2023年03月25日

【薙刀式】学習コストをどれだけ払えるか

結局新配列に移行するか、しないかを決めるのは、
ここじゃないかな。

「お金があれば高くて良いものも買うけど」
「その高くて良いもののためにお金を貯めておく」
みたいなことじゃなかろうか。



新配列の良さは、
みなさんが沢山分析している通りで、
まったくもってqwertyローマ字を凌駕する。

速度は上回る場合(最大3倍の僕)から、
同等程度に落ち着く。
これはqwertyローマ字がどれほど練度があるかで決まる。

しかし速度以上に大切なものは、
疲労度や負荷だ。

qwertyは指を壊す配列である。
あるいは、一日あたりの生産量が低い配列だ。

新配列に変える最大の理由は、
肉体負荷を減らすことだ。

このことで沢山書けるようになり、
結果速くなる
(一日あたりの速度があがる)、
というのが現実的な落ち着きどころだと思う。

だから、
新配列をやりたい人は、
タイピングゲームで速くなりたい人ではなく、
現実的に速くたくさん文字を書きたい人や、
現在腱鞘炎などで手を痛めていて、
負荷を少しでも下げたい人、
だと思う。

あとはコストだ。


新配列への学習コスト、移行コストは、
以下のようなものである。

学習コスト: 配列、人によるが、
一週間〜三ヶ月(標準的)、半年〜一年(難易度の高いもの)

移行コスト: 三ヶ月
(qwertyと新配列を混乱せずに使い分けられるまでにかかる期間)

金額: 新しい使いやすいキーボードを買う
(リアルフォースでやKeychronやNiZで2万円、hhkbで3万円、
自作キーボードで5万円)

ほとんどの新配列は、
キーボードを変えなくても使えるが、
新配列を学ぶときは、
「物理キーボードを変える」と移行しやすい。
新しいキーボードの感触は新配列、
古いキーボードの感触は旧配列、
のように、
「手が勝手に認識する」ようになる。

もしいいキーボードを持ってなかったら、
これを言い訳にして買ってみるとよい。
万が一新配列の習得に挫折しても、
体に優しい高級キーボードは残るからね。


どうして文房具にこだわる人がいるのだろう?
単に趣味の人もいるけど、
「書きやすさ」が文房具によって様々にあり、
「自分にとっての書きやすさ」が、
天と地ほど異なるからだ。
これが高級キーボードにあたる。

日本語には書き方の違い、
つまり手の動かし方の違いはないが、
配列とは「手の動かし方を変更する」ことである。

つまり、「新しい手話を習う」ことと同じと認識するとよい。

qwertyという手の動かし方で日本語を書くことは、
効率が悪く負荷が高い。
これを、別の動かし方にして、
最終アウトプットまでのルートを楽にしよう、
結果速くなる、
というのが新配列である。


あとは、
そのコストがどれくらいかかるのか?
を見積もりたいだろう。

僕は、
「自転車に乗れなかった人が、
自転車に自在に乗れるまでの努力コスト」
をイメージすればいいと考えている。

新配列を知らない人は、
「配列図の丸暗記」、つまり「頭で覚える」
ことを想像してしまうが、そうではない。

体で覚えるものであり、指の記憶なので、
頭で覚えてはならない。
(頭で覚えると結果遠回りになる。
「自転車に乗る」を学習するのに、
回転力によるジャイロ効果を覚えて、
右手と左手の握力を覚えて、
ペダルの漕ぎを右足の次は左足、
のように覚えるような無駄だ)
もちろんざっくりには頭に入れるけど、
他人に教えない限りは、
細かいことは体が勝手にやってくれるように鍛えるものだ。

だから新配列のマスターは、
円周率の100桁暗記よりも、
空手で茶帯を取ることに近い。

新配列は「覚える」のではなく、
「体に入れる」ものである。

厄介なことに、どちらも「学習」「マスター」と表記するので、
新配列を覚えることは、
自転車や武道に近いと、なかなか認識されていない。


新配列の学習コストは、
このコストである。

自転車に乗るのにかかる努力。
その努力総量がコストと考えると、
イメージしやすいだろう。
新しいクラスのメンバー40人の名前を覚えるための、
脳の記憶容量が学習コストではない。
体を無意識に動かせるようになるまでの、
反復練習、アドリブ練習が、
コストである。

