2023年03月26日

巻き込まれ型は話の立ち上がりに時間がかかる(「シン仮面ライダー」評4)

いきなりバトルから始まって、観客を巻き込むタイプは、
現場のど真ん中にいけるから、ショウとしては面白い。

しかし物語に必要な、
世界の前提、登場人物への感情移入が、
おざなりになる欠点がある。

以下ネタバレ。


本郷猛に感情移入できたのはどこ?

緑川瑠璃子の死あたりじゃない?
だいぶ後半やんけ。
警官の父親の死の事情がわかったのはそのあとだっけ?
だいぶ後半やんけ。

感情移入はなるべく早くが、
物語の原則である。
「RRR」ではトップシーンだったぞ?
あの憎い敵を倒すヒーローを、
あの母親と娘の涙を流させないヒーローを、
僕らはたったワンシーンで熱望する。

最低でも15分。
それまでに最初の感情移入ポイントがあるべきだ。


なんで本郷は死を選んだんだっけ?
全然感動しないよな。
感情移入ができてないからだよ。

死ねば盛り上がるからやってるだけで、
必然性が全然ないのが、
感情移入に値しないポイントだね。


巻き込まれ型は、
感情移入に必要な、
世界の前提や主人公の欠落などを、
セットアップできない。

だから失敗しやすい。

シナリオの書き初めは楽しいんだよ。
でもどこかで我に帰っちゃうんだよね。
開始30分もすれば、萎えてくる。

そこから立ち直るまで、目一杯かかる。
このシナリオは結局感情移入に至らなかった。
失敗作である。
posted by おおおかとしひこ at 00:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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