2023年03月21日

イングという名詞

名詞で我々は認識している、
つまり時間を静止したものが概念である、
という仮説を展開してきた。

じゃあ時間、動的を示す単語って何があるだろうか。
「イング」があるなあと。


でも、結局イングという進行形で表現しても、
変化することそのものは示せない。
「ランニング」で示すことは、
「走っている状態で続いていること」でしかなくて、
走り始めとか、途中休憩とか、
スピードの変化や疲労の変化とかを表現できない。
「ずっと同じペースで走り続けている状態」のようなことだ。
「ライティング」だと、
構想やリライト全体を含むかもしれないが、
そこからイメージされることは、
「机に向かってコツコツ(同じペースで)書き続けている状態」
だと思うんだよね。
keep 〇〇イング、みたいなことだろうか。

成長や変化という言葉も、
AからBへの変化という意味ではなく、
ただ変わったことを意味するだけだ。
成長というのはたいてい良い方向の変化で、
悪い方向への変化は、
悪化、劣化、不良化、闇落ち、
とか言うんだろうかね。
(良い方向の変化を言う言葉があまりないのかもしれない)

あと何があるかな。
序破急などの、展開の部分も、
止めた状態での理解だと思う。
何をやれば序になるのか、
序の必要条件は何か、などは、
序の定義からは導出できないよね。

日常から変化があり、それは事件であり、
それにかかわる人たちが、今どのような状況に置かれていて、
環境がどういう初期状態であるか、
そして感情移入にふさわしいファーストエピソードとは、
なんてことが序に必要なことではあるが、
それは序という言葉の定義からは分らないわけ。

単に「はじまり」を定義しているに過ぎないからね。


三幕構造も同様で、
ある時間軸をみっつくらいに区切って、
〇幕といっているに過ぎないよね。
ただ三幕構成理論では、
いくつかやるべきことが提示されているから、
序破急よりもやるべきことが見えやすい。

ただ、いったんそれをマスターしたら、
序破急だけを意識するとやりやすくなるので、
序破急は、上級者向きのやり方かもしれない。


話がそれた。

時間軸の変化を示す言葉は、
たぶん人類の中には豊富にない。
逆に時間を止めた状態として語るべき言葉は、
たくさんある。
だから「イング」という進行形ですら、
「その止めた状態が続くこと」をイメージしているような気がする。

あるいは、
人間の想像力は、
「相手が同じことをし続けること」を、
デフォにしているかもしれない。
相手が違うことをすることを、
「期待外れ」というのはそういうことかもね。

つまり、
人間は微分で時間を認識しているという説か。


で、
それらは結果論であり、
そもそもそう認識される、
動的なおもしろい変化をつくることが、
私たちの仕事だ。

少なくとも変化前、変化後のふたつの状態をつくり、
それらが自然で無理なく矛盾ない変化にしないと、
ストーリーにはならなくて、
それは静的分解が出来ないものじゃないか、
というのが僕の説だ。

つまり、
ストーリー作りは、
体で覚えて頭で覚えるな、ということかもね。
体感の感覚こそが、
ストーリーなのだろう。

それを理解するには一回止めた状態での理解が必要で、
それをまた動的な体にフィードバックさせないと、
上達はしない、
ということかもしれない。
posted by おおおかとしひこ at 00:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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