2023年05月05日

グッと来ない説明シーンは切っていけ

説明の下手な人と、上手な人の違い。


説明の上手い人は、
それが説明シーンであると分らない。
あるいは、説明シーンだと分っていても引き込まれる。
それはなぜかというと、
「グッと来る」からだ。

情緒に訴えたり、感動したりして、
それが単なる説明シーンではなく、
ストーリーの一部になっているから、
説明シーンだと気づかずに、ただ夢中になっているだけなのだ。

それが出来ない人は、
説明はハイ説明、グッと来るところはグッと来るシーン、
みたいに分離してまっているんだよね。
だから説明シーンは(相対的に)退屈になってしまう。

じゃあ、説明シーンをグッと来るようにすればいいだけ。
でもそれが出来たら最初からしているから、
それが出来ないときのテクニック的なもの。

「グッと来ない説明シーンは切る」というものだ。



完全に切ったら説明として意味をなさないので、
注意しながら、
「最小限の説明にとどめる」ように書き直す。

よくあるのが、
「自分的にはうまく説明したようなシーン」で、
意外とだらだらと書いたわりには、
長々とした説明にすぎず、
結局ストーリーは一歩も動いてなくて、
グッとも来ないエピソードばかり、
ということが稀によくある。

おや、結構書いたのに、そんなにグッと来てないな、
と判断したら、
それらを全カットして、
ただの一行(数行)程度の説明シーンにしてしまう、
という手があるよ、
というのが本題である。


それは、過去の自分へのダメ出しである。
だらだら書いたわりに魅力がないんだから、
じゃあ説明は説明と割り切れや、
ということでしかない。

出来るだけ一行二行にまとめて、
次のグッと来るものまでの時間を縮めなさい、
という現実的な方法論である。

理想は、
説明シーンですら魅力が溢れ、
グッと来て、心が動くエピソードになっているべきである。

しかしそれは難易度が高く、上級者向けだと思う。
だとしたら、現実的な中級者は、
説明ははしょらずにちゃんと誠実に、
出来るだけテンションを下げずにすっとやる、
ということを考えたほうがよい。

もちろん、これを説明するための、
よりグッと来るエピソードがあればいいよ。


たとえば、
「そこに立ち入ってはならない理由」を説明するために、
過去のトラウマを回想して、
恐怖を思い起こさせるようにしたり、
泣けるエピソードからそこは無理、
と思わせるようにすることはとても良いが、
だらだら書いたわりにそれの出来がいまいちということもある。

だったら、「立入禁止」の札を掲げているところから始めて、
さっさと本編に入るべき、
ということを言おうしている。

それらをカットして、「立入禁止の札。」
「放射性物質廃棄場所の札。」
などと書き直すのも、
リライトでは非常に重要な判断だ。

それらをカットすることで、
テンションの下がりは最小限になり、
次のグッと来るものまでが早くなり、
全体的に密度が上がるだろうね。

余った尺で、もう一個いいエピソードを追加できるかもしれないしね。


上手な説明が出来ないなら、
下手なりにスマートな説明を。
そして、上手な説明を目指そう。
posted by おおおかとしひこ at 00:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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