2023年03月05日

【薙刀式】親指の打鍵法のベストはなんだろう

yfukuさんと議論してたのがとても印象に残る。


もりやんさんの記録から。
> 「鈍い屈曲ではなく外転を使う」dailycraft keyboardふく
> 「掴む動きこそ自然、親指も例外ではない」薙刀式大岡俊彦
> 「こ、こんなアテがあって飲まずにいられるか! 芋ロックで!」ワイ

知性と経験と知見のぶつかりあい。
そして酒。
大学以来やった気がする。
仕事をはじめてからこれがなくて退屈してたことを思い出した。
これは喧嘩じゃなくて議論なところが、
紳士たちの暗黙の了解になってるのがよくて。



yfukuさんは指の側面で打つ派。
4指と同様、重力鉛直下方向に打つ。
Gravity Keycapはその重力方向をネーミングに持っている。
それは不自然では、
という批判に対しては、
「速い」という特徴で反論する。

たしかに、「掴む」動きだと遅いな。
薙刀式ではシフトと変換だから、
そこまで速くなくてもいいのでは、
と思ったのだが、
鈍くて遅いことは、最終的に足を引っ張るかもしれない。

一方僕は、
「人間の自然な親指の動きは他の指と連動して掴むこと」
という、親指シフトの主張に感銘を受けたので、
ずっと掴む方向についての模索をしている。

これは自然だが遅いわけ。
だがこれが疲れないことについてはyfukuさんも同意する。
側面はやはり手が疲れると。


二項対立が出揃う。

側面で: 速いが疲れる。
掴む: 遅いが疲れない。

まさにタイピングや配列における二項対立と同じ様相だ。
親指シフトが「速い」からいつのまにか「楽」にシフトしたのは、
この二項対立を超えられずに、
使い手が老化したからではないだろうか?


さて、
二項対立が出揃えば、議論はその先の、
アウフヘーベン、第三のすばらしい方法に辿り着くことが目的になる。

だけど「うーん」となって試合終了。
いい方法は、やはり3Dにするしかないだろう、
という所に落ち着く。
しかし3Dは配線がめんどうだ。
誰もがやりたくない障壁が待っている。


そこで失敗作を出す。
天キーに間に合えばいいなと思ってたのだが、
採寸失敗して動かないやつです。

ちょうどyfukuさんがTwitterにあげてたので拝借。
https://twitter.com/yfuku_/status/1632029303897731074?s=20

親指部にそのまま取り付けられるアダプターで、
銅板経由で結線できる仕組みにしようとしている。
ソケット経由でホットスワップできるように。
キーキャップもデカすぎてプロペラみたいになってしまった。
これだとBとかに指が届かないほど邪魔になる。

あとMXスイッチが背が高いので、
位置がここがベストとも思えない。
ここにPuddingやGateron LPをぶち込めば、
もっと楽になるかも?

たしかにこれなら「掴む」動きになるのだが、
「速い」にはならない。

で、触りながら思いついたんだけど、
俺、この形で滑り打ちしてるから、
「掴む」方向のベクトルじゃなくて、
「側面で叩く」力の使い方してるわと。

つまり、
TAPは指の腹でスライドしながら打ち、
HOLDは掴むようにする、
という、
二つの親指法を融合させることが、
この親指アダプタなら可能かもしれない。


これ、ねじれてるから、
3DCADでの設計が大変難しい。
三面図かけないんだよな。
壁の厚みがどれくらいになり、
どこに干渉するか全然計算できない。
どこがどこにはみ出すのか、机上の図面だけだとむずかしい。
簡単のために30度60度しか使ってないんだけど、
それでもねじれを数学的に計算するのは、
自分には無理と思った。

アイデアを現実世界に受肉させて、
30度60度じゃなくて、
もっと感覚的な角度にするべきだとは感じた。
あとはそれをどう幾何学的な設計に落とすかだな…


掴む形の親指キーを、
スライドで打ったり掴むように抑えたり。
実はそれが、
次の僕の理想かもしれない。


そうそう、
イケメン(仮称)さんとの論争もおもしろくて、
指を伸ばしながら打つ(伸筋)派閥の僕と、
指を曲げながら、引っ掻きながら打つ(屈筋)派閥が対立して、
ここも論争になる部分だなと。

屈筋はスピードやパワーに優れるが、
持久力がない。
伸筋はその逆。
僕は無意識に長距離派閥に属してるわけだね。


で、親指を伸筋で動かすとしたら?
と想像すると、
おそらく掴む形でスライドさせる打ち方になるはず。

じゃあやっぱこの試作品を、
動くようにしてから考えることになりそうだなあ。


「3Dつくるのめんどいから、
平面PCBにアタッチメントつけるだけで、
斜め親指をつくりあげられるやつ」
のつもりで作ってみたのだが、
これは新しい「親指の打ち方」へつながりそうだな。


僕の親指シフトへの批判点は、
「アンタ掴むいいながら、実際には掴んどらんやないか」
である。
同手シフトはまだ分かるが、逆手シフトって破綻してるぞと。

「他の指との同時押しは親指が自然である」
といいながら、
逆手中指薬指同時押しの新下駄や、
逆手人差し指同時押しの薙刀式が、
普通に使えている現実に対して、
親指シフト側からの明快な反論はない。


果たして親指のベストはなんなのか。
議論は尽くされたような気がして、
次の目標が見えた日でした。

とりあえずこれにもうちょっとかまけてみるか…
posted by おおおかとしひこ at 12:57| Comment(4) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
天キーではありがとうございました。勉強になりました!

ふくさんがツイートしているこの垂直のアダプタ、Xの下などにつけて使ってみたいです。
Posted by かみだい at 2023年03月07日 12:47
>かみだいさん

どもです。天キーは規模がデカ過ぎて深い話がままなりませんね…
とはいえまだ見ぬ出会いもあるし、バランスが難しい。
このアダプタ、まだデカ過ぎて邪魔なんですよね。
とりあえず形にしたろと思って出力してみたはいいが、
どこで寸法を詰められるかなあと考えてるところです。
次までには動くようにしたい…!
Posted by おおおかとしひこ at 2023年03月07日 13:15
次はイベント後に予定入れないように気をつけます。

楽しみです!
Posted by かみだい at 2023年03月07日 14:17
>かみだいさん

せっかく東京来たから色々観光したいし、
行ってみたい所もあるだろうし、なので特に気にしてないです。
次の日は遊舎工房めっちゃ混んでたらしい。笑
Posted by おおおかとしひこ at 2023年03月07日 14:38
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