だから、
学習コストや移行コストは、
「時間」表記でいいと思う。
でも飛行時間一万時間みたいな単位はだめで、
「日」を単位にするべき。
なぜなら運動記憶は、
「睡眠時に定着する」という傾向があるからだ。

だから、「昼間努力したあと、幾つの夜を越えたか」
で、学習コストは計測できると思う。

ピッチングフォームの改造とか、
新しい体操を覚えるとか、
引っ越した先の新しい駅までの道を無意識に歩けるまで、とか、
そういう「感覚を作る」までのコスト。

そして、「前のものと混乱せずに分離できて、
前のものと使い分けられるコスト」。

これらが、
新配列に必要なコストだ。


挫折したら、qwertyに戻ればよい。
体から抜けるには学習にかけた日数くらいで十分。

僕は、試しに一週間ほど触ってみれば?
と思うんだよね。
それでどれくらいの感触かをみればいいと思う。

その辛さと、リターンを天秤にかけて、
本格的にやるかどうかを見ればいい。
2〜3日で効果を実感するのは難しいから、
せめて一週間毎日練習すれば、
大体の全体像が感覚的に理解できると思うよ。


ローマ字系では、
どの行段系も一週間あれば、
ほぼ使いこなせるようになる。
カナ系では、
薙刀式、新JIS、月配列、かわせみ配列あたりは、
一週間でぽつぽつ打ちくらいまで行けると思う。

あとは人によるし、相性もあると思う。

「私はどんな運動部が向いてますか?」
を事前に診断する方法はない。
色々やってみれば?
としか言いようがない。


ローマ字かカナか(漢直か)。

ローマ字なら左子音右母音か、左母音右子音か、
左右ミックスか、
同時打鍵ありなしか、
拡張入力ありなしか。

カナ系なら、
同時打鍵ありなしか、順次打鍵か連続か、
面数は2か、3以上か、
3段か4段か、
左右交互かアルペジオか。

あたりが分岐点になるだろう。

格技や球技や、チームスポーツや個人競技や、
道具を使うか使わないか、走るのが大事かどうか、
みたいな部活の違いみたいな感じだ。



新配列とか自作キーボードとかタイパーとかが、
頭でっかちになってない最大の理由は、
「手を動かして証明する」が必要なことだと思う。
だから、文化系評論オタクはいなくて、
体育会系サークルにマインドが近いんだよね。
ごたくはいいから手で示せ的な。

部活の体験入会は1〜2週間やらないと分からないよね。
そして三ヶ月とか半年とかやらないと、
そのスポーツは体に入ってこないと思う。

新配列のコストも、
そんな感じで見積もると、
正しいような気がしている。


そして面白いのは、部活や得意スポーツを複数可能なように、
新配列は複数マスターできる。
どれもプロレベルになる必要はない。
一個飛び抜けて相性のあるやつが見つかればいいのだ。


新配列のコストは、
だから「努力を捧げられる時間」のことである。
濃さと期間で見積もればいいかな。

なんで新配列に移行しないんだ?
あ、時間がないからか。
忙しい中で長期的な計画を立てられる時に、
スッとやってしまうのがいいと思うな。




ちなみに薙刀式の場合は、

ぽつぽつ打ちまで: 3日〜1週間
実戦に出るまで: 2週間〜一ヶ月
マスターしたかな: 一ヶ月〜三ヶ月
qwertyと併存: 一ヶ月〜三ヶ月

くらいを見積もっておけばいけると思う。
学習コストの低さが売りなので、カナ系では簡単なほう。
マニュアルにあるレッスンメニューをこなせば、
身体が自然と動くようになると思うよ。
posted by おおおかとしひこ at 09:15| Comment(0) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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