちよ、恥じなさい。
あなたたちが衰退したから、
俺たちはベストの文房具を自分で作るしかないのだ。

あなたたちの衰退の原因は、
ニーズを把握しすぎたことだ。
つまり受けに回ったんだな。

視聴率重視しすぎたテレビの衰退と同じだ。
客の言うことを聞きすぎる商品は、
「文句は色々あろうが、
私たちはこの理想を掲げる。ついてこい」
を失うことになり、
玉虫色のものになる。

そして玉虫色のものは、
何色をしてるものでもないから、
たくさんある市場の中で目立たなくなり、
手に取らなくなる。
こうして、
玉虫色の市場は全体として衰退する。

つまり、フラッグシップのないものは衰退する。

日本人の悪い癖だ。
「みなさんはどうですか?」を気にしすぎる。
皆さんの望む平均像は、
意見を集めれば集めるほど、
中心極限定理によって平凡に収束することを、
わかってない。

(個人はわかってても、
集団としてわかってない振る舞いをするのは、
東京オリンピックのクソみたいな開会式を見ればわかる。
あれが日本の悪いところのすべてだ)



我々はつねにWho are you?
をやっている。

それに対してI am XXX.
とプレゼンできる人たちだけが、
強靭な理想があり、
それに邁進する姿を応援したくなり、
真似したくなる。

それが健全な市場だと思う。

日本のメーカーの衰退は、
「私たちはどうすればいいですか?」
と迷ってしまったところだ。

1.5Uコンベックス親指6キーを捨てたことが、
0.75Uコンケイブ変換キーに衰退した原因だ。


もし僕がその時代にメーカーにいれば、
「この素晴らしい物理を応用する、
ちゃんとした日本語入力法」を開発しただろう。
俺がそこにいなかったのは、
日本語キーボード史において不運だったな。
30年くらいタイミングがずれてたね。

いや、当時はTRONという理想があった。
だがしかし外交カードとして潰されて、
エンジニアたちは日航機墜落で抹殺された。
(抹殺は陰謀論です)



リアル文房具は、各メーカーの熱心な研究で、
100円から数百円で提供されて、
しかも万のバラエティがある。

キーボードはそうなっていない。

昨日はおそらく250以上の文房具が展示されて、
これが普通の文房具屋の品揃えというものだ。
ボールペンや鉛筆が、
これくらいあるもんだよな。

キーボードメーカーは、
こうしたバラエティを用意できなかったことを恥じなさい。


僕は10年かけて、
ぺんてるの中性ハイブリッドの青にたどりつき、
以来30年くらい愛用している。
僕に会う人は皆知ってるが、
常にズボンの左前ポケットに一本さしている。

キーボードはまだ辿りついてない。
少なくとも、現在のメーカーのラインナップにはない
(現行モデルは大型量販店にあるものは、
この5年くらいは全部触っている)

だからつくるしかない。


キーボードメーカーの人は、
自作キーボードイベントに来て、
すべての自作キーボードを触るべきだ。
これがあなたたちに突きつけられたNoたちだ。

僕のYesをもっと追求したい。
ハードもソフトも中途半端な理解しかしてないが、
目的であるところの、
「文章を書くことそのもの」は、僕は理解している。

目的地と行程は把握してるが、
車がないから、
自前で車をつくってる状態だね。


極上の車が、
Windows誕生前夜、
日本ですでに完成していた。
80年代のメイドインジャパンが誇らしい。
同時に、いまの日本の衰退を嘆く。

リアルフォースになる前のリアルフォースは、
その亡霊である。
英霊に出会えてほんとうによかった。
英霊は、現行のどの最高のメーカー製キーボードよりもよかった。


僕らはそれを超えたい。
物理配置や感触については、一部超えているとすでに思ってる。

論理はもうぶっちぎりだ。薙刀式でね。
posted by おおおかとしひこ at 12:06| Comment(0) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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